採用が決まった瞬間、企業側の関心は次の候補者へ移る。しかし、その裏で入社を待つ側の心理は揺れ続けている。

見えにくい空白期間にこそ、定着の分かれ目が潜んでいる。

 株式会社ウィルネクストが実施した「転職者の心理状態と企業フォローに関する実態調査」(2026年2月10日~13日、25~29歳の転職経験者300人対象、インターネット調査)によると、約8割が入社前に不安を感じていた。不安の中心は給与や制度ではなく、「職場に馴染(なじ)めるか」「スキルが通用するか」といった心理面に集中している。

 にもかかわらず、企業側の対応は必ずしもかみ合っていない。最も多いフォローは事務連絡で29.0%にとどまり、キャリアや目標に踏み込む面談は7.3%と少数にとどまる。さらに、何らかのフォローを受けた転職者のうち40.4%が、不安は軽減されなかったと回答しており、対応の質が問われている。

 背景には、入社前の設計不足がある。調査では約6割がキャリアを十分に整理しないまま転職を決断しており、ミスマッチの芽は入社前から生まれている。また、不安を誰にも相談できなかった人のうち46.7%が相談相手がいないと答え、孤立した状態に置かれている実態も明らかになった。

 転職者が求めているのは、人事的な連絡以上の接点だ。「配属先の上司や同僚からの連絡」を望む声が27.3%で最多となり、現場との関係構築が安心感に直結している。入社後には74.3%が理想と現実の差を感じており、従来の入社日を起点とする従来の受け入れ設計では遅い可能性がある。

 採用は内定で終わらない。むしろその先にある見えない時間こそが、定着を左右する起点になっている。

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