関東大学サッカー連盟は30日、4月4日に開幕するリーグ戦へ向けた記者会見を都内で行った。会見には連盟の役員、1部に所属する各大学の主将が出席。

記念すべき100回目のリーグ戦へ、J1柏への入団が内定している中大のDF常藤奏は「チームのために戦う(ユニホームの色の)金茶スピリットを胸に、チーム全員がアグレッシブに最後まで戦いきる。リーグ優勝目指してチーム全員で頑張りたい」と意気込んだ。

 会見後に常藤はスポーツ報知の取材に応じ、柏への入団を決めた経緯を明かした。柏からコンタクトがあったのは昨年11月、最終節の東洋大戦後。当時、東洋大に所属していたDF山之内佑成の視察に訪れていた李昌源(リ・チャンウォン)スカウトから声をかけられた。常藤は大学から本格的にサイドバック(SB)に転向し、183センチのサイズを持ちながら、フィジカル、スピード、技術を併せ持つ、攻守に優れた大型SBという唯一無二の選手に成長。当然、多くのクラブからオファーが殺到し、同10月の時点でJ1の13クラブからオファーが届いた。その中で、最初の接触まで柏はオファーを出していなかった。

 ただ、柏はずっと気になる存在だった。常藤が在籍していた大阪・興国高での3年時の夏、千葉県内で行われたパワーワーク杯で同校は優勝を果たした。柏の練習場などでも大会は行われ、予選の同組には柏ユースがいた。そこでの活躍が目に留まったのか、柏からの誘いが部を通じて届いたという。

ただ、高校2年時には既に中大への進学を決めていたこと、そして「フィジカル的にもまだ未熟だった」ことで、大学サッカーへの道を選択した。

 当時は断ったが、高校時の誘いはずっと頭に残っていたようで、「大学でも柏から(オファーが)来ないかな、と思っていた」。李スカウトから声をかけられた時は「(自分が)大学に入ってパワフル系(な選手)になったので、今はもうレイソルは(自分を)好んでいないのかな、と思っていた」と伝えたというが、ずっと動向は追っていたことを説明された。かくして、他クラブと比べてやや遅いタイミングだったにも関わらず、柏が自身の進路の選択肢の1つに食い込んだ。

 争奪戦は国内だけにとどまらない。スペイン、ベルギー、スウェーデン、デンマークなどの欧州1部クラブからも、トライアウトの誘いが届いた。あるクラブからは「トライアウトで良ければ、すぐに加入」という条件の話もあったといいう。ただ、本人は冷静で、自身を客観的に分析した結果、国内を選択した。

 最終的な候補となったのは柏と神戸。大学の佐藤健総監督と相談し、両クラブのキャンプに練習参加し、そこで最終決定することにした。「すごい悩んだ」結果、最終的に自身の成長、そして性格を加味して柏を選んだ。まずは成長。

「(ポゼッションスタイルの)環境下で、自分はこれまですごい伸びてきた」と語るように、柏のリカルド・ロドリゲス監督が志向し、自身も小学生の時から長く慣れ親しんだポゼッションスタイルのチームであることが、決め手の1つとなった。

 「神戸の4―2―3―1や、4―4―2の、オートマチックな前に激しいアグレッシブなサッカーももちろん伸びると思うが、柏の方が(ボールを)つなぐ部分も伸びるし、3―4―3で例えば前(からの)プレ(ス)をかけられてマン(ツーマン)ではめられたときの1対1で剥がす能力もつくなと思った。(柏での)キャンプ最終日、広島戦をウィングバックで出て、菅(大輝)選手とマッチアップしたが、スピードでも突破できるし、ビルドアップでも4バックっぽいやり方をしていた。可変をすごくするので、3―4―3の形にとらわれることなく、サイドバックの位置に入ったり、ボランチの位置に入るシーンもあった。戦術的な部分ももっと伸びるし、3―4―3ならよりゴールにも絡めると思った」

 性格は神戸と柏で対照的で、「真逆というか、180度違う環境、雰囲気の中でやらせてもらった」と振り返る。神戸は「海外チックな、サッカーで認められればなじめる雰囲気。すごくわちゃわちゃしていた」と、にぎやかな雰囲気だったのに対し、柏はおとなしい選手が多くそろうことから、「キャンプの時のごはんが静かすぎた」。興国高時代には生徒会長を務めるなど、誠実ながら快活な性格の常藤だが、にぎやかな神戸ではなく、「物静か」な柏に自身の役割を見いだした。

 「最初は少し入りづらかったが、サッカーをしているうちにコミュニケーションを取るようになり、慣れも出てきて、居心地が良くなった。すごい静かだが、だからこそ逆に自分に合うと思った。自分がレイソルにスパイスを加えることで、また違ったレイソルが出てくるんじゃないかな、と」

 明確な未来図も思い浮かべている。

 「Jリーグで経験を積んで、(27年の)E―1(選手権)で日本代表に入って、海外に行く。

それで、海外で2年間出て、2030年のW杯に出る。W杯が終わってから、プレミア、ラリーガの上位ビッグクラブに行けるように考えている」

 既に柏の特別指定選手として登録されているが、百年構想リーグの間は大学の活動に専念する予定。大学を4年間やりきる意志が非常に強く、最終学年の今季は主将にも就任した。ただ、秋春制の新シーズンは「リーグ戦に絡んで欲しいとリカルド監督に言われれば、中央大学との兼ね合いも見て、(大学4年時の)山之内選手のように、(大学のリーグ戦の)空き週に行くかもしれない」と、出場の可能性も示唆した。今月に行われた全日本大学選抜の活動でも主将を務めた21歳は、明確に思い描く自身の将来像を胸に、大学最後のシーズンに挑む。(浅岡 諒祐)

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