◆センバツ第4日 ▽1回戦 三重2―0佐野日大(23日・甲子園

 8年ぶり14度目出場の三重が佐野日大に勝利し、甲子園通算30勝(26敗)を成し遂げた。

 先発した背番号18の左腕・上田晴優(せいゆう、3年)が、テンポ良い投球でゴロの山を築く。

9回2死までで99球。単打4本で三塁を踏ませず。26アウト中、17個をゴロアウトに取る“怪投”をみせた。

 「打たせて取るピッチングが自分の持ち味なので、真っすぐで押し切るっていうよりは変化球とかも使って制球力で低めに集めることを意識しました」

 緩いカーブやスライダー、直球を低めに集める抜群のコントロールは、猛練習で身につけた。ブルペンでは外角や内角ギリギリを狙って、連続して投げ込む。失敗しては最初から繰り返すことで磨かれた。

 家族が心の支えになった。昨秋の東海大会準決勝前の練習中にボールを左目に受け、眼窩(がんか)底骨折と診断された。強烈な痛みで、気がついたら病院だった。母親の一言に涙した。「この大会いいピッチングしてきたから、あとは他のピッチャーに任せなさい」。

 父・瞬治さん、兄・優心さんも上田に声をかけた。

「この経験は絶対、来年の春に生きてくる。この期間をしっかり休め」。上田は兄のプレーしている姿に憧れて三重に進学。後遺症に苦しむかもと心配だった上田は、家族の言葉に救われた。

 あと1人で完封勝利だった。完投も練習試合で1試合だけ。完封目前で、背番号10の古川稟久(3年)にマウンドを譲った。「(完封を)したかったですけど、そこは(監督の)沖田先生に任せています。(完封したら)自分的にも調子に乗っちゃうかなと思って、調子に乗りやすい性格なので…」と照れ笑いを浮かべた。先発投手があと1死で降板し、2人で完封リレーをしたのは、2016年センバツ1回戦で東邦が関東第一相手に、藤嶋健人、松山仁彦の継投で達成して以来、10年ぶりの珍しい記録になる。

 試合が始まり、マウンドに上がった時は緊張した。そしてアルプス席を見た。

「みんなが自分の味方だと思え」。兄の教えだ。深呼吸して息をグッと吐き出し、呼吸を整えた。その儀式が上田の好投を引き出した。

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