大相撲春場所11日目(18日、エディオンアリーナ大阪)

 関脇・霧島が東前頭10枚目・豪ノ山との1敗対決を突き落としで制し、3度目の優勝に向け、単独トップに立った。三役での2場所連続2ケタ白星に乗せ、大関復帰の足場固めにも成功した。

横綱・豊昇龍は関脇・高安を引き落として2敗を守った。1敗の霧島を豊昇龍と平幕の琴勝峰、豪ノ山が1差で追う展開。12日目は霧島と豊昇龍が激突する。

 今場所の充実ぶりを象徴する約6秒だった。霧島は立ち合いで先に両手をついて、集中力を高めた。頭から低く当たり、豪ノ山の強烈なぶちかましからの猛攻に冷静に対応。足が滑って追い込まれるアクシデントもあったが、土俵際でヒラリとかわして逆転の突き落とし。「あまり覚えてないけど、よく残った。しっかり当たっているから、そこからの体の動きにつながっている」とうなずいた。

 霧島には優勝と、もう一つの目標がある。慢性的な首痛に悩まされ、24年名古屋場所で大関から在位6場所で陥落した。それから約2年。

「大関に戻りたい」との思いを原動力に、三役や幕内上位で戦い続けてきた。稽古のやり過ぎが首痛につながった反省から、師匠の音羽山親方(元横綱・鶴竜)と量や出稽古先を調整するなど体調の維持にも注力。師匠も「けがをして悩む時もあったが、体の状態が上向いて、先場所からしっかり当たれているのが大きい」と復調を認める。

 2場所前は東前頭2枚目で11勝し、先場所は関脇で11勝を挙げた。大関の昇進目安は「三役で直近3場所33勝」。今場所も10勝をクリアして足固めとしただけではない。八角理事長(元横綱・北勝海)は「立ち合いに気持ちがあった。首に不安がなくなっていい感じになってきた」と評価。「優勝すればついてくるものがあるか」との問いに、「うん」と答え、優勝なら今場所で一気に大関復帰となる可能性を否定しなかった。

 12日目は、同じモンゴル出身で2敗の豊昇龍戦が組まれた。支度部屋で報道陣に囲まれ「まだ4日間ある。今まで取ってきた相撲を一日一番、取り切りたい」と語っていた途中、結びの一番が始まると、テレビ画面を凝視。

横綱の勝利を見届けると、「おしっ」と立ち上がった。「変わらずしっかり取る」。優勝争いの鍵を握る大一番へ、静かに決意を語って会場を後にした。(林 直史)

 ◆直近3場所33勝以上での再大関 現行のカド番制度となった1969年7月以降、平幕以下に陥落後に大関復帰を果たしたのは、77年初場所後の魁傑と21年春場所後の照ノ富士の2人。どちらも昇進前の直近3場所で計36勝を挙げ、魁傑は3場所前が西前頭4枚目で、平幕が起点だった。

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