「別荘が欲しい」「海が見えるリゾートで暮らしたい」「温泉をのんびり楽しみたい」「快適な書斎が欲しい」そんな夢をすべて叶えた方がいます。
IT企業でテクニカルライターとして働いているmochikoAsTechさんは、東京の自宅はそのまま、新たな拠点として伊豆(静岡県)の築75年のリゾートマンションを1室購入。
約100平米の物件を400万円で取得し、フルリノベーションを加え、理想のリモートワーク環境を構築しました。
購入決断の舞台裏

海と山が一望できる絶景リビング(撮影:小原聡太)
東京の分譲マンションの一部屋を260万円かけて「おうちオフィス」化したmochikoAsTechさん夫婦。その書斎の様子は、SUUMOのジャーナルでも取材したばかりです。
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「おうちオフィスのDIYも楽しかったけれど、自由に間取りや内装から自分で決めることに憧れがあったんです」と語るmochikoAsTechさん。
ある日、友人が購入した伊豆のリゾートマンションに遊びに行った際、海と山が見える眺望に一目惚れ。「私もこのエリアでマンションを買う!」と心に決めたそう。
「海のそばでの暮らしが思っていた以上にとても素敵だったんです。景色がいいし、部屋のお風呂の蛇口をひねるとなんと温泉が出てくる。東京で仕事に没頭する日々でしたが、じんわりと自分がほぐれていくのがわかりました。
『私もここに住みたい!』と思ったので、すぐさま近隣でマンスリーの部屋を借り、東京と行ったり来たりのお試し二拠点生活から始めました。滞在するうちに『このエリアなら暮らしやすいし、コミュニティもいい』と確信して、すぐ購入に向けて動くようになったんです」(mochikoAsTechさん)
マンションとしては格安ですが、400万円の高額な買い物を即決できたのには理由があるそう。
「マンスリーでさっと試してみたことで、実際のところ週に何日くらい使うのか、拠点間の移動にどれくらい時間や労力が掛かるのかという現実が見えて、『これなら自分たちのライフスタイルに合うはずだ』という確信が持てました」(mochikoAsTechさん)
地縁のない地域でのリノベーションは工務店選びが大切

友人たちとパーティーを楽しめる広いリビング(撮影:小原聡太)
もともとはすべて和室の3LDKでした。3室の壁を解体、内装を取り外して一度スケルトンに。

SUUMOジャーナル編集部作成
夫妻がフルリノベーションで最も重視したのは、まず広い書斎を2つ確保すること。
しかし、肝心の工務店とのやりとりがうまくいかず、歯がゆい思いをしたこともあったとか。
「多くの人にとって別荘は『日常を忘れてくつろぐ』ところなので、私達のように本気のおうちオフィスを求める人は少ないみたいでした。『大きな書斎を2部屋つくりたいです』と要望を伝えても、地元の工務店の方はなかなかピンと来なかったようで……。リビングの横にちょっとしたカウンターと丸椅子があるようなプランの提案になってしまうんです。
何度やり取りしても変わらないので『これはダメだ!』と判断しました。それぞれの工務店に得意不得意があるのはわかったけれど、私たち夫婦は建築業界には勘がないし、住んだこともない地方。特殊なリノベーションに対応できる業者を見つけるのは難しかったです。
相談しようと思って工務店に問い合わせをしてみても、どこも返信が驚くくらいのんびりしているんです。質問をしても返事がくるまで一ヶ月くらいかかり、しかも待ちに待った回答は『ちょっと難しいです』という一言だけということもあって……少しでも早く理想の暮らしをスタートしたいのに、これはどうしたらいいんだろう? と頭を抱えました」(mochikoAsTechさん)
そこでmochikoAsTechさんが駆け込んだのは、スーモカウンターリフォームでした。
「スーモカウンターリフォームに問い合わせてみたら、すぐに担当さんが動いてくださり、私達の要望を汲んでくださる素敵な工務店さんにお願いできることになりました」(mochikoAsTechさん)
海と山が見える温泉を手に入れるまでの道のり

スタイリッシュなバスルーム(撮影:小原聡太)
工務店も決まり、無事に工事がスタート。順調でしたが、乗り越えなければならない課題もあったそうです。
「まずは贅沢な景色を楽しめる配置を優先。

バスルームと水回りがフラットに繋がる(撮影:小原聡太)
しかし、トイレの位置を移動させる際に排水管の問題が発生。「トイレから下水管までの距離が長くなっても問題なく排水できるよう、配水管に傾斜をつけるので床を少し上げなければいけません」という提案があったそうです。

バスルームと水回りがフラットに繋がる(撮影:小原聡太)
「十分な天井高が確保できず、開放感が損なわれてしまう」と考えたmochikoAsTechさんは、自分で調べて粉砕圧送式のトイレを提案。これは、排泄物を粉砕し、ポンプの圧力で排水する機能です。従来のような排水のための勾配を気にする必要がなくトイレの設置場所の自由度が高まり、晴れて夢の水回りを手に入れました」

