◆国際親善試合 イングランド0ー1日本(3月31日・ウェンブリー)

 サッカー日本代表が聖地ウェンブリースタジアムで、イングランド代表に1ー0で勝利した。

 「excellent」(エクセレント)。

今夜の日本のパフォーマンスをどう思う?と問いかけると、2005年から英BBCの主任フットボール記者を務めるフィル・マクナルティ氏が開口一番にそう答えた。

 ラテン語を語源とするエクセレントは「高く突出する」という意味があり、際立って素晴らしいという感覚で使われる言葉だ。

 そしてマクナルティ氏自身の原稿にも使われていたが、日本の勝因として「sharp」(シャープ)という言葉を何度か口にした。

 確かに、この日イングランドはエースを欠いた。「バイエルン・ミュンヘンだってFWハリー・ケイン抜きでは見劣りする。偉大なチームは偉大な選手に頼る。それが現実だ」とトゥヘル監督が試合直後の会見で語ったように、攻撃の大黒柱ケインが不在。今季のプレミアリーグと欧州CLのダブル優勝の可能性があるアーセナル所属のサカとライスも不透明な故障を理由にして、この日本戦直前に代表キャンプを離脱していた。

 しかし、マクナルティ氏はそんなベストメンバーではなかったイングランドの言い訳も「今夜の勝利の価値を奪うものではない」と語り、日本代表の歴史的勝利を讃えた。

 もちろん三笘が、中村との”シャープ”な連係で、ブライトンのエースとしての決定力をこの代表の舞台でも誇示したことは大きい。だが、それ以上にBBC主任記者は先週土曜日のスコットランド戦に続き、このウェンブリーでのアウェイ戦でもイングランドを失点「0」に抑えた日本の守備に注目した。

 マクナルティ氏は「日本の守備は組織的でインテンシティが全く落ちなかった。

イングランドは最後にDFハリー・マグワイアを中心にしたパワープレーを展開したが、強い守りで跳ね返した。これまでの日本はロングボールやセットプレーで攻められた場合、高さと強度で劣る弱点が露呈すると思っていたが、そんなイメージは今夜でなくなった」と、日本の鋭くて強靭な守備に舌を巻いた。

 一方、元タイムスの主任記者で現在はフリーで活躍するヘンリー・ウィンター氏はキックオフ1時間前に配布された先発表を見ると、センターフォワード不在のイングランドに眉をひそめ、「日本の勝利がある」と発言。フォーデンの偽9番がはまらなかった母国の代表チームの無得点を試合前に予言した形になった。

 これは余談になるが、岡崎慎司がレスターに所属していた時に親交を深めた元レスター・マーキュリー紙の番記者で、現アスレティックス記者のロブ・タイラー氏からは試合終了直後に「今夜の日本には心から感服した。この夏のW杯できっと素晴らしい結果を残すはずだ」とメッセージが届いた。

 どんな形でも敵地でイングランド相手に1-0勝利を飾るのは困難だ。その難しさを知るサッカーの母国の記者たちが、日本を称賛した言葉の意味は大きい。(森 昌利)

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