◆プロボクシング ▽WBC世界バンタム級(53・5キロ以下)挑戦者決定戦12回戦 〇同級2位・那須川天心―同級1位・フアンフランシスコ・エストラダ●(11日、東京・両国国技館)

 WBC世界バンタム級挑戦者決定戦で、同級2位の那須川天心(27)=帝拳=が、元世界2階級制覇王者で同級1位のフアンフランシスコ・エストラダ(35)=メキシコ=に9回終了TKO勝利した。昨年11月、WBC同級王座決定戦で井上拓真(30)=大橋=に判定負けから再起し、歓喜の涙をみせた。

喜びの会見の一問一答は、以下の通り。

 ―今日の結果を受けて

「皆さん応援ありがとうございました。無事に勝つことができて、今はホッとしております。勝てて、いや、なんかどんな感じだったっけ?っていうのが、今ちょっと、自分の中であるんで。早く見返してみたいなと思います」

 ―4回が分岐点だった

「(4回終了後の公開採点は)2者がドローで、1者が僕だったんで。なんか、あの嫌なトラウマが、思い返しそうにはなったんですけど。そっからが、本当勝負だなっていうところが自分の中で、前回経験したところだったんで。前回の経験とか試合があったからこそ、今回こうやって乗り越えられたなっていうのはすごい感じております」

 ―乗り越えた試合

「乗り越えはしましたけど、まだまだですよね。やってきたことが全部出たかといったら、全部は出てないし。まだまだやるべきこともあるし。やりながらすごい試合中に成長できた感じがあったし。10ラウンドぐらいやったと思うんですけど、本当にあっという間の時間だったんで。

本当にまだ強くなれるなっていうのが自分の中でやりながらわかった感じはしましたね」

 ―追い込まれてという状況をどう乗り越えた

「乗り越えた。うーん。どうやって…なんかずっと不安もあったし、ずっと自分のことを信じられない時もあったし。でも日々を超えると、大丈夫だってなったり、なんか本当ずっと表裏一体なところに、日常がありまして。だから大丈夫だっていう日もあれば、ああどうしようってなった日もあって。でもやっぱそれを、なんか素直に自分で受け止められるようになったっていうのが自分の中の成長だなと思うし。調子いい悪いとかじゃなくて、それすらもしっかりと自分で対応していこうっていうふうに思えるようになったのが、先のことを考えるとかじゃなくて、本当に今この瞬間をずっと生きてきたっていうのが勝因だったかなと思いました」

 ―井上拓、井岡の勝者と対戦がある。どういう気持ちで5月の試合を見る

「もうひたすら、拓真選手が勝つことを願って。てるてる坊主を作って毎日祈りたいなと思ってます」

 ―勝利が確定した瞬間、何とも言えない笑顔

「初めてな感じでしたね。勝ったっていうのもそうですし、なんか7ラウンド、8ラウンドぐらいから、本当に完璧に自分のペースになってきたので。よし、ここからだっていう時に、セコンドからもっと行けっていうふうに葛西さんにすごい言われて。エストラダより怖かったんですけど。

その重圧に打ち勝ちながら。でもまだまだほんとやれることもやりたいこともあるんで、そこを今後はもっと強くしていきたいなと思うし、試合でね、勝った瞬間を聞いた時に、向き合っててもすごい効いてるパンチがめちゃくちゃあったんで。だから、出てこれないなっていうのも思ったんで。自分の中では、結果的には納得はできてた試合だなと。自分がちゃんと作っていった試合だなっていう、その結果以上に成長できたなっていう試合でした」

 ―ボディーが効いたのは分かっていた

「そうですね。なんとなく、腹入ったなっていうのは分かったし、腹だけじゃなく上も効いてたし。でもやっぱ、誤魔化し方が上手かったし、狙ってる感じもずっとあったんで。なかなか不用意にはいけなかったんですけど。やっぱ前の手をしっかりジャブを使って、自分の距離を作っていくっていうのはずっとできたので。それは前回の試合ではできなかったことなので。すごく自分では成長できたなと思ってます」

