馬トク報知で過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】。今回はシーキングザダイヤが勝ち、チャーチルダウンズCの前身でもある2004年のアーリントンCを取り上げる。

母は名牝シーキングザパール。のちに“最強の善戦マン”と言われる超良血馬の重賞初制覇だった。

 驚くべき勝負根性で差し返した。シーキングザダイヤは直線でカリプソパンチにかわされかけたが、二枚腰を使ってもうひと伸び。半馬身差をつけてゴール板を駆け抜けた。「3連勝すべてが、一度並ばれてから伸びる競馬。まだ精神的に若いし、もっとよくなってくると思いますよ。母に追いついて、追い越してほしい」と母の主戦でもあった武豊は大きな期待を寄せた。

 偉大な母の遺伝子を、初めて受け継いだストームキャット産駒がシーキングザダイヤだ。母譲りの潜在能力はG1級…誰もがそう期待していた。直線で並ばれながら突き放した前走のクロッカスSは、逃げて上がり3ハロンを33秒9でまとめたのだから後続はたまらない。「とにかく、見た目は母にそっくり。

ガッといく(危ない)ところも似ていますが、プラスして力強さがある。明らかに“モノ”が違いますよ」と母も管理した森秀厩舎の今井助手。偉大な母の姿を重ね合わせた。

 続くニュージーランドTで4連勝を飾るも、大目標のNHKマイルCでは7着に敗れた。その後は果敢に欧州G1を転戦。結果が出ない中、陣営が選んだのが砂路線だった。これが奏功する。フェブラリーS、JCダートはともに05、06年で2年連続、東京大賞典でも05年に2着。G1では2着9回と最後までビッグタイトルに手が届かなかったが、地方交流を含む重賞5勝を挙げるなど存在感を発揮した。

 シーキングザパールは1998年のモーリス・ド・ギース賞で、日本馬による初の欧州G1制覇を成し遂げた。数々の名馬を知る名手にとっても特別な存在だ。当然、その子供にも思い入れは強い。

2007年のフェブラリーSでは詰めの甘さを指摘される点に対し、「いつも力を出しているから2着に来る。3着より立派じゃないですか」と相棒をかばう面も見せた。

 2007年の東京大賞典(6着)を最後に現役を引退。北海道新冠の優駿スタリオンステーションで種牡馬となった。

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