J2藤枝は元日本代表DF槙野智章監督(38)が就任した今季、終盤でも走力が落ちない集団へと進化した。その背景にあるのが、スプリント指導に特化したアプローチだ。
ハイプレスとボール保持を志向する藤枝にとって、走力も戦術だ。練習では、連続したスプリントや切り返し動作の中で「減速から再加速」を繰り返す。「最初は『いわき化』してほしいと言われた」と秋本氏。昨季まで4年間関わったJ2いわきは「90分間止まらない、倒れない」サッカーを体現している。培ったノウハウを落とし込み、藤枝の変化に手応えをつかみ始めている。
指導の核にあるのは、現役時代に陸上のハードル選手として培った走りの原理原則だ。スピードはピッチとストライドの掛け算。その両立に向け、サッカーの動きに即したメニューへと構築する。「競技に合わせてどうカスタムするかが重要。藤枝の選手はしっかり応えてくれている」と、うなずく。
スプリント指導に加え、リハビリ中の選手や走力向上を目的とした筋力トレーニングにも関わり、個別対応にも取り組む。一方で、同じく今季から指導を行うようになったJ1長崎では、外国籍やベテランが多く、チーム特性に応じて負荷を調整。フィジカルコーチと連携しながらベースアップを図っている。
プロ野球でも走りを指導してきた。ハードルを主戦場とした陸上選手時代、オリックスの選手に走りを指導した際、30メートル走のタイム短縮に一役買った。「0・1秒を削る世界にいたからこそ、変化の大きさに衝撃を受けた」。正しいフォームの重要性に気付き、短い指導で一気に選手の走りが変わった経験が異種競技指導への転機となった。2012年ロンドン五輪挑戦を区切りに現役を退き、「スプリントコーチ」という肩書を自ら掲げた。2016年から21年まで阪神の臨時コーチも務めている。
立ち上げ当初は手探りの連続だったが、知人を通じてサッカー界との接点を広げた。槙野監督とは日本代表DFだった現役時代からの知り合い。約10年来の関係だ。
指揮官は現役時代、夜のミーティングで戦術が書かれたサッカーノートを持ち歩いていたという。「なんでそんなのつけているんですか?」と尋ねると、「俺、将来監督になりたいんだよね。なったら絶対クラブに呼ぶから」と返ってきた。当時は冗談のようにも聞こえた言葉だったが、槙野監督は実際にJFA Proライセンスを取得。今季から藤枝の指揮を執るにあたり、即オファーが届き、驚いた。「実行力というか、夢を引き寄せる力がすごいですよね」。現場での再会は、約束が形になった瞬間でもあった。
指導を続ける中で、充実度と自信が表情に表れている。「藤枝はもっと良くなっていくと思います」
◆秋本 真吾(あきもと・しんご)1982年4月7日、福島県出身。44歳。国際武道大卒、同大大学院修士課程修了。2012年まで400メートル障害のプロ陸上選手として活躍した。引退後はスプリントコーチとして活動。サッカーのほか、プロ野球のオリックス、阪神、西武、アマスポーツなど幅広く指導。競技者として23年アジアマスターズ110メートル障害で金メダル、昨年の同大会100メートルで銀メダルを獲得した。

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