◆プロボクシング▽WBC世界ライトフライ級(48・9キロ以下)タイトルマッチ12回戦 〇同級2位・岩田翔吉(負傷判定8回1分33秒)王者ノックアウト・CPフレッシュマート●(横浜BUNTAI)

 WBA世界バンタム級挑戦者決定戦で、同級4位・増田陸(28)=帝拳=が元世界5階級制覇王者の同級1位ノニト・ドネア(43)=フィリピン=を8回TKOで下し、WBA王者への挑戦権を獲得した。WBCライトフライ級タイトルマッチでは、同級2位・岩田翔吉(30)=帝拳=が8回負傷判定勝ちし、1年ぶりの世界王座返り咲きをを果たした。

WBAミニマム級王者・松本流星(27)=帝拳=は初防衛、WBOフライ級王者アンソニー・オラスクアガ(27)=米国、帝拳=は5度目の防衛に成功した。

 リング中央でレフェリーから手を上げられた岩田は、少し上を向き、目頭を熱くした。「1年前に負けてからすごく色々なことがあった。必ずはい上がってやろうと思っていたが、負けてからはい上がる時は勇気がいる。家族、チーム、本当に色々な人に助けられた」。時折言葉に詰まりながら、感謝を口にした。

 ミニマム級時代に16度の防衛に成功したタイの英雄・ノックアウトを相手に、序盤から試合を支配した。足を止めずに動き続け、そしてジャブを打ち、右フックをヒット。8回負傷判定となったが、ポイントでは圧倒した。「足を常に動かし、スピードで勝負することを決めていた」と作戦は的中した。ちょうど1年前だ。WBO王者だった岩田は、レネ・サンティアゴ(プエルトリコ)に王座を奪われた。

足を使う相手を捕まえきれずに判定負け。この試合に向け「4か月間、足を動かすスタイルを徹底して磨いた」という成果だった。

 3月15日は岩田にとって特別な日だ。小学生時代に始めたキックボクシング。指導を受けた、「神の子」と呼ばれた山本”KID”徳郁さんの誕生日だった。「自分を格闘技に導いてくれた」と、すべての面で影響を受けたKIDさんだったが、2018年9月に多臓器不全で41歳の若さで死去した。くしくも「3・15」に用意された世界挑戦。応援にかけつけた”KID”さんの姉で格闘家山本美憂さん(51)には「美憂ちゃん、やったよ」とリング上から勝利報告した。「ノリさん(KID)の誕生日の日にWBCのベルトを手にすることができた。天国で見てくれていると思う」と恩返しできたことを誇らしげに話した。

 3度目の世界挑戦で後がない崖っぷちからはい上がった。サンティアゴへのリベンジなど、頭に思い描くこともあるだろうが、「ジムに戻って早く練習したい」。

新チャンピオンは喜びに浸りながら謙虚に話した。(近藤 英一)

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