サッカーのJ1・千葉は、近年の気候変動に危機感を抱き、「サッカーを続けられる環境を未来の子どもたちに残すため」を合言葉に、サポーターや行政と連携した活動を行っている。クラブの発信力を生かし、持続可能な社会づくりに取り組んでいる。

部門トップを務める高橋薫取締役が、このほどスポーツ報知の取材に応じた。(取材・構成=綾部 健真)

×    ×    ×    ×

 きっかけは昨夏の異常気象だった。豪雨や雷の影響で、育成年代や普及スクールの活動が相次いで中止となった。「昨夏は雷や豪雨でアカデミースクールの中止が頻発し、普及コーチが事務所で待機する機会が増えました。心配になって夏の3カ月間で数えると、65クラスが中止。育成年代でも27クラスが中止でした」

 例年夏に開催するU―12の国際大会も酷暑の影響を受けている。「日中はとても開催できる状況ではない。今年は試合時間を15時から21時で検討していますが、小学生の大会で20時キックオフは遅すぎるのではないかと感じています」。こうした事態が重なり、環境問題への本格的な取り組みを決意した

 スクールの中止は子どもたちの機会損失にとどまらず、クラブ経営にも影響を及ぼす。「このままでは5年後、10年後には夏に屋外でサッカーができなくなる可能性もある。それはサッカー人口の減少につながり、日本代表やJリーグ全体の衰退にもつながりかねない」。危機感が原動力となった。

 昨季から本格的に始めたのが、ホームゲームでの割り箸回収だ。千葉市と連携して回収した箸はバイオ燃料のチップ化といった再資源化を進めている。昨季は1試合平均2・6キロだった回収量は、今季は3月7日までのホームゲームで同2・9キロに増加。着実に浸透している。「コンコースでも回収量が増えてきたのを実感します。我々の強みは発信力。なぜ回収するのかを伝えることで、意識や行動、仕組みが変わっていく」。クラブが取り組む意義を強調した。

 主要株主のJR東日本と連携し、自家用車の利用減による二酸化炭素削減を目的とした公共交通機関の利用促進のための鉄道スタンプラリーも実施。昨季はフクダ電子アリーナ最寄りの蘇我駅だけではなく、秋田駅、仙台駅、いわき駅といったアウェーゲーム開催地にもスタンプを用意した。参加者の8割が「観戦の楽しみが増えた」と回答し、3割が「観戦時に公共交通を利用したい」と答えた。この取り組みは関東のJクラブにも波及し、今後のシーズンでの展開が検討されている。

千葉の活動がリーグ全体を動かし始めた。

 「我々は環境の専門家ではない。使命は環境問題そのものを解決することではなく、未来の子どもたちのためにできることをすること」と高橋氏。「夏でも子どもたちが外でサッカーができる環境を守るために、少しでも貢献したい」と力を込める。今後はクラブの発信力を生かし、パートナー企業や地域、行政、学校と連携し再生可能エネルギーや食品ロス対策にも取り組む考えだ。「ジェフから人々の意識を変えていけたら。特に子どもたちが小さい頃から環境に触れることは大切」。千葉が“未来のピッチ”を守る一歩を踏み出している。

編集部おすすめ