「猫を飼っていないと入居できないマンション」など、猫との共生に特化した家づくりをしているハウジングブランド「ねこ大家」(株式会社ねこ家/大阪市東淀川区)が注目を集めています。きっかけは、ひょんな出来事から始まった保護猫活動でした。
猫の命を救うために、不動産や建築では何ができるのか。実際にモデルルームを見学しながら、代表取締役の池田建学(いけだ・たてひさ)さんにお話を伺いました。
不動産と建築の力で、猫も飼い主も幸せにする
「なぜ、私たちは猫と暮らしやすい家づくりをするのか。それは、猫の殺処分を減らすためです。不動産と建築の力で、猫も飼い主も幸せにする。それが僕たちの理念なんです」
そう語るのは、株式会社ねこ家の代表取締役、池田建学さん(48歳)。
「猫の大家さん」という設定なのでお顔出しはNG。抱いているのは愛猫の大福くん(写真/香西ジュン)
株式会社ねこ家は、「ねこ大家」のブランド名を掲げ、不動産・建築・大家業を行っている会社です。代表取締役社長の池田建学さんと、取締役であり、SNSアカウントの“中の人”である岡本麻美(おかもと・まみ)さんの二人で起業しました。
「ねこ大家」は猫と人がともに幸せに暮らせる家づくりを目指すハウジングブランドである(写真/香西ジュン)
ねこ大家は、実際にどのような事業をしているのでしょう。箇条書きにすると、大きく分けてこの5つになります。
① 猫と人が快適に暮らせる住宅の新築
② 中古物件の猫リノベーション
③ 持ち家の猫リフォーム
④ “自社物件”猫可賃貸の貸出
⑤ 空き家・空室対策としての猫可賃貸プロデュース
「猫と暮らすことへのハードルを下げるためならば、不動産の所有からリフォーム・リノベーションまで『すべてやる』と言っても大げさではないです」
“猫リノベ”によって猫がくつろげる場所をつくる(写真/香西ジュン)
猫との暮らしの変化に合わせて何度もリフォームできる家
「ねこ大家」が実際にどのような家づくりを行っているか。大阪府枚方(ひらかた)市にある、猫が快適に暮らせるようカスタマイズされたモデルルームを見せていただきました。建築費3800万円という物件です。
猫が外の景色を眺められるよう、低い位置に地窓が並んでいるのが特徴(写真/香西ジュン)
玄関にはさっそく脱走防止扉が備わっています。
脱走防止扉によって猫の脱走を防ぐ(写真/香西ジュン)
「猫の脱走経路でもっとも多いのが玄関です。会社へ行くとき、用事で出かけるとき、家に帰るとき、ドアを開けた瞬間に猫が外へ飛び出さないか気を遣う。これ、けっこうストレスなんですよ。猫と暮らしている間、ずっと気にしながら過ごすって、めちゃめちゃしんどいじゃないですか」
家の中へ入ると、キャットウォークを兼ねた吊り収納がありました。壁にもキャットステップがあり、なんと、すべて取り外し、増設、高さ調整が可能なのだそうです。
キャットウォーク風の棚や、壁のキャットステップなどは高さを変えたり、取り外したりできる(写真/香西ジュン)
猫の運動能力を見てボックスを増やすことも可能(写真/香西ジュン)
「5年~10年先を見すえた“変化する家”です。猫が喜ぶからといって、単純にキャットウォークやステップを付ければよい、というわけではない。人間同様、猫も歳をとります。そのうち登れなくなったり、最悪、足を滑らせて地面に落ちたりする場合もある。だから取り外しや位置の変更ができるようにしているのです。将来、若い猫を迎えることがあれば、また取り付ければよいですし。
猫の年齢や体力に応じてレイアウトを変更できる(写真/香西ジュン)
壁は塗り壁(シリカライム)であったり、一部に爪を研ぎやすい麻材を使用したり。これにも理由がありました。
