◆JERAセ・リーグ 巨人0―2阪神(28日・東京ドーム)

 普段は、おとなしく控えめな阪神・高橋遥人投手(30)が、秘めていた感情を解き放った。2―0の9回2死二、三塁。

前の打席まで通算被打率6割6分7厘(9打数6安打)の天敵・岸田を低めのツーシームで空振り三振に斬り、けたたましくほえた。「アドレナリンが出ていた。めっちゃ何か叫んじゃいました」。21年10月2日・中日戦(甲子園)以来、1638日ぶりの完封勝利。セ・リーグのシャットアウト一番乗りだ。

 公式戦では初バッテリーの伏見と息を合わせ、5回1死まで一人の走者も出さなかった。8回1死では中山の打球を左膝に受けてベンチ裏に下がったが、続投して代打・丸を一ゴロに仕留めた。プロ初完封した21年9月25日・巨人戦の舞台も東京D。それでも、前回25年9月13日は3回6失点(自責2)と苦杯をなめており「やっぱり頭の中に入っていた。それに打ち勝てたのが一番うれしい」と頬を緩めた。開幕2戦以内に巨人戦で完封した阪神投手は、1940年の若林忠志以来、86年ぶり2人目だ。

 21年11月に左肘のクリーニング手術。

その後に左肘内側側副じん帯再建術、左尺骨短縮術、左肩関節鏡視下クリーニング術、左手首プレート除去術と4年間で計5度もメスを入れてきたが、その度に不屈の精神と周囲の支えで乗り越えた。100球以上を投げたのも5年ぶり。「本当に、みんなのおかげ。うれしいです」。大好きな糖分たっぷりのジュースを断ち、25年オフに3~4キロの減量にも成功。身も心もすべて、この日のマウンドに合わせてきた。

 プレートを入れていた左手首周辺の筋力は完全に戻っておらず、その部分は「伸びしろ。まだまだ良くなる」という進化の余地。開幕戦の黒星から一夜明け、快投でチームに今季初勝利をもたらした不死鳥左腕は「1年、どんな形でも投げきる。頑張ります」とフル回転の覚悟と責任を言葉にした。藤川監督も「素晴らしいピッチング」と大絶賛した男が、球団史上初のセ・リーグ連覇を目指す2026年のカギを握る。(中野 雄太)

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