◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 プロ野球のキャンプ取材で宮崎に滞在していた2月、旅行中の韓国の青年とひょんなことから友達になった。韓国プロ野球で活躍した祖父を持つジホ君とは、ゴルフが趣味という共通点もあり話が弾んだ。

と言っても、互いにスマートフォンの翻訳機能を使っての会話だ。

 WBC韓国代表が厳しい条件をクリアして準々決勝進出を決めた3月9日の夜、LINEに祝福メッセージを送った。「ありがとな」から始まるフランクな日本語に翻訳された返事が来た。

 今の時代なら、“あの男”とも友達になれただろう。2006年の第1回WBCは取材班の一員として米国で現地取材した。日本は得失点差による奇跡的な準決勝進出を決め、韓国と大会3度目の激突となった。決戦前夜、サンディエゴのカジノでブラックジャックに興じた。アジア系の男と同じテーブルに座り、ディーラー相手に一進一退の攻防。会話はなかったが、頼りになる相棒だった。

 準決勝は福留の代打2ランなどで韓国を破った。勝敗がほぼ決した試合終盤、雨で試合が中断した。喫煙所で煙をくゆらせていると、何と目の前にはブラックジャックの相棒。

実は韓国メディアとしてペトコ・パークに来ていたのだ。「ヘイ、ユー」とハイタッチ。互いに片言の英語で話したが、残念ながら「コングラチュレーション、ジャパン、ストロング」ぐらいしか分からなかった。彼とはそれっきりで、名刺交換しなかったことを後悔した。

 あれから20年。私はたばこをやめ、スマートフォンの普及で言葉の通じない外国人とも意思疎通できる便利な世の中になった。野球がもたらす感動だけは、今も昔も変わることがない。(プロ野球担当・島尾 浩一郎)

 ◆島尾浩一郎(しまお・こういちろう) 1993年入社。野球遊軍。

  

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