「塗り壁にしているのは、引っ掻きにくいことと、修繕が容易という利点があるからです。猫が爪を研ぐ習慣は変えられない。だから、爪を研いでもよい素材を使うなど、ちゃんと猫の習性を熟知して施工しなければならない。人間よりも、どちらかというと猫寄りにつくってあるので、うちはよく“猫ファースト”と呼ばれています」
2階。壁は猫が引っ掻いても修繕が利く塗り壁。階段を囲む腰壁は交換可能な麻材(写真/香西ジュン)
そう、ねこ大家は、利用者からしばしば、賞賛のニュアンスで「猫ファースト」と呼ばれるのです。そして、猫ファーストの姿勢がもっとも表れているのが「キッチン」だと言います。
「猫をキッチンに近づけるのは危険です。何年も前から、一般的に新築住宅ではキッチンがオープンになっています。『カウンターキッチンやアイランドキッチンにして』と。
キッチンにはドアを付け、独立した空間に。ドアレバーは引き上げると開くタイプ。猫がぶら下がってもドアは開かない仕組みになっている(写真/香西ジュン)
キッチンにドアを付けているため、猫は進入できません。とはいえエアコンの冷暖房は共有できるよう、網張りになっているのも暮らしやすさのポイントです。
こちらは別の物件。引き戸にし、両面サムターン錠で施錠するタイプ。猫は進入できないが網なのでエアコンの冷暖房は共有できる(画像提供/ねこ大家)
1階には猫が遊べる中庭があり、2階からは屋上にも出られるようになっていました。猫が外気に触れられる場所が確保されています。これも猫が心地よく暮らせるポイントです。
猫が遊べる中庭(写真/香西ジュン)
屋上には猫が出入りできる小さな窓がある(画像提供/ねこ大家)
「言わば“家の中の街づくり”です。犬は散歩をさせられる。
もう一つ、このモデルルームの重要な点は「多頭飼いを受け入れられる家」であること。立体的に空間を活用することで複数の猫がいても快適に過ごせるように設計されているのです。その理由は、「保護猫を迎えてくれる家を増やしたいから」でした。
「広さの問題で1匹しか暮らせないお家が10軒あるよりも、猫リノベをすることで3匹が快適に暮らせるお家が10軒あるほうが、救える猫の数が増えますから。1匹でも外猫をお家の中に入れたい。それが私たちの願いなんです」
「1匹でも多くの外猫をお家の中に入れたい」という気持ちから、多頭飼いできるよう、さまざまな工夫を凝らす(写真/香西ジュン)
5匹の子猫との出会いが人生を変えた
ねこ大家のメンバーも、猫が大好き。代表の池田さんと取締役の岡本さんで12匹の猫を飼い、ローテーションで会社にも連れてきています。なかには全盲の猫もおり、社員全員で面倒を見ているのです。
そんな猫好きな池田さんたち。しかし……。
「以前から動物は好きでしたが、ねこ大家を始める前は、ことさらに『大の猫好き!』というわけではなかったんです」
では、なぜ猫に特化した家づくりを始めたのか。その背景には、池田さんたちの保護猫活動経験がありました。
池田さんは、もともと一般的な不動産業・建設業をしていました。そんな2018年のある日――。
「私は自家用車で通勤しているのですが、駐車場から会社まで200mくらいの間に空き地があり、地域猫(地域の理解と協力を得て、地域住民の認知と合意が得られている、特定の飼い主のいない外猫)が棲んでいたんです。とはいえ面倒を見ている方々がご高齢で、避妊や去勢の手術をしていなかった。だから、どんどん猫が増えていきました」
はた目にも、「新たに生まれてくる猫の数にお世話が追いついていない状況だった」といいます。
「子猫が病気になっていたり、虐待にあったのか目が潰れていたりしていました。地元のおばあちゃんは昭和のノリのまま『ほっといたら治るねん』と言うのですが、さすがに『これはヤバい状況だな』と。このまま保護されなかったら、この猫たちはどうなってしまうんだろう。悪い想像が頭によぎり、脳裏から離れないようになってしまったのです」
