学び直しという言葉が日常に入り込みつつある一方で、人はどこまで自分を変えようとしているのか。海外経験への期待と実際の行動の間に、静かな隔たりが見えてきた。

 株式会社NEXERと株式会社毎日エデュケーションの共同調査(2026年3月16日~26日、全国の男女500人)によると、「自分をアップデートしたい」と感じる人は39.4%にとどまった。「よく感じる」12.4%、「たまに感じる」27.0%で、6割以上は強い必要性を感じていない。理由には時間の制約や報酬への反映の乏しさなど、現実的な事情が並ぶ。

 一方で、海外経験の価値については評価が高い。「日本社会でプラスになる」との回答は62.2%に達した。内訳は「とてもプラス」が20.0%、「ややプラス」が42.2%。スキルとしては語学力が84.6%と突出するが、異文化理解55.6%や精神面の成長39.5%も続き、単なる語学習得にとどまらない期待が広がっている。

 しかし、実際に行動へ移す意欲は限定的だ。仮に1カ月の自由時間と十分な予算があった場合でも、留学したいと答えたのは28.8%にとどまる。海外経験を前向きに捉える層との間には、明確なギャップがある。

 行き先の志向も興味深い。留学希望者の59.0%が英語圏を選び、ヨーロッパ29.9%、アジア7.6%と続く。

語学力向上を軸にしつつも、文化や歴史、心理的な安心感など、選択基準は多様だ。

 さらに、留学に期待する内容の1位は異文化理解で61.8%。人脈形成46.5%、精神的成長37.5%が続く。語学以外の価値が前面に出ている点は象徴的だ。

 評価と行動のずれは、リスクとリターンの見えにくさに起因するのかもしれない。海外経験の意義は広く認識されているが、それを自分事として引き受けるには、時間や費用以上のハードルが存在する。調査は、スキルの必要性よりも、踏み出す意思の難しさを浮き彫りにしている。

編集部おすすめ