令和7年度補正予算が成立した。これにより、「みらいエコ住宅2026事業」も実施が決定した。
【今週の住活トピック】
第219臨時国会において令和7年度補正予算が成立
みらいエコ住宅2026事業について/国土交通省
「みらいエコ住宅2026事業」は「子育てグリーン住宅支援事業」の後継事業
「みらいエコ住宅2026事業」は、2050年カーボンニュートラルの実現に寄与するため、「ZEH水準住宅」や「長期優良住宅」の新築、特に高い省エネ性能などを有する「GX志向型住宅」の新築のほか、省エネリフォームなどへの支援を行うもの。
現在利用できる「子育てグリーン住宅支援事業」は、原則として2025年末で終了する。「みらいエコ住宅2026事業」は、「ZEH水準住宅」「長期優良住宅」「GX志向型住宅」の新築や既存住宅の省エネリフォームなどに補助金を出すという点で、「子育てグリーン住宅支援事業」と同じような制度となっており、後継事業といえるだろう。
ただし、補助額やリフォームの水準などで異なる点もあるので、しっかり理解しておきたい。そこで、新たな制度について説明していこう。
「GX志向型住宅」の新築で最大125万円の補助
みらいエコ住宅2026事業は、大きく分けて「省エネ性の高い住宅の新築」に関するものと、既存住宅の「省エネリフォームなど」に関するものに分類される。まず、「省エネ性の高い住宅の新築」について、詳しく見ていこう。
その前に、省エネ住宅に関する用語について、簡単に説明しよう。
「GX(グリーントランスフォーメーション)志向型住宅」:ZEH水準を大きく上回る省エネ性能の住宅で、環境負荷の低減と快適な住環境の両立を目指すもの。一部の場合を除き、太陽光発電などの再生可能エネルギー設備を導入する必要がある。
「ZEH(ゼッチ)水準住宅」:「断熱等性能等級5」かつ「一次エネルギー消費量等級6」を満たすことが必要で、再生可能エネルギー設備の導入は必須ではない。政府は2030年までに、現行の省エネ基準を「ZEH水準」に引き上げる予定。
「長期優良住宅」:省エネ性能はZEH水準と同程度だが、長く快適に住める住宅として、「構造躯体の劣化対策、耐震性、可変性、維持管理・更新の容易性、バリアフリー性、省エネ性」など、多くの性能について一定レベルが求められる。
「省エネ性の高い住宅の新築」については、省エネ性能がかなり高い「GX志向型住宅」の新築(すべての世帯が対象)と、子育て世帯または若者夫婦世帯※による「ZEH水準」「長期優良住宅」の新築が対象だ。また、新築とは、「注文住宅の新築」「新築分譲住宅の購入」「賃貸住宅の新築(賃貸大家向け)」を言う。
※「子育て世帯」は18歳未満の子どもがいる世帯、「若者夫婦世帯」はいずれかが39歳以下の夫婦(細かい条件があるので要確認)
補助額は、以下のとおり。「ZEH水準住宅」「長期優良住宅」については、古家の除却を伴う場合に20万円の加算がある。
出典:国土交通省「みらいエコ住宅2026事業」概要より転載
また、()内の補助額は、寒冷な地域に配慮したもの。「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律」で定められた「地域区分」は、気候条件に応じて8つに分類されているが、このうち寒冷な「1~4地域」は、省エネ性能を高めるためのコストが「5~8地域」よりかかるため、補助額を増やす対応をしている。
省エネ基準を大幅に引き上げる省エネリフォームに補助
次に、既存住宅の省エネリフォームなどについて説明していこう。
対象となるのは必須工事で、必須工事を行った場合に付帯工事についても補助の対象となる。
●必須工事
1.開口部(窓やドア)の断熱改修
2.躯体(外壁や屋根・天井、床)の断熱改修
3.エコ住宅設備(高断熱浴槽や高効率給湯器など)の設置
●付帯工事
子育て対応改修、バリアフリー改修など
補助上限額は、既存住宅の省エネレベルと改修後の省エネレベルによって、上限額が変わる仕組みとなっている。その際に条件となるのが、省エネ基準だ。省エネ基準は、法改正により、これまで段階的に引き上げられている。
出典:国土交通省「みらいエコ住宅2026事業」概要より転載
既存住宅が、平成4年に制定された省エネ基準(平成4年基準=新省エネルギー基準と呼ばれる)を満たさない、あるいは、平成11年制定された省エネ基準(平成11年基準=次世代省エネルギー基準と呼ばれる)を満たさない場合、省エネリフォームにより、平成11年基準を満たす水準、あるいは、平成28年基準=現行の省エネ基準を満たす水準に引き上げた場合に、補助金が出る。
つまり、最低でも平成11年基準のレベルの住宅にリフォームしたら補助金を出し、現行の省エネ基準のレベルにまで引き上げたら、より多くの補助金を出す形だ。
どの基準からどの基準まで引き上げるかによって、必須工事1~3の内容が変わる。平成11年基準に引き上げるには、1(開口部)や2(躯体)の断熱改修が必要で、平成28年基準に引き上げるには、さらに所定の3(エコ住宅設備)を設置する必要がある。
補助額はそれぞれの工事ごとに細かく定められていて、実施した工事の補助額を上限額まで加算できる。
注意点は、原則として、補正予算案の閣議決定日である2025年11月28日以降に工事に着手したものが対象で、住宅の施工や販売、リフォーム工事を行う事業者が所定の登録事業者であることが必要。また、記載したほかにも、細かい条件があるので、事業者によく確認してほしい。
省エネリフォームは3省連携でさらに拡大
近年、3省(国土交通省・環境省・経済産業省)連携の「住宅省エネキャンペーン」が継続して実施されているが、このキャンペーンが令和7年度も実施されることになった。上手に組み合わせて利用すれば、補助額が増える可能性もある。
既存住宅の省エネリフォームで、高断熱窓や高効率給湯器を設置する場合に、「みらいエコ住宅2026事業」に加え、「先進的窓リノベ2026事業」(環境省)や「給湯省エネ2026事業」(経済産業省)を組み合わせて利用することができる。
出典:住宅省エネキャンペーンにおける3省連携の概要より転載
また、省エネ住宅の新築では、「家庭用蓄電池」などを設置する場合に、経済産業省の補助事業を併用することができる。
最後に、補助額は2025年度の支援事業よりも抑えられている点を指摘しておく。平成28年基準相当に引き上げる省エネリフォームのみが、上限額が引き上げられた。
●関連リンク
国土交通省「みらいエコ住宅2026事業について」

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