住宅金融支援機構が、2025年10月~12月分の【フラット35】の申請戸数、実績戸数、実績金額を発表した。それを見ると、前年同期比でおおむね1.5倍に増加していた。

【フラット35】の金利も上昇しているものの、変動金利型の住宅ローン金利が上昇していることが、【フラット35】の申請戸数増加などに大きく影響しているのだろう。住宅ローンの金利の動向について見ていこう。

【今週の住活トピック】
【フラット35】の申請戸数等について(2025年10月~12月分)/住宅金融支援機構

全期間固定型の【フラット35】の利用者が増えている!

まず、【フラット35】とは何かを説明しよう。
【フラット35】は、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する「全期間固定型」の住宅ローン。35年などの長期間にわたって金利を固定する住宅ローンは、民間金融機関でも一部で取り扱っているが、全期間固定型を選ぶ多くの人が【フラット35】を利用している、と言ってよいだろう。

一方、「変動金利型」は年に2回金利を見直すため、返済中でも適用される金利が変わる。ただし、日銀のマイナス金利政策が長く続いたこと、民間金融機関が顧客獲得を競って金利の引き下げをしてきたことなどもあり、変動金利型は超低金利が続いていた。そのため、住宅ローンを利用する人の多くが変動金利型を選んでおり、住宅金融支援機構の【住宅ローン利用者調査(2025年4月調査)】では、79%が変動金利型だった。

これに対して、2025年10月~12月分の【フラット35】の申請戸数(融資の申し込みをした戸数)は、前年同期比で148.7%に増加した。実際に融資が実行された(引き渡しなどで資金を受け取った)戸数・金額を見ても、前年同期比で大きく増加している。【フラット35】の申請戸数の増加は、こうした金利タイプの選択が変わってきたことがうかがえる現象だろう。

変動金利型の金利上昇で【フラット35】の申請が増加!? 全期間固定型を選んだほうが良い?

出典:住宅金融支援機構【フラット35】の申請戸数等について(2025年10月~12月分)より転載

なお、住宅ローンの金利タイプには、3年、5年、10年などの当初期間だけ金利を固定する「固定期間選択型」がある。金利は、固定期間が短い場合は「変動金利型」に、固定期間が長い場合は「全期間固定型」に近い動きをする。

全期間固定型と変動金利型では金利の動きが異なる

さて、住宅ローンのなかでも、全期間固定型と変動金利型では、金利の動きは異なる。

「全期間固定型」は市場の長期金利、具体的には、新発の10年国債の利回りに連動する。国債はグローバルな金融市場で売買されるので、その時々の経済情勢の影響を受ける。また、最近では、高市政権が積極財政による投資拡大を通じて潜在成長率を引き上げようとしており、財政悪化を招く懸念から債券安(=金利上昇)が進んでいる。こうしたことから、長期金利がじわじわと上昇を続け、【フラット35】の金利もじわじわと上がっている。

■【フラット35】の金利推移(融資率9割以下・借入期間21年以上35年以下の最頻金利)

変動金利型の金利上昇で【フラット35】の申請が増加!? 全期間固定型を選んだほうが良い?

出典:住宅金融支援機構の情報から編集部にて作成

2026年に入ると、【フラット35】(融資率9割以下・借入期間21年以上35年以下の場合)の最頻金利(取扱金融機関が提供する最も多い金利)が2%を超えた。2月の適用金利は2.26%となり、4カ月連続の上昇となった。

一方、「変動金利型」は市場の短期金利、その多くは短プラ(短期プライムレート)に連動する。短プラは日銀の政策金利の影響を受けて変動する。その日銀の政策金利は、2024年3月にマイナス金利政策を解除してから金利がプラスに転じ、2024年の7月(+0.15%)、2025年の1月(+0.25%)と12月(+0.25%)に利上げを行った。その影響を受けて、短プラに連動する変動金利型の多くが、2024年の10月と2025年の4月に引き上がり、さらにこの春も金利が引き上げられる予定となっている。

こうした金利の動きを目の当たりにした人たちが、変動金利型で借りた後に金利が上昇することを嫌って、全期間固定型の【フラット35】を利用したことで、前年同期比で約1.5倍に増えたといったことが考えられる。ちなみに、2025年7月~9月分の【フラット35】の申請戸数も、対前年同期比で150.7%に増加していた。

金利が上がっている今、全期間固定型と変動金利型のどっちがよい?

日銀の2026年1月の金融政策決定会合では、「数カ月に一度のペースで利上げを進めることが適切だ」などの意見があり、次の利上げに前向きな意見が大勢を占めたという。つまり、今後も政策金利の利上げが予想されるので、変動金利型の金利も上がることが想定される。

では、変動金利型ではなく、【フラット35】のような全期間固定型を選んだほうがよいのだろうか?
「それぞれの家計やローンの見直しへの考え方による」というのが、筆者の意見だ。

やってはいけないのは、「全期間固定型の金利では希望額まで借りられないので、より低金利の変動金利型にする」ことだ。低金利なもので計算しないと借りられない=借り過ぎとなると、住宅ローンの返済額が家計を圧迫し、金利が上昇して毎月返済額が増えたときに、返済が難しくなってしまうからだ。

「家計に余裕があって、毎月返済額が増えたとしても、余剰資金で返済が続けられる」、「低金利で借りて、余剰資金を高金利の投資に回し、家計の収支バランスをとる」、あるいは、「金利の動向をチェックしながら適宜返済方法を見直せる」という人なら、変動金利型でよいだろう。

一方、「毎月返済額を長期間固定させたい」、「毎月返済額が増えると家計管理が難しい」、あるいは「金利の変動を気にするのが面倒」という人なら、全期間固定型のほうがよいだろう。

最近は、金利タイプを組み合わせて、それぞれのメリット・デメリットを活かすという方法もとれるようになってきた。

いずれを選ぶにしても、住宅ローンは長期間返済し続けるものなので、収入の増減や教育費・老後資金も含めて、長期的な視点でマネープランを考えることが大切だ。

住宅ローンの金利が35年などの長期間にどのように変わるかは、だれも予想することができない。住宅ローンを完済したときになって、支払った利息はどうするのが少なかったのかが分かる。利息の多少を判断して選択しようとするのは、難しいことなのだ。

●関連サイト
住宅金融支援機構【フラット35】の申請戸数等について(2025年10月~12月分)

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