◆サッカー国際親善試合 日本 1―0 スコットランド(28日、英グラスゴー・ハムデンパーク)

 スコットランドの聖地・ハムデンパークのピッチに、見慣れない、しかし誇らしげな姿があった。左腕にキャプテンマークを巻き、左ウイングバックとして先発したMF前田大然だ。

セルティックで地元ファンからも愛される韋駄天が、「人生初」という大役を任された。

 森保一監督からゲームキャプテンを告げられたのは、試合当日のランチ後だった。英国遠征のチームキャプテンは堂安律が指名されていたが、この日はベンチスタートで、前田に大役が巡ってきた。「そういうキャラでもないし、ちょっとびっくりした」と正直な胸の内を明かす。それでも、指揮官がこの地を主戦場とする前田に託した期待は大きかった。

 「ここに来られなかった選手、今まで引っ張ってくれた選手、ケガで離脱した選手たちの分までやらなければいけない」。試合前、経験の浅い若手が並ぶ先発陣に対し、前田は主将としてその覚悟を伝えた。

 人生初の主将。戸惑った前田が真っ先に頼ったのは、負傷のため英国遠征は招集外となったが、この日はリバプールから駆けつけてスタンドで観戦していた本来の主将・MF遠藤航だった。

 「さすがに人生初なので、これやばいなと。コイントスのやり方も知らなかった」。急いで遠藤に連絡し、経験談を聞いた。

チームメートからは日差しを考慮して陣地選択の希望を伝えられたが「コイントスに負けて、相手が陣地を取り、ボールしか取れなかった」と苦笑い。「言ってることとやってることが全然違った」と初々しいエピソードを明かした。 

 左ウイングバックでの出場となったこの日。攻撃面では「もっとボールをもらってどんどん仕掛けないといけない」と反省点を挙げた。一方で、守備面では持ち味のスピードを生かし、序盤の劣勢時や、ショートカウンターを食らいそうになった場面でも、鋭い切り替えで貢献。「ここで耐えれば後半にチャンスが来る。カタールW杯から積み上げてきた粘り強い戦い」と冷静に戦況を見つめ、無失点に貢献した。

 「まさか自分のサッカー人生で、この姿(主将)を見せられるとは誰も想像していなかったと思う。支えてくれた人たちへの感謝を持ってプレーした」。

 森保監督の粋な計らいに、献身的なプレーで応じた前田。その姿こそが、スコットランドでも愛される理由だった。

編集部おすすめ