◆センバツ第4日 ▽1回戦 大垣日大2―1近江=延長10回タイブレーク=(22日・甲子園

 プロ注目の近江の最速148キロ右腕・上田健介(3年)が生まれ変わった。9回まで無失点に抑え、延長10回タイブレークで涙を飲んだが、9回2/3を投げ7安打無四球、7奪三振。

2失点(自責0)、最速は145キロをマークした。

 「(初回に)先頭を出したけれどゼロに抑えられたので、今日は行けると思った」と上田。148キロを計測したのは1年秋のこと。今年の冬場には投球フォームの改造に着手したが、3月になっても状態は上がらず練習試合では全4戦で失点し敗戦投手に。それでも努力を続けた男を、神様は見捨てなかった。

 「低めを意識してしっかりコントロールできました。フォームをしっかり作る練習をしてきましたが、今日、一気にできるようになりました」。投球の際に、下半身へ意識を置く。上田曰く「下に下に…という意識です」。これまでは制球を乱す場面が多かったが無四球投球。「無四球はたぶん初めてだと思う」という変身ぶりだ。

 小森博之監督(42)は「出力が上がってこなかったけど、きょうは今シーズン一番の投球でした。

(好投の要因は)やってきたことを継続することが大事ですから。できなくてもやめずに、継続したからだと思います」と努力をたたえた。宿舎入りしてからも、控え捕手の東間結貴(3年)を相手に、短い距離で、フォームを意識して投げ込みを繰り返していた。

 相手投手の存在も刺激になった。大垣日大の左腕・竹岡大貴(3年)との息詰まる投手戦。「自分も絶対ゼロで抑えようと思って投げました」と力投を続けた延長10回のタイブレークでは1死二、三塁から代打・高橋遼(3年)に右翼線に二塁打され2点を失い、「少し甘く入ってしまった」」とうなだれた。

 仲間もエースの陰の努力を知っていた。4打数2安打の箕浦太士(3年)は10回裏の2死満塁で遊ゴロに倒れ最後の打者に。「上田があれだけ頑張ってくれたのに、応えられなかった。悔しいです」と涙を浮かべながらも「宿舎の中でも、悩んでいる姿もあったし、それを見ていたからこそ、今日のピッチングは感動しました」と続けた。捕手の杉本将吾主将(3年)も「今までで一番いい投球でした。ブルペンから、すごくいいボールを投げていた」と絶賛した。

 手応えと悔しさ。182センチ、84キロとがっちりとした体格の上田はポツリポツリとゆっくりと話した。「試合は負けたけれど、すごい楽しかったです。ぎりぎりのコースを突けるようになりたい。最後打たれちゃったので、(バットに当たっても)前に飛ばせない投球をしたい」。目標は150キロ。聖地でつかんだきっかけ。上田は歩みを止めずに一歩一歩成長していく。

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