◆センバツ第7日 ▽2回戦 神村学園1―2智弁学園=延長10回タイブレーク=(25日・甲子園

 粘りに粘った。ただ1点、届かなかった。

神村学園のエース・龍頭汰樹(3年)は9回まで1失点に封じ、無死一、二塁から始まる延長10回のタブレークも1失点にとどめた。10回攻撃中もグラウンドに出てキャッチボールを行い、味方のサヨナラを信じたが8強入りはかなわなかった。「自分の1球の甘さで負けてしまって悔しい」。試合後にはそう振り返った。

 初戦で昨春Vの横浜(神奈川)を9回完封し、この日もピンチを背負いながら7回まで無失点。直球の最速は140キロながら、抜群の制球力で内外角を投げ分け、打者を打ち取ってきた。8回に犠飛で今大会初失点。連続無失点イニングは16で止まったが、集中を切らすことなく10回を投げ抜いた。

 悔やんだのは延長10回の1球だった。無死一、二塁で打席には好打者の1番・角谷哲人(3年)。2ストライク1ボールからのフォークが浮いて、右前へと運ばれた。今春から本格的に投げ始めたフォークの影響もあり、試合中盤からは握力が低下。

初戦の疲労と相まって自慢の制球が乱れた。その後、無死満塁から1点に封じたものの、これが決勝点。「監督さんから低めにと指示を出されていたんですが、欲を出して浮いてしまった。その1球が甘かった」と責任を背負った。

 神村学園のエースとは何か―。小田大介監督(43)には、明確な指針がある。「神村学園のエースというのは、大事な試合に2試合完投してエースの称号をもらえるんだよ」。龍頭は常々、そう伝えられてきた。横浜相手に甲子園では48年ぶりに完封勝利し、臨んだ2戦目。甲子園V経験校に堂々と渡り合ったが、「まだ神村学園のエースとしての甘さがあったのかな。その甘さがあったから負けてしまった」。エースとして、勝利に導けなかった悔しさが胸に残った。

 エースへの期待は大きい。試合後、2試合完投した龍頭について「エースと呼んでもよいか」と聞かれた小田監督は、はっきりと否定した。

 「まだです。勝っていないので。厳しいかもしれないですけど、日本一を目指すのであれば、天下を取ったチームに勝たないといけない。そういう時に頑張るのがエースだと私は思っている。神村のエースは、2試合先発してチームを勝たせること。それはずっと言っていることです」

 真のエースになるために、龍頭の思いも指揮官と同じだ。

 「夏にしっかりと2試合完投できるような、信頼されるようなエースになれるようにやっていきたい」

 今夏、悲願の日本一をつかむために。聖地で味わった敗戦は、決して無駄にならない。(小島 和之)

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