◆センバツ第8日 ▽2回戦 山梨学院3―1大垣日大(26日・甲子園

 仲間のために何ができるのか。山梨学院の主将・菰田陽生(3年)は、それだけに集中した。

9回2死二塁。中堅手のグラブに白球が収まると、跳ねるようにベンチを飛び出した。初戦で左手首を骨折した影響でプレーはできなかったが、声を張り上げて仲間を鼓舞。2年ぶりの8強入りを決め、「チームをどうやって勝たせるか。どれだけ楽にさせられるかを考えないといけない。視野を広くして、いつも以上に声をかけることは心がけた」と胸を張った。

 投打二刀流の逸材は、この日は異なる“二刀流”でフル回転。ピンチでは伝令役でマウンドに向かい、1点を追う6回攻撃前には円陣の中心に立った。それまで2安打の打線に「一人ずつ出して、つないでいこう」と原点回帰を訴えると、この回すぐに追いついた。再び円陣を行った7回には、石井陽昇(3年)が決勝の2点打。吉田洸二監督(56)は、「菰田が何か言うだけで、ベンチが明るくなる。初めていなくなって、『こんなに違うんだ』と思った」と影響力に舌を巻いた。

 有言実行の勝利だった。難局に挑むナインを、吉田健人部長(29)はこう鼓舞した。「菰田がいなくても関係ないと証明するのなら、このセンバツしかない。奇跡を起こそう」。ダブル主将制のもう一人の主将・石井は、「みんなに火が付いた。菰田がいない中でも勝たないと、おんぶに抱っこのチームになってしまう。一丸となって戦えた」とうなずいた。

 チーム初の夏春連続8強以上で、3年ぶりの頂点へまた一歩前進。指揮官は6回以降も得点がなかった場合、菰田を一、三塁のベースコーチに立たせ、雰囲気を変える秘策も練っていた。「主将としてフィールドに立てないのは本当に悔しい。こうなったからには今の自分にできることを精いっぱいやって、チームに貢献する」と菰田。ピンチをチャンスに変えようとする山梨学院を、甲子園の神様は見ている。

(小島 和之)

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