◆JERAセ・リーグ 巨人2―3ヤクルト(11日・東京ドーム)

 最高の笑顔がはじけた。東京Dのダイヤモンドを初めて一周した山瀬慎之助捕手(24)は、ベンチで待つ阿部監督と力強くハイタッチを交わした。

「だいぶ遅いな、と思います」。高卒7年、33打席目で飛び出したプロ1号。阿部慎之助にあやかって名付けられ、星稜時代はLINEのテーマ曲に指揮官の現役時代の登場曲「September」を選んだ男が、憧れ続けてきた人の前で大きな一歩を刻んだ。

 2点を追う3回無死だった。山野の2球目の146キロ直球を逃さず強振し、左翼席中段へ運んだ。2日の中日戦(バンテリンD)に続く今季2度目の先発マスク。「甘い球を完璧に捉えることができた。(打った瞬間)いったかなと思いました」。球界屈指の肩と守備力に定評のある若武者が、バットでこれ以上ないアピールに成功。阿部監督も「本人がいい準備をしてきたから出たんじゃないですかね」と拍手を送った。

 昨年はシーズン順位確定後の10月1日・中日戦(東京D)のスタメンが唯一の1軍出場。タイムリーを放ち「うれしかったです」と公には明るく振る舞ったが、本音はこうだった。

「もう6年目なのに消化試合選手という現実に焦りしかないです」―。オフに他球団移籍も視野に球団と話し合ったのも、試合に出れば活躍できるという自信の裏返し。「プロに守備で入ってきたし、やめるまで守備で売っていくと思う。そこをアピールしていきたい」と足元を見つめながら、飛躍への道を描いてきた。

 計5投手を懸命にリードするも試合は1点差で惜敗。「毎試合ベンチにいても勝ちたいと思ってますけど、自分が出て負けた時はすごく重く責任を感じる」と悔やんだ。指揮官も「勝っていたらもっと格好良かったけどね。まだまだ先は長い。チャンスは必ず来ると思うので、いいところで打ってくれたらうれしい」と期待を寄せた。初本塁打の記念球は両親に贈る予定。「負けたので悔しい。出ない試合も出た試合も、全部勝ちたい」。

そう何度も繰り返す姿に成長の跡がにじんだ。

 ◆山瀬 慎之助(やませ・しんのすけ)2001年5月4日、石川・かほく市生まれ。24歳。宇ノ気中3年時に全国中学校軟式野球大会優勝。星稜3年夏に甲子園で準優勝。ヤクルト・奥川と中、高でバッテリー。19年ドラフト5位で巨人入団。3年目の22年にプロ初安打。177センチ、89キロ。右投右打。

編集部おすすめ