ドバイワールドカップデー(28日、メイダン競馬場)のドバイ・ワールドC・G1で昨年3着のリベンジを目指すフォーエバーヤングの矢作芳人調教師(65)=栗東=が、スポーツ報知の単独インタビューに応じた。同馬はサウジCを連覇したサウジアラビアから僚馬とUAEに移動した後、中東情勢が悪化。

「無事に帰る。勝って帰ってくる」と率直な思いを明かした。(取材は21日)

 強い気持ちで送り出す。矢作調教師は中東情勢が緊迫化する中、サウジアラビアから転戦するフォーエバーヤング、アメリカンステージと携わるスタッフの現況を何度も確認。予定通りの参戦を決めた。

 「そういう場所に大事な馬と大事なスタッフがいるわけだから一日も、ひと晩も休まる時はなかったですよね。ただ、向こうでは普通の生活ができているのに、普通じゃないみたいな感じで日本で言われるのはどうか、とは思う。こちらはレースに向けて、仕上げるだけなので、とにかくレースに集中することをずっと考えてきました」

 ナイソスとのマッチレースを制し、史上初の連覇を決めたサウジC。ほかの日本馬が現地の重いダートに苦しむなか、エースは全く揺るがなかった。

 「アメリカの馬はもっと速い馬場が欲しかったと思うので、この馬にはむしろいいと思っていました。ぶっち切って勝つ馬ではないので、常に大丈夫か大丈夫かと思うけど、その中でもBC(クラシック)よりは多少余裕があった。多分、差されないよねというのはありました」。

 今や世界のフォーエバーヤングだ。サウジCのレース前。現地で流れた紹介VTRに、場内からブーイングが起きた。

 「聞こえた、聞こえた(笑い)。さすがに今までに経験はない。大谷選手へのブーイングと一緒で、それは人気の証拠ですから、むしろ心地よく聞いていました」

 サウジCからの転戦は昨年と同じ。しかし、今年はドバイ入り後、昨年より馬場入り再開を4、5日遅らせるなどゆっくりつくってきた。レース当日にピークを持っていくためだ。

 「15日あたりから上がってきたので、1週前追い切りも映像を見る限りは非常に余裕のある動きという感じだったね。競馬当週の追い切りでしっかり仕上がるかなという感触はあります」

 調整過程は青写真通り。勝利が義務づけられた存在であるからこそ、気になる要素も増えてくる。

 「当週は1週間雨なんです。

ドバイは何度も来ているが、競馬当日に晴れ以外の天気だったことがない。フォーエバーヤングはいかなる馬場でも勝ってきているので、そんなに心配とかではないけど、我々がどんな馬場になるか読めないのが悩ましいところです」

 原点の場所だ。“世界のYAHAGI”にとって、海外G1初勝利は16年のドバイ・ターフ。勝ったのはフォーエバーヤングの父でもあるリアルスティールだった。

 「父親が勝ったドバイだからね。やはり、格的にはドバイ・ターフより上のレースですし、これに勝ってこそ、初めて本当に父親を超えたかなという感じになるかな」

 目の前のレースへ、全力で仕上げる。平和を祈りつつ、仕事に励むホースマンたちの思いは国境を越え、つながっている。

 「荒木(助手)も俺も他国の陣営としっかり情報を共有しています。戦争というのは何が起こるか分からないから、100%とは言えないけど、当然開催することを前提に、です。それに向かって、海外の陣営と情報を共有して、協力しています。そこは一番伝えておきたいですね」

 出走レースはすべて勝つと掲げる集大成の1年。今回も視線の先に見据える結末は一つしかない。

 「このような情勢だけに勝って帰らないと意味がない。もちろん、無事に終えて、無事に帰ることが一番ですけど、同時に勝って帰ってくるつもりです」(取材・構成 山本 武志)

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