攻撃の総量は落ち着いて見えても、その内側では別の変化が進んでいる。サイバーセキュリティ企業チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズの脅威分析部門による2026年3月の調査では、世界のサイバー攻撃は週平均1,995件と前年同月比で5%減少した。

一見すると沈静化にも見えるが、同社の分析は状況の複雑さを示している。

 特に日本への影響は対照的だ。1組織あたりの攻撃数は週平均1,723件で、前年同期比42%増となった。APAC地域では上位8番目の水準にとどまるが、増加率では最大級となり、攻撃の集中が進んでいることがうかがえる。

 業界別では教育・研究分野が依然として最多で、週平均4,632件の攻撃を受けた。政府・軍関係が2,582件、通信が2,554件で続く。一方で、旅行や娯楽を含む分野は前年比30%増と急伸した。需要拡大に伴う取引増加や外部連携の広がりが、攻撃対象の広がりにつながっているとみられる(同)。

 見逃せないのが生成AIの普及に伴うリスクだ。分析では、プロンプトの28件に1件で機密情報漏えいの可能性があり、17%に何らかの機密性が含まれる恐れがあるという。生成AIツールを定期的に利用する企業の91%が影響を受ける可能性があり、1組織あたり平均9種類のAIツールが併用されている点も管理の難しさを示している(同)。

 ランサムウェアも再び増加傾向にある。

2026年3月の世界での被害公表件数は672件で、前年同月比では8%減ながら前月比では7%増加した。北米が全体の55%を占めるが、欧州も17%から24%へと比率を伸ばしている。

 こうした結果から浮かび上がるのは、攻撃が減ったわけではなく、形を変えているという現実だ。件数の変動に目を奪われるのではなく、技術の進展とともに広がるリスク構造そのものを捉える必要がある。

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