◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 プロ野球のカメラマン席は、グラウンドと客席の間、挟まれた場所にある。プレーの緊張感と客席の熱気の両方を同時に感じ取れる場所で、空気のわずかな変化にも敏感になる。

 プロ野球が開幕して2週間。東京Dは連日、ファンで埋まっている。攻撃の勢いが途切れるとシャッターを切る間隔が空き、場内の熱気もわずかに落ち着く。その間を埋めるのが試合直前やイニング間に登場する、巨人のパフォーマンスチーム・ヴィーナスだ。

 動きは大きく、隊列も乱れない。笑顔を絶やさず、観客の視線を集める。数分のパフォーマンスで場内の熱を高める。私まで背中を押され、前のめりになってレンズを構え直してしまう。ヴィーナスの役割は単なる演出ではなく、場内の空気を感じ取り、時にはゲームの流れさえ運ぶ“援護”にもなりうる。

 ヴィーナスのリーダー・高坂咲舞(えま)さんは言う。「控室で中継を見ながら、メンバー同士でポジティブな言葉を掛け合うんです。どんな状況でも全力で応援することは変わりませんが、空気が重い時ほど、大丈夫、できる、勝てる…と強く信じています」。

その思いはスタンドを通して少しずつ広がっていく。

 望遠レンズ越しに見えるのはプレーだけではない。歓声が大きくなる直前、視線がそろう瞬間、場内の空気が動き出す気配…。その前後の雰囲気の変化が好きだ。選手と観衆、そして応援が重なり、一つの試合が形作られる。スコアには表れないが、確かに感じるものがある。(写真担当・宮崎 亮太)

 ◆宮崎 亮太(みやざき・りょうた)2013年入社、ミラノ五輪から帰国し、再び巨人などを取材。

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