放っておけなくなった池田さんと岡本さんは仕事の合間に、猫の保護に取り組みます。とはいえ猫は警戒心が強く、すばしっこい。そう簡単には捕獲できません。
「保護すべき子猫が5匹いることはわかっていました。
捕獲器を使い、根気強く、なんとか5匹の子猫を保護。そうして治療のための通院を続けながら、里親を探すことにしたのです。
5匹の子猫を保護した経験がすべての始まりだった(画像提供/ねこ大家)
「保護して、病院へ連れて行って、お世話をしながら里親さんの募集をしました。希望者が現れたら、飼える環境を精査させてもらい、正式に譲渡しました。さらに子猫の場合は半年後くらいに避妊・去勢手術を実施したかどうかをチェックし、証明書を出してもらう。そんな保護猫活動に必要な一連の流れをすべてやりました」
「社内でお猫の世話をし、体調が思わしくない猫は看病した」という(画像提供/ねこ大家)
5匹の子猫を保護した池田さんたちは、昼は会社、夜は家で世話したのです。
「里親希望の方を探すために毎月開催されている地域の保護猫譲渡会に『参加させてほしい』とお願いしたのですが、そのときたまたま、うちの猫が1匹だけ風邪をひいてしまったんです。すると『他の猫に風邪がうつるから今月はダメ』だと参加を断られました。もちろん、おっしゃるとおりです。とはいえ子猫は1カ月でめっちゃ大きくなる。子猫の時期を逃すと希望者の数がガクンと減ってしまう。ならば『うちの会社でお世話しながら里親さんを見つけよう』と。会社でしたら定休日以外、ほぼ毎日、譲渡のチャンスがありますから」
こうして池田さんたちは、会社で子猫の世話をしながら里親を探す方向へと転換したのです。
「保護猫活動をしたいというより、『目の前にいる5匹を助けたい』という気持ちが強かったですね。初めてなので勝手がわからず、たくさんの障壁がありましたが、無事に5匹とも里親さんを見つけることができました。最初の5匹との出会いが、私達の人生を大きく変えてくれたと言っても大げさではないです」
5匹の子猫の命を里親さんに託した池田さん。しかし……無事に解決したように思えたものの、事態はもっと深刻でした。
「最後の5匹目の子を送り届けてホッとしていたら、地域のおばあちゃんが『また生まれたで~』と言ってきて、脱力感がありました。『これはキリがないぞ』と」
池田さんは新たに誕生した子猫も保護し、2年の間にその数は36匹にのぼりました。
オフィスにキャットタワーなどを備え、社内で猫たちが遊べる環境に改装した(画像提供/ねこ大家)
子猫は約1~2カ月、昼は会社、夜は社員の家で過ごします。保護から里親へとつなげるまで、人慣れや病気の通院が必要だからです。36匹、通称“猫社員”たちは、育ち盛りのわんぱくばかり。パソコン作業中のスタッフの身体によじ登り、肩や膝の上に「仕事やっとるか」と言わんばかりに鎮座します。もはや人間キャットタワーです。
「キーボードの上に乗ってきて、同じ文字がバーっと羅列されるのはよくありました」
仕事中でも背中によじ登ってくる猫たち(画像提供/ねこ大家)
すやすやと眠ってしまう猫。こうなると体勢を変えることができない(画像提供/ねこ大家)
SNSを通じた発信に力を感じたのも、このころ。
「アカウントを開設し、『当社では現在こういう猫を保護しています。里親募集中です』とInstagramで発信を始めたんです。すると、アクセス数がぐわっと伸びて、里親さんが続々と決まりました」
すっかり人に馴れ、安心しきっている(画像提供/ねこ大家)
SNSにアップされる猫たちにファンがつき始めた(画像提供/ねこ大家)
愛らしい子猫たちの仕草が投稿されるたびに、それを楽しみに待つフォロワーも増え、次第に猫たちにもファンがつくようになってきたのです。
