6月11日(日本時間12日)開幕のサッカー北中米W杯に向けて、スポーツ報知では「世界一の景色へ」と題して、週1回(水曜日)の連載をスタートします。第1回は日本代表歴代3位の50得点を挙げ、W杯3大会出場の岡崎慎司氏(39)をドイツで独占インタビュー。
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広大な畑と、風力発電の風車が立ち並ぶドイツ西部の都市マインツの郊外。どこまでも続く畑の中に、唐突に現れるグラウンドが、岡崎さんの仕事場だ。ドイツ6部バサラマインツ。かつて日本を背負い、何度も重要なゴールを決めてきた男は今、自身が設立に関わったアマチュアクラブの監督を務めている。
「引退を決めた時、新しく挑戦したい気持ちが強かったんです。じゃあ、挑戦って何?と考えて。ヨーロッパで(選手として)15年やったけど、達成感はなかった。そう思った時、ここで挑戦しようと」
クラブの目標はプロとなる3部昇格で、自身も選手とともにステップアップを目指す。ドイツでは、岡崎さんがマインツ時代に指導を受けた現イングランド代表トゥヘル監督も、5部で指導者をスタート。下部で手腕を発揮すれば、監督にも1部などからオファーが届く世界だ。さらに引退会見で明かした「W杯優勝を監督として目指したい」という夢へ、前例なき道をゆく。
「『代表監督になる』ことが夢じゃなくて、『日本代表の監督としてW杯で優勝する』ことが夢。そこに標準を合わせています。普通の人生じゃ務まらないポジション。日本代表監督へのプランは、20年ぐらい(の期間)で考えています。ただ、最初の5年が勝負。ここで3部まで行きたい。そのぐらいのスピード感がないと、目指すところまでいけないと思っています」
多忙な日々でも、自身が心血を注いだ日本代表の動向は追う。18年ロシアW杯では、コーチとしてともに戦った森保一監督(57)の人選、そして現在の選手たちを見つめている。
「良い、悪いは別として、選手は時代とともに、日本代表に対して淡泊になっているのかもしれません。チームで戦う、という以上に個々があって、ベルギーが強い時みたいな印象もある。でも、森保さんはそういうチームをつくるのも得意なんじゃないかなと。自分が先頭に立ってまとめる、というタイプではないと思いますが、だからこそ、選手はのびのびとできるかもしれない。
自身は14年、本田圭佑や香川真司ら「史上最強」と言われたメンバーでブラジルW杯に挑んだ。しかし1次リーグで敗退。当時の選手選考と比較し、森保監督の特徴を考察した。
「例えば14年、ザッケローニ監督は大久保嘉人さんを直前で入れた。あの時、僕はすごい戦力になるなと思った一方、不安もあった。嘉人さんは、自分がここで活躍してやる、という思いが強かった。その結果、元々あった形が変わるかも、と。森保さんは、そういうことはしないんじゃないか。描いているチーム像は崩さない強みがある」
岡崎監督が日本代表に期待するのは、世界を相手に、精神的に上回ってねじ伏せる姿だ。集団としての強さは日本の特徴であり、謙虚さは美徳。
「日本は責任に押しつぶされて、負ける場合もある。僕らがブラジルの時は期待してもらったけど、全然だめだった。でも今の年代はそうじゃない。期待をプレッシャーに感じるような選手たちじゃない。(相手を)なめていても(実力で)上回って、勝てるチームになる可能性もある。そうなればおもしろい。そのバランスがチームには求められていて、森保監督がどうするのか、興味はあります。楽しみな年代なんで。素晴らしい挑戦が見てみたいですね」
◆岡崎 慎司(おかざき・しんじ)1986年4月16日、兵庫県生まれ。39歳。滝川二高から2005年にJ1清水入り。
◆岡崎氏の14年ブラジルW杯 当時はマインツ所属。ザッケローニ監督のもと岡崎、本田、香川らを擁する日本代表は「史上最強」と称され「W杯制覇」を掲げた。右MFが定位置の岡崎氏は初戦コートジボワール戦(1●2)、2戦目ギリシャ戦(0△0)ともにフル出場も無得点。3戦目はコロンビアに対し、1点を追う前半終了間際にダイビングヘッドで同点ゴールを奪ったが、最終的には1―4で敗れ、1次L最下位で敗退した。
◆バサラマインツ 14年に当時ドイツ1部マインツ所属の岡崎慎司と、岡崎の滝川二高時代の先輩に当たる山下喬会長によって設立された、ドイツ唯一の日本人運営サッカークラブ。「バサラ」はダイヤモンド、下克上を意味し、挑戦者が輝く場所を象徴する。日本人選手が海外で成長できる環境づくりを使命に、11部からスタート。現在まで数多く日本人が所属し、6部を戦う今季はリーグ3位(3月24日時点)で、5部昇格を争っている。
◆ドイツのリーグ事情 1、2部はドイツサッカーリーグが運営する「ブンデスリーガ」で、1部(18チーム)は名門バイエルン、 1試合平均8万人以上を集めるドルトムントなど世界屈指の観客動員数を誇る。2部(18チーム)も「世界で最も豪華な2部」と呼ばれ、シャルケは平均6万人以上を集客。3部までがプロで全国リーグ。ブンデスリーガクラブのセカンドチーム(21歳以下)も参加。4部以下は主にアマチュアの地域リーグで、地域に密着した人気クラブも存在。バサラマインツは11部から出発し、現在は6部まで昇格した。
◆取材後記
泥臭くゴールを積み重ねたストライカー岡崎慎司は、どんな監督になるのだろうか。最も影響を受けた指導スタイルに「やっぱり黒田和生先生」と人間教育に力を注いだ滝川二高時代の恩師を挙げた。戦術以上に土台となる人間力を重視している点がうかがえ、実直なプレーで見るものを引きつけた彼らしかった。
今は監督、クラブ運営にも関わり、一人で何足ものわらじを履く状態。まずは指導者としての勉強に集中すべき、と助言をもらうこともあると言うが「僕は泥臭く全部やって、後からそぎ落としていくタイプ。挑戦があるから成長する、ということを示していきたい」と熱く語る。
アマチュアの指導者から日本代表でのW杯優勝監督への道は、果てしなく長い。それでもスピードや技術が足りないと言われた若手時代から、日本を代表する点取り屋へとなった岡崎さん。全てを糧に成長していく姿を、楽しみにしたい。(サッカー担当・金川誉)

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