春先のキャンパスに漂うのは安堵だけではない。ひと息ついたはずの学生たちが、再び企業研究に目を向ける姿が目立つ。

株式会社マイナビの調査によると、2027年卒学生の3月末時点の内々定保有率は58.7%に達した。前年同月から4.1ポイント増え、3月1日時点の46.0%からは12.7ポイントの上昇となる。数字だけ見れば順調に進んでいるようにも映る。

 しかし、その内側では動きが止まっていない。内々定を得ながらも就職活動を続ける学生は34.8%と、前年同月比で5.1ポイント増加した。未内々定者を含めた活動継続率は76.2%にのぼり、前年とほぼ同水準を維持している。内々定の有無にかかわらず、多くの学生が進路を確定させずに模索を続けている実態が浮かぶ。

 分野別に見ると、文系の内々定率は52.5%、理系は68.2%で、依然として理系が高い。ただし前年からの伸び幅は文系の方が大きい。活動継続率は文系83.8%、理系64.3%で、理系の継続が増えている点も特徴だ。早期に内々定を得やすい理系でも、最終的な判断を急がない傾向が広がっている。

 意思決定の背景には、これまでの経験が影響している。

入社意欲が高まったきっかけとして最も多かったのは就職情報サイトの15.7%だが、続くのは仕事体験14.9%、5日以上のインターンシップ13.2%だった。入社予定先を決めた学生でも、志望度が高まった時期として5日以上のインターンシップ20.6%、仕事体験18.2%が上位に並ぶ。実際に働く感覚に触れた経験が、選択の軸を形づくっている。

 調査は2026年3月25日から31日にかけて、2027年3月卒業予定の大学生・大学院生1,677人を対象にインターネットで実施された。内々定率の上昇とは対照的に、動き続ける学生の多さが際立つ。就職活動は早まっているが、決断はむしろ慎重になっている。そんな現在地が、数字の奥からにじみ出ている。

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