近年、SNSやビジネスニュースを中心に「管理職罰ゲーム化」という言葉が飛び交っている。かつてはキャリアアップの象徴であったはずの「昇進」が、今やリスクや負担として捉えられている側面は否めない。

株式会社エフアンドエムネットは企業で働く男女300名を対象に、中間管理職に関するアンケート調査を行った。

 まず、現在管理職(係長・課長・部長なで)であるかという質問に対し、「はい(管理職である)」と答えたのは39.7%、「いいえ(一般職・非管理職)」は48.0%。ただ、注目すべきは「役職なしだが実質的にマネジメント業務あり」と回答した12.3%の存在だ。これらを合わせると、全体の52.0%が何らかの形で管理・調整業務に従事していることになる。人事労務の視点で見れば、役職手当や正式な権限が十分に与えられないまま、実質的な責任だけを負わされている「名ばかりマネジメント層」が一定数存在している懸念がある。これは、組織図上の役職定義と実務の実態が乖離しているサインであり、現場の疲弊を招く大きな要因の一つと言える。

 将来的に管理職になりたいかどうかを尋ねたところ、「あまりなりたくない」との回答が63.3%に達し、「なりたい」の36.7%を大きく上回る結果となる。この「管理職離れ」とも言える数字は、企業にとって次世代のリーダー育成が極めて困難なフェーズに入っていることを示唆している。同社はこの現状について、労働価値観が多様化する中で、組織への貢献よりも個人の生活やメンタルヘルスを優先する傾向が強まっており、管理職というポジションが持つ「魅力」よりも「負担」が勝ってしまっていると記している。

 管理職になりたい(またはなりたくない)理由(複数回答)では、「責任・プレッシャーが増えるから」が52.3%で最多を占める。次いで「長時間労働になりそうだから」が33.3%、「部下育成や人間関係が面倒だから」が32.0%と続く。一方で、ポジティブな理由である「報酬・給与が上がるから」は31.3%に留まり、責任感による精神的負担や時間的拘束を相殺できるほどの経済的インセンティブを感じられていないことが分かる。

人事労務としては、単なる給与改定だけでなく、管理職の「職務範囲」を再定義し、過度な責任集中を分散させる組織設計が急務であると同社はつづっている。

 自社の管理職が「罰ゲーム化」していると感じるかどうかについては、「ある程度感じる」45.7%と「非常に感じる」11.0%を合わせ、56.7%が肯定的な反応を示した。一方で「全く感じない」は8.7%に留まる。

 なぜ管理職の仕事でストレスを感じるのかについては、「上司・経営陣からのプレッシャー」が30.7%、次いで「業績・数字責任」16.3%、「部下育成・評価」11.7%となる。同社は、部下との関係性(育成・評価)よりも、上層部との関係性に強いストレスを感じている点に注目し、組織の結節点である中間管理職が、上からの要求を咀嚼しきれずに現場へ下ろさざるを得ない「防波堤」としての限界を迎えている様子が伺えると指摘している。

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