◆センバツ第8日 ▽2回戦 専大松戸8―3九州国際大付(26日・甲子園

 8強が出そろった。専大松戸(千葉)は、「9番・DH」で先発出場した吉田颯人(はやと)捕手(2年)が8回にDH制導入後、甲子園1号となる左越え3ラン。

高校球史に名を刻む一発などで昨秋の明治神宮大会王者・九州国際大付(福岡)を下し、2023年春の過去最高成績に並んだ。

 * * *

 春の夜空にアーチをかけた。専大松戸・吉田は一塁を回ると、力強く拳を突き上げた。甲子園DH初本塁打-。歴史に名を刻んだのは公式戦初出場、背番号20の2年生だ。黒土のダイヤモンドを一周すると、笑顔の持丸修一監督(77)とハイタッチを交わした。

 「ビックリしてます。DHで記念すべき1号を打てたのは良かった。小さい時から甲子園は憧れの場所。練習試合も含め高校通算1号です。打った瞬間、暗くて打球が見えなかった」

 2点リードの8回1死二、三塁。3ボール1ストライクからの5球目、内角高めの直球を強振した。

打球は左翼席に飛び込む、値千金のダメ押し3ランだ。そこまで3打数無安打。代打を送らなかった指揮官の期待に一発回答した。「全然、手が痛くなくて、真芯だったんだな」と笑った。

 昨秋の県大会では背番号24の控え捕手。秋の関東大会ではベンチ入りを逃した。「悔しかったです」。冬場の自主練習では下半身を使って振り切る打撃練習に没頭。今大会では背番号20でメンバー入りした。

 「メンバーに入れなかった人の気持ちも出し切りたくて」。任されたのはDH。攻撃中はベンチ裏で素振りを繰り返した。

「守備がない分、疲労はたまらない。打撃だけに集中できた」。甲子園のベンチ入りが20人に増えた2023年以降、「20番」の一発も初めてだった。

 意外性の男だ。記録員の早川夕渚さん(3年)は「不思議オーラが出ていて、行動を見ていても何をするのか分からない」と証言。この日、先発した同期の左腕・小林冠太は「突然踊り出したり、鼻歌を歌ったりすることもある」と言った。そんな16歳が、史上初の大仕事を成し遂げた。

 持丸監督は9番での起用に「気楽に打てる。DHがあるから使ってみようと。DHがなかったらベンチには入ってない。とにかくビックリ」と笑みを浮かべた。次戦は昨秋の関東大会準決勝でコールド負けした山梨学院が相手だ。

甲子園4強となれば同校史上初。「しっかりつなぐ打球を打ちたい」と吉田。再び、歴史を変える一撃を放つ。(加藤 弘士)

編集部おすすめ