「協力業者さんや出入り業者さん、お客様からも『あ、もうあの猫、いないんですか』と言われたりしました」
そうして、36匹全頭の譲渡に成功。里親さんの元へ命をつなげることができました。同時に地域猫の母・父に避妊・去勢手術を施し、エリア内の猫の繁殖はやっと収まったのです。
日本は猫と暮らせる家があまりにも少ない
池田さんは、実際に36匹の譲渡を手がけたことで、見えてきたものがあったといいます。それが「保護猫活動の大変さ」でした。
「衝撃でした。『活動者さんは、こんなにもしんどい作業をしていたのか』と驚いたんです。外猫の捕獲と日々のお世話、病院への通院と労力は本当に大きい。しかも実費で行っているので、文字通り、時間もお金も猫のために削る活動でした」
猫を飼いたい人がいるのに、なぜ保護猫は譲渡されにくいのか。池田さんは保護猫活動を通じて、ある問題点に気づきました。それは「猫と一緒に暮らせる家が圧倒的に少ない」という事実です。
「“猫可”の住宅は本当に少ない。壁に傷などをつけられたくない、騒音や猫アレルギーなどの近隣トラブルを避けたいなどの理由から大家さんが猫の飼育を不可にしているところが多いんです。さらに、多頭飼いまでOKとなると選択肢はさらに厳しく絞られます。『猫を飼える家が少ないため、保護猫を引き取ってもらえない。ここを解決しないと、永遠にジレンマがつきまとうな』と思いました」
「猫可の家の少なさが、保護猫の譲渡を妨げる一因となっている」と感じた(写真/香西ジュン)
できる限り「外猫を保護してあげたい」と考えている人はたくさんいます。しかし、飼育阻害要因の第1位は住居でした(一般社団法人ペットフード協会『2024年 全国犬猫飼育実態調査』飼育阻害要因)。保護猫を飼うためには、前提として猫可の住居が必要です。しかし、持ち家であれば猫を飼えますが、賃貸の、しかも集合住宅だと、猫を飼いたくても飼えないのが実情です。
「猫可の家に住んでいない人には猫の譲渡はできません。保護猫団体の方は、里親希望者がどういう状況で飼育するのかを厳しくチェックしておられます。マンションのルールを破って飼われてしまうと、もしも、それがバレたときに、捨てられたり、保健所に持ち込まれたりしてしまう。最悪、殺処分となってしまう場合もあります。それでは意味がありません」
飼い主を求めていても、誰でもいい、というわけにはいかないのが難しいところ。そこで池田さんは、「猫を飼える賃貸住宅を増やそう」という考え方に舵を切ります。
「保護猫活動の入口である外猫の捕獲、日々のお世話や病院への通院、赤ちゃん猫にミルクをあげたりする活動は、保護猫団体さんや多くのボランティアの方々などが尽力されている。でも、不動産の分野からアプローチできるのは僕たちしかいない。だから僕らは『猫と暮らせる家をつくろう。猫可の家を増やそう。保護猫活動の出口である譲渡先を増やすことを担当しよう』と。猫が住める家が増えると、助けられる猫の数が増える。それもまた、保護猫活動の一環なんじゃないかって」
「猫と人がともに暮らせる家を増やすことも保護猫活動の一つではないか」と感じたという(画像提供/ねこ大家)
「1棟を丸ごと猫可にした集合住宅」という斬新な挑戦
とはいえ、猫可の賃貸住宅は、そう簡単に増やすことはできません。そこにはさまざまな難関があります。
「集合住宅は、猫に対して居住者全員が好意的なわけではありません。『ペット不可だと聞いて入居したのに』と不満が出たり、『猫アレルギーの症状が出た。どうしてくれるんだ』とクレームが入ったりする。大家さんは、とにかく住民間のトラブルをいやがるので、ある部屋だけをペット可にする方法は現実的ではないんです」
そこで池田さんが取り組んだのは「1棟を丸ごと猫可にした集合住宅」でした。なぜ、そんなことが可能になったのでしょう?
