スピードスケート女子で今季限りで現役を引退した高木美帆さんが6日、都内で記者会見を行った。女子最多五輪通算10個のメダル獲得、日本勢初の世界選手権オールラウンド部門優勝など数々の歴史を刻んできたレジェンド。

銅メダルを獲得した3月の世界選手権でリンクに別れを告げた。会見には髪をまとめブラウス、パンツスーツを白でそろえ、笑顔を交えて登場した。

 引退の理由について「自分が憧れたアスリート像をこの先、4年間全うすることは厳しい。決断したというより、受け入れた」と落ちついた様子で明かした。22年北京五輪後にナショナルチームから独立し、ヨハン・デビットコーチと二人三脚で歩んできた高木。

 一番最初にヨハンコーチから教わったのは「マインドセットの方法」という。「どんなことをするにもプロの意識を持つように。どの決断をするにも、プロスケーターはどういうことをするんだろうって考えて意思決定した」。甘い物の制限や夜更かしなど私生活についても「プロ意識を持ち続けることが自分の中で大きなマインドとしてできあがっていた」と理想のアスリート像が徐々にできあがった。

 長く「理想のアスリート像」を持って過ごしてきたが「最後の4年間は葛藤もあった。過ごしていくうちに、世界トップで戦う人たちのスケートに対する姿勢、時間の過ごし方を学ぶようにもなった。どんどんスケートが自分の一部になっていったとも感じる。

スケートを通して、良い人生を送れていると感じるようにもなりましたが、理想のアスリート像と離れていると感じる部分もできるようになった」という。「昔のような厳しい時間、自分に対して圧をかけることが、少しずつ難しくなった」。

 結果に対する思いが薄れていったわけでは無い。ただ、ふと外を歩いているとき「もしかしたら自分の思う憧れのアスリート像ができなくなっているから、喪失感、もどかしい気持ちになっているのかなって感じた。4年前だったら、それならもっと高めれば良いと思えていましたが、その時に、自分が受け入れていると感じた。アスリートをやめるときなのかなって感じました」。様々な感情の変化があった上での決断だった。

 ◆高木 美帆(たかぎ・みほ)1994年5月22日、北海道・幕別町生まれ。31歳。帯広南商、日体大卒。18年世界選手権総合優勝。19年に1500メートルの世界記録樹立。

20年全日本選手権で史上初の5種目V。五輪は10年バンクーバー大会に史上最年少15歳で出場。家族は両親と兄、平昌五輪2冠の姉・菜那さん。164センチ。

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