ルールは増えている。だが、それが行動に結びついているかは別問題だ。

理解したつもりのままハンドルを握る。その曖昧さが、交通の現場に静かに広がっている。

 三井住友海上火災保険株式会社が2026年3月13日~16日に実施したインターネット調査(自転車事故率上位10都府県のドライバー20~60代、1000人)によると、4月1日に施行される改正道路交通法について「知っている」と答えた人は75.4%に達した。一方で「内容まで理解している」は27.4%にとどまり、認知と理解のあいだに大きな隔たりがある。

 象徴的なのが、自転車の違反に反則金を科す「青切符制度」だ。認知は78.3%と高いが、「詳しく知っている」は26.1%。さらに、自動車が自転車などを追い越す際の新ルールに至っては、認知49.8%、理解17.1%と一段と低い。制度そのものは知られていても、具体的な行動に落とし込めていない現状が浮かぶ。

 意識面では支持が先行する。青切符制度には78.3%が賛成し、取り締まり強化を望む違反としては「スマホながら運転」が64.5%で最多となった。危険性の認識は共有されているが、それが新ルールの理解に直結しているわけではない。

 さらに不安も広がる。

追い越し時の新ルールについて「守れるか不安」と答えた人は58.9%にのぼり、半数以上が戸惑いを抱えている。効果についても「変わらない」が51.2%と、「減ると思う」40.8%を上回った。「十分な間隔」という抽象的な基準が、現場での判断を難しくしている可能性がある。

 制度への期待自体は小さくない。「交通事故の未然防止につながる」と考える人は約6割に達する。ただし同時に、76.5%が「周知が十分ではない」と回答。20代は「SNS・WEB」、30代以上は「テレビ・ラジオ」と、求める情報経路にも世代差が見られた。

 ルールは制定されただけでは機能しない。理解され、具体的な判断基準として内面化されて初めて、行動を変える。数字が示しているのは、制度そのものよりも伝え方の遅れだ。知っているのに守れない。その隙間をどう埋めるかが、次の課題になっている。

編集部おすすめ