巨人の阿部慎之助監督(47)が25日、スポーツ報知のインタビューに応じ、開幕直前の心境を語った。2年ぶりリーグ優勝、14年ぶり日本一を目指す今季の合言葉は「Thank you」。

ミスしても誰かがカバーし、ミスした選手は「ありがとう」と前を向ける集団を理想とした。新戦力も多く生まれ変わったチーム。若手には失敗を恐れない積極性を言葉で後押しする方針も掲げ、ベテランの坂本勇人内野手(37)には熱いエールも送った。(取材・構成=片岡 優帆)

 新生・阿部巨人はオープン戦で育成選手の宇都宮がチーム最多タイ4盗塁で支配下登録、開幕1軍入り。16試合でチーム15盗塁は12球団中3位。3失策は12球団最少だった。走攻守で攻める姿勢が目立った。

 「走塁では思い切ってスタートを切れていたし『アウトになったらいけない』という邪念はなかったと思う。『ミスしてもいいよ』と言っていたから。それはシーズン通してやっていきたい。無難にやろうとしたら動けない。チャレンジしないと学びはないから」

 ミスを恐れない姿勢はリーグ3位に終わった昨年、足りなかった部分だ。

失敗しないように守りに入って硬くなり、大事な場面でミスに泣いた。今年は違う。

 「キャンプのミーティングでホワイトボードに『Thank you』って書いた。外国人も見て分かるように。今年はこれをたくさん言おうって。誰かがミスしても他のメンバーがカバーする。カバーしてくれたら『サンキュー』、『ありがとう』となる。この前あの人に助けてもらったから次は自分の番だって。これが増えていけばすごくいいチームになると思う」

 攻撃陣では主砲の岡本がメジャー移籍。吉川も両股関節手術明けで1軍に不在という中で浦田、中山、佐々木、増田陸らが積極的なプレーで躍動してきた。

 「誰でもミスはする。だからミスした人を孤立させない。

こちらも声がけだったりで、カバーできるところはしていきたい。『いいんだぞ、もう一回失敗していいぞ』とか。シーズン通して続けていきたい」

 若手に負けず元気なのが田中将とともにチーム最年長37歳の坂本。オープン戦打率2割9分と好調で、19歳の石塚らとの競争を制して三塁の開幕スタメンだ。

 「ここ数年で状態が一番良さそう。『白紙』と言ったから燃えるものがあったかもしれない。まだまだやれるっていうのを見せてくれたらうれしい」

 昨年まで坂本は2年連続で規定打席に届かなかったが、もう一度レギュラーとして輝きを取り戻すことができれば、本人にとってもチームにとっても大きい。

 「今年38歳。ここを乗り越えられたらあと数年はいける。いいきっかけになるシーズンにしてほしい」

 投手では山崎が右肩コンディション不良、戸郷が再調整で開幕2軍。オープン戦で最も安定していたドラ1左腕・竹丸に開幕投手を託す。球団の新人では城之内邦雄以来64年ぶりだ。

 「それは悪いことじゃないと思う。もちろん勝ってほしいけど、とにかく思い切って投げてもらいたい」

 開幕ローテは竹丸、ハワード、ドラフト3位の山城、ウィットリー、田中将、則本の6人でスタートするが、昨年は夏場以降に先発陣が“ガス欠”に陥った反省から先を見据えて柔軟に回していく構想だ。

 「2軍で待機しているマタや井上も含めて投手は全員で戦っていきたいっていう方針はみんなに伝えてある。去年の反省は踏まえないといけない。それを避けるために7、8人で先発を回していくことも考えている。8月、9月をどう乗り越えるかだから」

 開幕戦の相手は昨年セ・リーグ優勝の阪神。昨年は8勝17敗と大きく負け越したが、8試合が1点差負けと紙一重の連続だった。

 「それを反対にできたら優勝できる。僅差の試合で勝っていければチームの強さは増していく。一球、ワンプレーを大事に競り勝っていけるようにしたい」

 投手では山崎、戸郷の他に大勢、マルティネスがWBCの影響を考慮して開幕メンバー外。野手ではリチャードが左手骨折、甲斐は再調整で開幕2軍だが、プラスにとらえれば新戦力とベテラン、若手の融合で、新たなチームに生まれ変わるチャンスだ。互いにカバーし合い「サンキュー」、「ありがとう」を積み重ねて強固な束になる。

編集部おすすめ