バスルームと水回りはリビングとベッドルームに隣接。使い勝手も抜群(撮影:小原聡太)
リノベーション&カスタマイズで最強のワークスペースを

ウィリアム・モリスの壁紙を軸に、グリーンで揃えたmochikoAsTechさんの書斎(撮影:小原聡太)
書斎で最もこだわったのは、横幅も奥行きも広い造作デスク。大きな32型のメインディスプレイや折りたたみデュアルモバイルディスプレイ、キーボードとレーザープリンターを置いてもまだまだ余裕があります。
ダクトレールにぶら下げるタイプのBOSEのスピーカーで、好きな音楽を流しながら仕事を楽しんでいるそう。

真っ黒な空間に赤を効かせた夫の書斎(撮影:小原聡太)
夫の書斎は壁紙もアイテムもまったく違う雰囲気。L字のデスクにスーパーウルトラワイド曲面ディスプレイを置くことで、没入感があって落ち着くのだとか。右手には冷蔵庫があり、仕事モードの時はキッチンまで立たなくても飲み物が選べるようになっています。
2つの書斎の間には上部に室内窓をつけ、風が抜けるようになっています。
マンションの共用廊下に繋がる窓には遮光ブラインドを取り付け、夜も外に光が漏れないように工夫しました。
最強のリモートワーク環境を求めて回線も徹底チェック

明るく開放的なキッチン。パントリーに繋がる部分はアーチに(撮影:小原聡太)
エンジニア夫妻の家ということで、ネットワーク環境も万全に設計。インターネット回線をできるだけ高速に利用するために、各部屋に有線でLANケーブルを通したそうです。
「あらかじめ壁の中にCD管を配置して、パントリーの点検口に置いたルーターから各部屋のLANポート付きコンセントまでLANケーブルを通してもらいました。
ただ、工務店の担当者から『手元にあるこれでよければ通しておきます』と最初に提案されたLANケーブルの規格がCAT4だったんです(※)。LANケーブルって全部同じように見えるけど実は規格がたくさんあるんですね。せっかく高速な回線を引いても、部屋の中で使っているのが古い規格のLANケーブルだと速度が出ないんです。たとえるなら、家までは太い水道管で水がたっぷり来ているのに、家の中の水道管がすごく細いせいでちょろちょろとしか水が出ないシャワーみたいな状態に……。『令和にCAT4はないでしょう!』と焦ってCAT6Aでお願いしました。
※新規のLAN環境では、CAT5以上の規格が一般的に使用されている
工務店は建築のプロなので、電気周りやテレビのアンテナ工事などには慣れている方が多いです。
東京から伊豆まで週2日ペースで行き来するデュアルワークスタイル
現在は東京の自宅と伊豆のマンションを行き来する生活を楽しんでいるのだそう。
「伊豆にはだいたい、週に2日くらい滞在していますね。平日の早朝にふと思い立って『今日はあっちで働こうかな』と来て、その日のうちに帰ることもあります。 休日に家族と車で来ることもあるし、私ひとりで出先からそのまま新幹線に乗ってパッと来ることも」(mochikoAsTechさん)

大きなバスタブに温泉をためてバスタイムをゆったり楽しむ(撮影:小原聡太)
新幹線で東京から約1時間の好アクセス、そして絶景の温泉付きマンションということで、友人たちが続々と遊びに来るのだとか。
「みんなでボードゲームを楽しみながら、続々と温泉に浸かる。あと夏の時期は新鮮なお刺身や貝を食べながらベランダで花火を観たり。遊びに来た友人たちが気軽に泊まれるように、リビングにソファとしても使えるゲストベッドを3つ用意しました」(mochikoAsTechさん)

キッチンのカウンター下にはカトラリー収納がたっぷり 来客時にも便利(撮影:小原聡太)
お客様分の食器や食材を保管するパントリースペースも十分に確保されています。
「せっかくの2拠点生活だから、東京の自宅ではあまりしないことをしてみようと思ったんです。お水がおいしいエリアだから、コーヒーの器具をそろえて豆を挽いたり、良い炊飯器でお米を炊いて海鮮丼を楽しんだり。そのために家具家電にもこだわりを詰め込みました」(mochikoAsTechさん)

パントリーの棚はHAYのカゴを並べてカラフルポップな印象に(撮影:小原聡太)
理想の働き方と暮らしを、自分たちの手でつくる
地方物件の購入やフルリノベーションにはハードルもあったけれど、「自分たちがどんなふうに暮らしたいか」を丁寧に考えたからこそ、納得のいく空間にたどり着けたのだそう。
「2拠点目だからこそ妥協や間に合わせはやめました。普段は東京の自宅で暮らしているので、引っ越しと違って家具や家電で『納品に数カ月かかります』と言われても大丈夫。本当に欲しいもの、好きなものだけを詰め込んだ理想の家です」(mochikoAsTechさん)
暮らしも、働き方も、自分たちの理想を突き詰めていく。

(撮影:小原聡太)
<撮影:小原聡太 / 取材・編集小沢あや(ピース株式会社)>