梅雨入り後に猛暑が続く、例年にない暑い6月となっている。気になるのは「熱中症」のリスクだ。

住宅における良好な温熱環境実現推進フォーラムが、「熱中症コーナー」を新設したというので、それを参考に熱中症の予防について考えていきたい。

【今週の住活トピック】
ホームページに「熱中症コーナー」を新設/住宅における良好な温熱環境実現推進フォーラム

居間と寝室、最上階に注意。エアコンの未使用は危険。

「熱中症コーナー」の情報によると、熱中症での死亡は住宅(庭を含む家)で発生した事例が、近年は半数近くなっている。

住宅内でも熱中症に要注意!熱中症が起こりやすい部屋は?予防対策は?

出典:「熱中症コーナー」に掲載されたベターリビング作成の資料

暑い屋外に限らず、家の中でも熱中症への対策は必要なのだ。室内にいて熱中症になるのは、室温や湿度が上昇した場合によるほか、夜間にエアコンを使用せずに室温が上がり続けることで起こる場合やキッチンで火を使って調理しているときに起こる場合などさまざまだ。

「熱中症コーナー」で紹介されていた、(公財)健康・体力づくり事業財団「第6回 夏季の室内熱中症を予防する住まいと住まい方」 によると、室内での「熱中症の発生場所は居間と寝室」が多いという。どちらも比較的長くいる場所だ。熱中症による救急搬送患者の88%が、自宅にエアコンが設置されていない、あるいはエアコンがあっても使用していないというので、エアコンを適切に使用することが予防のカギになる。

住宅内でも熱中症に要注意!熱中症が起こりやすい部屋は?予防対策は?

画像:PIXTA

さらに、「屋根直下の最上階、中間階、1階の順に重症患者が多かった」という。最上階は屋根から熱が伝わるからだろう。また、木造住宅よりも、「構造体に熱を溜め込み就寝中も朝まで蒸し暑い状態が続きやすい古いコンクリート造集合住宅」のほうが、熱中症のリスクが高く、特に最上階と中間階で注意が必要だという。

住まいの熱中症対策は断熱と風通し

次に、「熱中症コーナー」で熱中症の予防に役立つ資料として紹介されていた、日本生気象学会(にほんせいきしょうがっかい)の「日常生活における熱中症予防 第3版(2023年)」の中から、「暮らしの中の熱中症対策・住まい」を見ていこう。

まず「建物を断熱して暑さを防ぐ」ことが重要だ。そのほか、「緑のカーテン」で直接当たる日射熱を減らし、外壁と緑のカーテンの隙間に風を通すなども有効だ。

住宅内でも熱中症に要注意!熱中症が起こりやすい部屋は?予防対策は?

画像:PIXTA

さらに、「風通しをよくする」こと。窓を開けて風の入口と出口をつくることが重要だ。玄関や窓を開けたままにすることで防犯に不安があれば、玄関を閉めたままで通風できる玄関ドアを選んだり、窓に面格子やルーバーをつけたりといった対応もできる。

そして、エアコンや扇風機などを活用して、室温が28℃以上にならないようにしよう。

暑さをやわらげ、こまめに水分を補給

「日常生活における熱中症予防 第3版(2023年)」には、熱中症の4つのタイプも紹介している。熱中症には、暑さで血管が拡張して血圧が低下することで起こる「熱失神」、大量な汗をかいて塩分を取らずに水分だけ補給したときに起こる「熱けいれん」、脱水症状を起こして重要臓器への血流が減ることで起こる「熱疲労」(脱力感、めまい、頭痛、吐き気など)、脱水症状が悪化して脳機能に異常を来して起こる「熱射病」などがあるという。

また、熱中症にかかりやすいのは、高齢者(特に75歳以上)、乳幼児や学童、持病のある人、肥満者などだというので、家族にそうした人がいる場合は、予防を心掛けたい。猛暑の日には不要な外出を避け、室内ではエアコンを使用し、こまめに水分を補給するようにしたい。

熱中症の大敵は、このくらいなら大丈夫という油断かもしれない。例えば、布団の上げ下ろし、掃いたり拭いたりの掃除、庭の草むしりなどは、自転車に乗ったり早歩きしたりするのと同じ程度の活動強度だという。

気づかないうちに汗をかいて水分が不足しているかもしれないので、暑さやのどの渇きを感じなくてもしっかり水分を取るなどして、熱中症の予防をしてほしい。

●関連サイト
「住宅における良好な温熱環境実現推進フォーラム」ホームページに「熱中症コーナー」を新設
「熱中症コーナー」

●「熱中症コーナー」で紹介されている資料
(公財)健康・体力づくり事業財団「第6回 夏季の室内熱中症を予防する住まいと住まい方」
日本生気象学会の「日常生活における熱中症予防 第3版(2023年)」

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