◆JERAセ・リーグ 巨人2―0ヤクルト(12日・東京ドーム)

 しびれる場面でプロ初登板が巡ってきた。2点リードの8回。

オレンジ一色のスタンドから巨人ナインに送られる大声援の中、ヤクルトのドラフト4位左腕・増居翔太はマウンドに立った。トヨタ自動車に所属していた昨年8月30日の都市対抗野球1回戦以来の東京ドーム。無表情に映りながらも「表情を変える余裕がなかったのが正直なところ。緊張して表情筋が機能してなかったです」。重圧が173センチ、74キロの体にかかっていた。

 それでも、きっちりと仕事をするのが即戦力ルーキーだ。先頭のキャベッジを134キロのチェンジアップで空振り三振に。坂本を四球で歩かせ、代打・増田陸に左前打を許して一発を浴びれば逆転される1死一、二塁の場面で、代打・大城を146キロの外角速球で空振り三振に、佐々木を外角への134キロスライダーで見逃し三振に仕留めた。「どんな形であれゼロで帰ってこられたのはよかったと思います」と息をついた。

 7回まで先発の高梨が被安打1、無失点と好投。ブルペンには星、木沢、清水、リランソらもいたが、池山監督はこの日登録したばかりの新人左腕にすべてを託すつもりでいた。「(8回に)増居の登板が決まっていた。

どこかで、緊張する場面でマウンドに上がってもらわないといけないと思っていたので、それが今日になったっていうところ」と説明。勝利を追い求めながらも、新人に経験を積ませる采配が見事にはまった。

 キャンプ、オープン戦から先発候補として調整してきたが、今後は先発のスタッフがそろっていることもあって中継ぎでの待機になりそう。「歓声もすごくてなかなか経験できない雰囲気を味わえました」と増居。プロ初登板で初ホールド。B’zの大ファンで襟足の長い髪形は稲葉浩志を意識したもの。登場曲に考えているのはもちろんB’z。「有名な曲だと十何年の愛が伝わらないので、しぶいところでいこうかなと思っています」。神宮初登板、さらには初勝利の時にとっておきの曲を披露するつもりだ。

 ◆増居 翔太(ますい・しょうた)2000年5月25日、滋賀県生まれ。25歳。彦根東では2年夏、3年春に甲子園出場。

慶大では3年春、4年秋に最多勝を記録した。トヨタ自動車では2024年の日本選手権で2完封を記録してMVPを獲得。社会人日本代表としてアジア選手権に出場し、ベストナインを受賞した。173センチ、74キロ。左投左打。

編集部おすすめ