大相撲 ▽春場所10日目(17日、エディオンアリーナ大阪)

 横綱・豊昇龍が小結・若元春を寄り倒し、2連勝で勝ち越した。昨年は新横綱で途中休場と屈辱を味わった春場所で、昇進7場所目の初優勝へトップと1差の2敗を守った。

関脇・霧島は西前頭4枚目・隆の勝を引き落とし、東同10枚目・豪ノ山も東同12枚目・朝紅龍をはたき込んで、ともに1敗をキープした。霧島、豪ノ山が首位で並び、1差で豊昇龍、平幕・琴勝峰が追いかける。

* * * * *

 迷いはなかった。豊昇龍は鋭い出足から左で張って素早く右を差し、相手を起こしながら一気に走った。「集中していた。気づいたら土俵際だったので、自分でもよく分からない」と無心だった。若元春が得意とする左四つを封じ、2秒4の速攻相撲で圧勝した。

 反省を生かした。前日9日目は隆の勝の出足を警戒し、右にずれてまわしを取りにいったが、狙いが「失敗した」と危ない形になった。動きの良さで逆転勝ちは収めたが、部屋宿舎に戻ると師匠の立浪親方(元小結・旭豊)に「危なかったな」と率直に指摘された。

 それでも、昇進7場所目で初Vを狙う横綱の悩みは消えなかった。若元春には過去15勝4敗と大きく勝ち越していたが、昨年の九州場所で相手の変化に不覚を取って金星を配給した苦い思い出もあった。

「何かやってくるかなとか、いろいろ考えた」。吹っ切れたのは支度部屋でアップしていた時。「相手じゃなく、自分の相撲を取りきろうと思った」。腹をくくり、横綱相撲で結びの一番を締めた。

 昨年の春場所は新横綱として迎えた。一人横綱の重圧や右肘のけがに苦しみ、3つの金星を配給するなど、9日目を終えて5勝4敗。10日目に新横綱では39年ぶりの途中休場と不名誉な決断を迫られた。それから1年。場所中は外食が多かったが、疲労がたまってきた前夜は、外出を控えて部屋宿舎でちゃんこ鍋とギョウザを食べるなど体調管理にも気を配り、同じ10日目を白星で飾った。

 2敗を守り、直接対決を残す霧島、豪ノ山を1差で追走する。「そういうのは気にせず、いつも通りの稽古を信じてやっている。出足は悪くないので、この気持ちで残り5日間も一日一番、集中していきたい」。

横綱初賜杯へ、迷わず突き進む。(林 直史)

編集部おすすめ