◆国際親善試合 イングランド0―1日本(31日、英ロンドン)

 【ロンドン(英国)31日=金川誉、森昌利通信員】FIFAランキング18位の日本代表は、サッカーの聖地・ウェンブリースタジアムで、同4位のイングランドに1―0で勝利した。前半23分に奪ったMF三笘薫(28)=ブライトン=のゴールを守り切り、4度目の対戦で歴史的初勝利を手にした。

イングランド・サッカー協会によると、アジア勢が同国に勝ったのも初めて。北中米W杯のメンバー発表(5月下旬)前最後の活動となった英国遠征を2連勝で終え、優勝を目指す本大会へ弾みをつけた。

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 聖地がどよめいた。日本刀のように鋭く、美しいカウンターだった。前半23分。三笘は自陣中盤でボールを奪うと、まっすぐにゴールへ向かった。左サイドを駆け上がるMF中村にスルーパスを出してさらに加速。そして中村からのリターンパスが届くと、右足ダイレクトシュートでゴールを破った。するとイングランドサポーターは声を失い、約8万人の1割にも満たない約6000人の日本サポーターの声だけが響く、異様な空気に包まれた。

 「僕もプレミアでやっている身としては負けられない気持ちは強かった。ウェンブリーというだけじゃなく、日本代表として、選手として認められないといけなかった」。ウェンブリーで日本人が得点したのは1995年の井原正巳以来、31年ぶり。

24年9月の中国戦以来、自身1年半年ぶりの代表戦ゴールでサッカーの母国を沈黙させた。

 「チャンスは少ない。そこで決めきるか。チームに勢いをつけることができるか」。三笘がこの試合で、自らに課したタスクだ。4季目となるブライトンでは、サイドを切り裂くドリブラーとして名をはせてきたが、そのスタイルは少しずつ変化し、今季は中央付近でのプレーも増えた。MF南野拓実久保建英を負傷で欠く森保ジャパンでも、2シャドー(1・5列目)の一角として出場して結果を出した。

 日本代表では、左ウィングバック(サイドMF)での起用が主だった。ボランチのMF鎌田は、三笘こそが現代サッカーに置ける理想的なシャドーの姿だと語る。「僕がシャドーでやりたくないという理由が、まさにそこ。世界トップとやると、足元のうまさだけではどうしようもない。できるだけ前に推進力を持ってプレーすることが、チームとしても大事」。

限界を感じ、ポジションを移した鎌田が推す「シャドー三笘」。スピードが支配する現代サッカーに置いて、日本が持ちうる最も鋭利な刀だ。

 試合中から、いくつもの紙飛行機が飛んだ。イングランドのサポーターが内容に不満の意を表すサインだ。「母国の失望」と同時に、日本の「確信」を映し出した。「今までの戦い方をすれば勝てる自信はあった。この戦い方を本番でできるかが大事」と三笘。サムライたちが聖地に刻んだ足跡は、優勝を目指すW杯につながっている。

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