政府は、住宅価格の上昇や住宅ローンの金利上昇を踏まえ、住宅取得のための資金調達の選択肢を充実させるための予算を、令和7年度補正予算で組んだ。その予算は、具体的には、35年などの長期間にわたり金利が固定される住宅ローン【フラット35】の改訂などに充てられる。

それによって、【フラット35】はどのように変わるのか、詳しく見ていこう。

【今週の住活トピック】
フラット35の融資限度額の見直し、残価設定型住宅ローン保険の創設等を実施/国土交通省
「【フラット35】令和7年度補正予算に伴う制度拡充のお知らせ」を発表/住宅金融支援機構

【2026年4月(予定)~】借入限度額が8000万円→1億2000万円に引き上げられる

最初に、【フラット35】についておさらいしておこう。

住宅金融支援機構と民間金融機関が提携している住宅ローンで、返済期間中に金利が変わらない、長期固定金利。借りる際の窓口となる提携先の民間金融機関によって、適用される金利や融資手数料が異なる。また、公的機関が関わっているローンなので、一定の品質が確保されていると認められた住宅でないと、借りることはできない。

この【フラット35】が、令和7年度補正予算によって、借りやすくなる。まず、2026年4月(予定)から変わる内容を見ていこう。

最も大きいのが、借入限度額の拡充だ。これまで8000万円までしか借りられなかったが、1億2000万円までに引き上げられる。だからといって、だれもが限度額まで借りられるわけではない。年収に占める返済額の割合(年収負担率)が一定以下であることを求められるなどの条件もある。

また、狭い一戸建てを取得する人だけになるが、対象となる一戸建て住宅の床面積を70平米以上から50平米以上に緩和する改訂も行われる。

【2026年3月(予定)~】ローンの借り換えも拡充される

近年は長期間低金利が続いたこともあって、民間金融機関の変動型で借りている人がとても多い。ところが、長期固定型だけでなく、変動型も金利が上昇局面に入ったことで、今のうちに金利を固定させようと、民間の変動型から【フラット35】に借り換える人が増えている。

住宅金融支援機構によると、2025年4月から12月までの間の【フラット35】借換融資の申込件数は、前年同期比の約3倍だったという。

【フラット35】借換融資では、通常の【フラット35】で利用できる金利引き下げ制度はなかった。2026年3月(予定)からは、いくつかある金利引き下げ制度のうち、「子育てプラス」が借り換えでも利用できるようになる。

【フラット35】子育てプラスは、省エネ性能などに条件はなく、借りる人が子育て世帯か若年夫婦世帯であることが条件。子どもの数が増えるごとに、金利の引き下げ幅が大きくなる仕組みとなっている。近年の物価高の影響が大きい子育て世帯などに、負担軽減を図るのが狙いだ。

【フラット35】、令和7年度補正予算に伴う制度拡充を実施。借入限度額拡充や借り換えのしやすさなど、変更点を詳しく解説

出典:国土交通省の資料より転載

借り換えの制度拡充には、さらに大きなものがある。住宅ローンの借り換えの場合、住宅ローン残高を別のローンに組み直すわけだが、新たに35年借りられるわけではない。当然ながら、借り換え時の返済年数は、上限となる基準年数から住宅取得時に借りた住宅ローンの経過年数を差し引くことになる。この基準となる年数を現在の35年から40年に延長するという拡充が行われる。ただし、借入期間の上限は35年であること、ローン完済時年齢が80歳までであることなどの条件もある。

【2026年2月(予定)まで】「35年 - 住宅取得時に借り入れた住宅ローンの経過年数(1年未満は切り上げ)」

【2026年3月(予定)から】「40年 - 住宅取得時に借り入れた住宅ローンの経過年数(1年未満は切り上げ)」

条件を満たせば、住宅取得時から10年後に【フラット35】に借り換えた場合、従来は25年で組み直すが、改定後は30年で組み直すことができるので、その分だけ毎月返済額を抑えることができる(返済する利息は増える)ようになる。

注目される「残価設定型住宅ローン」の動向

自動車ローンでは、一般的な残価設定型ローン(残クレ)。将来の下取り額(残価)をあらかじめ設定し、残価を除いた金額を分割で支払う方法で、毎月の返済額を抑えることができる。これと同じような住宅ローンの普及が期待されていた。

住宅価格の上昇を受けて、政府は残価設定型住宅ローンに乗り出した。住宅金融支援機構(JHF)が「特定残価設定ローン保険」を2026年3月(予定)に創設することで、金融機関が残価設定型ローンを商品化しやすいようにする。その仕組みは、住宅ローンとリバースモーゲージ型住宅ローンを組み合わせたものになる。

「リバースモーゲージ」とは、自宅を担保に借り入れをして、借りた人が死亡したときに担保となっていた住宅を処分して返済するもの。その間は、利息のみを支払えばよい。通常、死亡すると相続が発生し、担保物件を売却しても残った住宅ローンを完済できない場合は、相続人が残った債務を返済することになるが、債務の返済を不要とする「ノンリコース型」もある。

【フラット35】、令和7年度補正予算に伴う制度拡充を実施。借入限度額拡充や借り換えのしやすさなど、変更点を詳しく解説

出典:国土交通省の資料より転載

こうした仕組みを組み合わせ、設定した残価と実際の売却額に差額が生じても、JHFの保険でカバーすることで、残価設定型住宅ローンの商品化の後押しをする考えだ。

民間金融機関が具体的に商品化をするまでには、まだ時間がかかると思われるが、これが残価設定型住宅ローンの普及に弾みをつけることになるだろう。

【フラット35】の改訂点については、これから住宅ローンを借りよう、あるいは借り換えをしようと検討している人には、知っておきたい情報だ。

選択肢の一つとして、具体的にいつから変わるかなどの詳しい情報を入手しておこう。そのうえで長期的なマネープランを考えて、最終的に自分に適したものを選んでほしい。

●関連サイト
国土交通省「フラット35の融資限度額の見直し、残価設定型住宅ローン保険の創設等を実施」
住宅金融支援機構「【フラット35】令和7年度補正予算に伴う制度拡充のお知らせ」

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