「ねじ式」「無能の人」などで知られる漫画家のつげ義春(つげ・よしはる)さんが、3日に誤嚥(ごえん)性肺炎のため都内の病院で死去していたことが27日、分かった。88歳だった。

葬儀は9日に親族のみで執り行った。この日、出版社の筑摩書房を通じて遺族が発表した。昨年9月ごろから体調を崩していたという。

 遺族はつげさんについて「公の場に出ることを好まず、静かに暮らしていた父ではありましたが、家では毎日家族と食卓を囲む、家族想いの人でもありました」と回想。「シュールな作品からリアリズム作品、夢や旅を題材にしたものまで、幅広いジャンルを描き分けることのできる稀有(けう)な漫画家であったと想います」とした。

 つげさんは小学校卒業後に工場勤務などをするかたわら漫画家を目指し、1955年に「白面夜叉」で本格デビュー。貸本漫画などで活動を始める中、65年から伝説的漫画雑誌「ガロ」に作品を発表するようになって注目を集めた。同誌に掲載された「ねじ式」は浅野忠信主演で映画化されたほか、代表作の一つである「無能の人」は、自ら主演した竹中直人の初メガホン映画としても知られている。

 2020年には、世界的な漫画祭であるフランスのアングレーム国際漫画祭で特別栄誉賞を受賞。22年には、「あしたのジョー」などの著者・ちばてつやさんと共に漫画家として初めて日本芸術院の会員に選出され、24年には旭日中綬章を受章していた。

編集部おすすめ