◆JERAセ・リーグ 中日2―1巨人(2日・バンテリンドーム)

 くるっと回り雄たけびを上げた。移籍後初先発の則本昂大投手(35)が闘志に満ちてガッツポーズした。

最後はブライトを三ゴロ併殺打。開幕6戦目でチーム最長7回を投げ抜き5奪三振2失点とハイ・クオリティー・スタートを達成した。「初登板でチームも連勝していた。勝ちたかったけど、本当に大野さんが良い投球をした」。援護なく黒星デビューとなったが、今後に希望をともす85球だった。

 大胆かつ丁寧に。今季初マスクの山瀬と初回から息を合わせた。モデルチェンジした熟練の投球で無四球。最速147キロ、チェンジアップなど緩急を軸に組み立て、阿部監督も「試合はつくってくれた。次につなげてほしい」と評価した。

 唯一の失投は5回。1死一塁から抜けたスライダーをサノーに左翼席まで運ばれた。

投げた瞬間顔をしかめた悔いの残る2ラン。「先制点がキーになるところで僕の投げミス。もったいない」。この日は勝ちパターンの大勢と田中瑛が3連投を回避するため“上がり”として起用しない方針だった。その中で、7回までマウンドに立ったことは大きな貢献だった。「負けてしまったけど他の中継ぎ陣が休めた。明日につながると思う」。昨季まで2年間リリーフを務めたからこその言葉でもあった。

 舞台は名古屋。実は縁のあるマウンドだった。三重中京大2年時。ナゴヤDで行われたスピードガンコンテストに参加した。

「近くでラミレスがストレッチしてた(笑)」。当時19歳。肩慣らしもせずジャージー姿で143キロを投げ込んだ。とんでもない“一般人”の登場に球場は大盛り上がり。その時に見た中日―巨人戦が人生初のプロ野球観戦だった。登板3日前。当時の記憶をたどりながら「まだ名古屋で勝ったことないんよ」とプロ14年目での敵地初勝利を描いていた。

 大学時代のチームメートも応援に駆けつけていた一戦。大型契約で加入したFA戦士は降板後もベンチの最前列で野手陣を鼓舞し続けた。「今日我慢強く投げられたことは次の登板につながると思う」。次回は9日の広島戦(マツダ)を予定。下を向く必要はない。

(堀内 啓太)

編集部おすすめ