 ―アッパー、ストレート、メリハリとパンチのつながりも成長

「自分の中では、倒れるパンチ、これだったら効くんだなっていうパンチが今回の練習ですごい手応えがたくさんあったので。スパーだけじゃなく、試合でもちょっとずつ出てきたっていうのが、自分の中でも核となるものが、自信が生まれたなっていうのは思うんですけど。

これで満足することは一切ないんで、ここからどんどん強くなるだけなので。新しい那須川天心をまた見せられるかなと思います」

 ―会場の歓声

「めちゃくちゃうれしかったですね。やっぱ見てる人も、熱がすごい伝わりましたし、本当に負けて欲しくないなっていう気持ちをたくさんの人から感じたので。だからこそ、いつも以上に集中できたし、いつも以上にみんなと戦ってるっていうのが、試合中にも感じたんで。チームで勝てた試合だなというのをすごく思いました」

 ―相手が最後、コーナーから出てこなかった時は

「10ラウンド目ぐらいで、もう相手も何も、なんか打つ手がなくなってるなっていうのが思ったし、その前のラウンドか。セコンドからも、もう行けって言われたので。いくところだなっていうのは思ってたところ、止まったっていうタイミングだったんで。自分の中では、おお、マジかっていうのもあったんですけど。でも、本当、技術で勝つことができたっていう。運じゃないといいますか、自分のやってきたことでしっかり勝ったっていうのが自信になった。すごいうれしかったですね」

 ―2階級制覇王者の心を折った。今までの天心だったら倒して終わりじゃなかったとか、多分しゃべってた

「そうですね。

高望みをしないと言いますか、なんかKOは次の試合のお預けかなと思いました」

 ―手打ちじゃなくなった、踏み込めるようになった。この数か月でここまで変わった要因は

「これはですね、本当、荒治療ですよ。本当に。自分の精神と、なんか自分のメンタルとか、自分のなんかやってきたことを、全て崖から落とされたんですよね、ずっと。スパーやってもずっと怒られるし、ずっと納得いかないし。本当にライオンって、子供を成長させる時、崖から落としてはい上がってこいみたいな。今回それを試合の1週間ぐらい前までずっとされてた感じがしたんで。でもだから、本当にメンタルも心も、体もずっとボロボロの状態。なんかでも人って、本当にやっぱ何かになりたかったら、そうならないと、狂気にならないと絶対にいけない時があると思うんですけど。そこをちょっと乗り越えられたかなっていうところが、成長したきっかけだと思うし。これはきっかけに過ぎないので。まだまだ、たくさん高い崖を登っていきたいなとは思います」

 ―負けたら引退するぐらいのつもりだった?

「いや、なんかそこは別に考えてはいなかったですけどね。

考えてはいなかったですけど。なんか、何も考えてなかったです。ほんと、次の日がないって思ってましたから、はい。次の日って来るのかな?ぐらいな、そんな感覚でずっといたんで。だからこれからたくさんいろんな予定を立てれると思うと、ちょっと、笑みがこぼれてしまいますよね。はい」

 ―ここまで、拓真の話とか名前を一切出してなかった。なぜ

「僕は、試合に負けるイコール自分に負けただと思ってるんで。僕は、別に人の名前とかで数字だったりとか、他責思考はしたくないので。人のせいっていうより、全部自分のせいだと思ってるんで。全部自分と向き合って、本当に自分に勝つっていうことだけをやってきましたね。だから、人の名前で飯は食わないですね」

 ―レジェンドのエストラダはどうだった

「結構、いいパンチはもらったと思うんですけど、普段だったらそこで引いてたものを、やっぱ練習でずっと葛西さんだったり会長だったり、チームでしっかりと今回はしっかり、ガードを固めて、前に出るときも考えてやってたんで。だから、それがすごいしっかり生きたかなっていう。

前だったら、多分もらって、あ、どうしよう、でもう一回距離取って、相手に飲み込まれてたところがあったと思うんですけど、そこを飲み込まれず、自分がやってきたことを信じて戦えたっていうのが大きいですね」

 ―今日は自分に勝った

「この瞬間は、ですけどね。また明日から日々が始まりますから。普通に今週来週も多分ラジオもありますし、普通の生活が始まりますので、また選手としても人としても、なんか強い男になりたいなと思います」