「23年間の大家業の経験と、自分で意思決定できる物件を多く抱えていたからできたんです」
事業ベースが“大家業”。だからブランド名は「ねこ大家」なのです。
「ベースに大家業があるから、猫可賃貸ができた」と語る(写真/香西ジュン)
賃貸住宅の「猫可」仕様に乗り出す(画像提供/ねこ大家)
「1棟を丸ごと猫可にした集合住宅」は、大家側にもメリットがあります。それは資産価値の向上です。猫と暮らしたいと願う人が増えている昨今、猫の飼育が可能な物件は需要が増大しています。人気があるため、賃料アップ、さらには将来的な売却価格の向上が期待できるのです。
さらにそうしたメリットの数々は、空き家問題の解消にもつながります。近年、社会課題となっている空き家。猫飼育可能な賃貸にすることで他物件との差別化ができ、空室を減らせる可能性が高くなるのです。
「どこの大家さんも慈善事業をしているわけではない。儲けが出ないと実施できません。しかし、猫を飼える部屋を増やすことが大家さんの収益につながれば、『改装してみようか』という話になるはず。この持論の正しさを証明するためには、まずは自分で実践しなければなりませんでした」
猫と暮らせる賃貸物件は大家側にメリットがある。池田さんはそれを実証するために2019年、自分で所有していたマンションに猫リノベを施し、猫の多頭飼いOKの部屋にリニューアルしたのです。
猫との共生に特化した部屋へとリニューアルした(画像提供/ねこ大家)
「ドキドキするチャレンジでしたが、結果として『こんなお部屋に住みたかった!』と全室すぐに入居が決まりました。これが、私たちが正真正銘の“ねこ大家”になった瞬間でした。この成功事例ができたことで、他の大家さんたちから『うちの物件も同じようにしてほしい』と依頼があり、それらの部屋もすぐに埋まったんです。『やはり、猫と快適に暮らせる部屋は求められているんだ』と確信しました」
「猫可」の部屋はたちまち入居が決まった(画像提供/ねこ大家)
そして2024年3月に社名を「ねこ家」に改称。池田さんは本格的に猫に特化した不動産・建築・大家業へとシフトチェンジしました。保護猫と空き家問題を同時に解消できるように猫リノベした賃貸住宅。取材日の前日には「鹿児島の大家さんが相談に来られた」というから驚き。池田さんの施策は全国へと波及しています。
「猫を飼わない人は借りられないマンション」が話題に
池田さんが手がけて話題となったマンションの一つが名古屋にあります。猫可ではなく、極めて珍しい“猫を飼わない人は借りられないマンション”です。そこにはこんな特徴がありました。
名古屋に誕生した全室“猫を飼わない人は借りられないマンション”(画像提供/ねこ大家)
「一室ごとにデザインを変えています。ひとことで猫と言っても、年齢・運動能力・性格などさまざまな違いがありますから、飼う猫の特性や頭数に合わせて部屋を選べるようにしたんです」
若い猫が遊べるようアスレチック感覚のキャットウォークが張り巡らされている(画像提供/ねこ大家)
老いた猫も遊べるよう低い位置から階段にした(画像提供/ねこ大家)
ねこ大家の噂はSNSを通じて広がり、新築や、すでに持ち家がある人が、さらに猫と快適な暮らしができるようにと“猫リノベ”を依頼するようになってきたといいます。
猫を救う行為がビジネスになるように
賃貸住宅のみならず新築の注文も増え、「施工実績は300件を超えた」という、ねこ大家。しかし、池田さんはこの方法論を「自分の会社の専売にするつもりはない」と言います。
「求めているのは新規参入です。これまでの保護猫活動は100%善意のマンパワーで成り立っている世界でした。身銭を切ってやっている人も多いんです。でもそれだと、やりたくてもやれない人も出てくる。その点、不動産と建築だったら、一つの案件がそれなりの収益になるし、猫を救う行為がビジネスになる。それを僕たちが証明することによって、新規参入者が現れると考えています」
池田さんは2026年1月に3階建ての自社ビルを築きます。1階にはイベントレンタルスペースを設け、猫作家の個展を開いたり、保護猫譲渡会を開催したりする予定。2階はオフィス、3階がMTGスペース兼モデルルームとなっています。猫専門のトリミングサロンも開業し、保護猫を綺麗にする活動も行っていくプランがあります。
猫も快適に過ごせる3階建ての自社ビル、鋭意建設中(画像提供/ねこ大家)
ねこ大家は、家主と入居者をつなぐのみならず、猫と人がともに幸せに暮らす生き方そのものをプロデュースするフェーズに入ったのだと、取材を通じて筆者は感じました。
猫と人がともに幸せに暮らすために、不動産と建築で何ができるかをつねに考えている(画像提供/ねこ大家)
●取材協力
ねこ大家

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