 ―拓真選手に何かメッセージは

「メッセージですか? いや、特に何もないですね。はい。特に何もないですけど。一応、この勝ったっていうご報告だけさせていただいて」

 ―リング上で怖かったというのは

「何だろうな。試合に挑むまでのことですかね。やっぱ不安なものも出てきたりとか、いろんな葛藤ですかね。っていうのはちょっと怖かったですね。でもやっぱ戦ってると、6、7ラウンド目ぐらいから、自分のやるべきことだけに集中できたというか。ゾーンじゃないですけど、なんかそんな感覚はずっとありました」

 ―それは連敗したらということが?

「連敗したらとかは、あんま考えてなかったですけど。だから最初は、ちょっと思ったんですよね。負けたらどうしようとか。なんかね、負けたらとかっていうのが出てきたんですけど、何だそれ、みたいな。負けとかじゃねえだろみたいな。どんだけピンチでも、やっぱ一発当てれば勝てるんだっていうところを、しっかり磨いてきたので。そこを乗り越えられてここまでこれたっていうのは、自分でも成長できたなとは思ったんですけど。何が怖かったんですかね。やっぱ、人にね、負けを晒すって怖いじゃないですか。人の前で、僕は失敗だとは思わないですけど、負けるってやっぱ失敗だと思うし。人前でね、大恥をかくっていうのは怖いことだと思うし。だけど、挑戦してる人とか、日々をしっかりと送ってる人、一生懸命やってる人しかそういうことってできないと思うから。応援してくれてる人に同じことを、もう一回起こすっていうのは、ちょっと本当に嫌だったんで。そういった人のためにも絶対負けれなかったですね」

 ―世界戦のない興行だった。有料放送、無料放送の議論もある中で、那須川選手というコンテンツを売る上での今の状況と、今後は

「こうなってほしい? うーん、やっぱ、なんだろうな。多分僕って、選手で見られてる人もいるんですけど、なんか1個の生物みたいに見られてる人も多いと思うんですね。こいつ何なんだろうみたいな。そういうふうに選手って思われないといけないなって僕は思うんですよね。表に立ってる以上。だから試合します、応援お願いしますだけだと、多分その瞬間は見てもらえるかもしれないですけど、今後の歴史に残るかって言ったらあんま残んないと思うし。流れてっちゃうと思うんですよね。だから、本当に人間らしさというか、思ってること、感情だったりとか、そういうのをしっかりと世の中に出していくっていうのは僕は大事だと思うんで。だからよくいろんなこと言われるけど、ちゃんと自分は自分の信念を持って言うし。だから常に自分が考えてるのは、AIにできないことを僕はやるっていう、そういう感じですね」

 ―メディアなど

「僕は、自分の国みたいなを作るっていうイメージでいますね。自分のファンっていうか。質のいいお客さんと言いますか。自分のことを本当に応援してくれてる、そういう人を大事にしていきたいなっていうふうに思ってるんで。だから見る人も、見てる人も、何が本当で何が嘘かっていうのをもう結構わかってると思うんで。SNSとか、みんな飽きてると思うし。だから、本当にこれはどうなんだろう、本当なのか嘘かなっていうのをしっかりと見抜けられるような人とに応援してもらいたいなと思ってます。メディアもそうですね。だから、あぐらかいちゃったメディアもダメだと僕は思うし、選手もそうだと思うんで。しっかり言いたいことは言っていくっていうのは、大事かなと思います」

 ―ラウンド間に、初めて座った。狙いは

「葛西さんに、絶対座れって怒られたんで。そこは約束だからみたいな感じで。多分、今後は絶対に座ると思います」

 ―座ってみて

「いやなんか、同じ景色がずっと見れて集中できたんで、なんかもう、あれ癖だったんですよ。本当に。癖でこうなってたんで。もう多分、ずっと座ることができると思うんで。もう大丈夫」

 ―最後に一言

「本当に、勝つことができてホッとしてます。これからもボクシングをしっかり盛り上げたいなと思いますし、必ずリベンジしますので。僕の船に乗っていただければうれしいなと思います。今日はありがとうございました」

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