リクルートが、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)在住の20歳~49歳の男女9000人を対象に実施した「SUUMO住みたい街ランキング2026」を発表した。ランキング調査は、今回で17回目となる。

記者発表会での資料を基に、注目の結果を見ていこう。

【今週の住活トピック】
「SUUMO住みたい街ランキング2026 首都圏版」を発表/リクルート

住みたい街ランキング2026、TOP10の顔ぶれは変わらず

では、2026年の住みたい街(駅)ランキングの結果を紹介しよう。TOP3は、3年連続で、1位「横浜」、2位「大宮」、3位「吉祥寺」となった。横浜の1位は9年連続で、その強さをみせつけた。

4位から10位までも顔ぶれは変わらず、昨年との比較でいうと「品川」と「新宿」の順位が入れ替わっただけだった。10位以内には、JR山手線の駅が7駅入った。

■住みたい街(駅)ランキング[1位~10位]

「SUUMO住みたい街ランキング2026」発表!23区北側“東京ノース”と千葉・茨城のコスパ優秀駅が支持される理由とは?

住みたい街(駅)総合ランキングトップ10(首都圏全体の駅から住みたい順に3つ回答、1位・2位・3位を3点・2点・1点として集計。以下同)(出典:リクルート)

1位の「横浜」は、男女別、ライフステージ別、年代別のすべてで1位となり、特に20代からの得点が前回から約1.25倍に増加した。横浜市で積極的に企業を誘致したり、「横浜ティンバーワーフ」などの商業施設やオフィス、「ヒルトン・ガーデン・イン横浜みなとみらい」などの新スポットが続々と登場したりで、「働く場」「訪れる場」として、若い世代を惹きつけているからだろう。

また、2位の「大宮」は、その得点の高さから「横浜」と2強の体制となっている。男性(男女別)、シングル男性と夫婦のみ(ライフステージ別)、20代、30代、40代(年代別のすべて)が2位と安定した強さを見せた。ランキングTOP10の中でも手が届きやすい家賃であることに加え、大規模商業施設や運動施設、文化・娯楽施設が多くあることで、暮らしやすさが充実しているからだろう。

“「の」の字の法則”で「船橋」「つくば」に人気広がる

次に、11位から30位を見ると、昨年より得点を伸ばして過去最高位を更新したのは、「船橋」(14位→12位)、「舞浜」(21位→15位)、「つくば」(25位→24位)の3駅のみだった。このなかで「船橋」と「つくば」の強みを探ってみよう。

■住みたい街(駅)ランキング[11位~30位]

「SUUMO住みたい街ランキング2026」発表!23区北側“東京ノース”と千葉・茨城のコスパ優秀駅が支持される理由とは?

住みたい街(駅)総合ランキング11位~30位(出典:リクルート)

首都圏においては、住居費が“「の」の字の法則”で連鎖して上がるといわれている。つまり「東京都心」で物件価格や賃料が上昇すると、それが「神奈川県」に波及し、北上して「東京都下」、「埼玉県」へと連鎖して、最後に「千葉県」に来て一周するというのだ。

「SUUMO住みたい街ランキング2026」発表!23区北側“東京ノース”と千葉・茨城のコスパ優秀駅が支持される理由とは?

出典:リクルート「SUUMO住みたい街ランキング 2026首都圏版 記者発表会」資料

SUUMO掲載の中古マンションの平均価格比較で見てみると、渋谷区はここ数年で著しく上昇しているが、横浜市西区や武蔵野市もじわじわ上昇し、さいたま市大宮区は上がり下がりしながらも上昇局面に移行している。一方、“「の」の字”の終着エリアであるつくば市や船橋市は、東京・神奈川・埼玉の市区と比べると、上昇が遅れている。

つまり、首都圏全体で見ると価格の上昇がまだ抑えられているため、現状では「船橋」「つくば」は、人気の郊外主要駅と比較しても、家賃や物件価格に割安感がある存在になっているといえるだろう。

「SUUMO住みたい街ランキング2026」発表!23区北側“東京ノース”と千葉・茨城のコスパ優秀駅が支持される理由とは?

出典:リクルート「SUUMO住みたい街ランキング 2026首都圏版 記者発表会」資料

首都圏でファミリーに手が届く人気の街「船橋」「つくば」

さて、全体ランキング12位の「船橋」は、千葉県民に限定したランキングで7年連続1位という、県民に愛される街だ。加えて、千葉県にある街(駅)に限定した全体ランキングで、2年連続1位になるなど、他県にもその支持を広げている。

その魅力は、まず、「東京」約25分、「新宿」約40分で、成田空港まで約60分という、交通利便性にある。また、船橋駅周辺には大規模商業施設が並び、南船橋駅まで広げると「ららぽーとTOKYO-BAY」(北館建て替え中・Ⅰ期開業)、「ららテラスTOKYO-BAY」に、千葉ジェッツのホーム「ららアリーナ東京ベイ」まである。生活利便施設とエンタメ施設がそろうのが強みだ。

加えて、街並みの整った一戸建てやマンションなどが駅周辺に広がる、住宅地という特徴があることだ。特にファミリー向けの住まいが多く、暮らしやすさと住まいの選択肢の豊富さにより、住みたい街に選ばれているようだ。

「SUUMO住みたい街ランキング2026」発表!23区北側“東京ノース”と千葉・茨城のコスパ優秀駅が支持される理由とは?

出典:リクルート「SUUMO住みたい街ランキング 2026首都圏版 記者発表会」資料

次に、過去最高24位の「つくば」だが、近年、茨城県以外の首都圏1都3県からの支持が増えている。

つくばエクスプレス開業20年になり、沿線地域の発展が著しく、人口が増えていることも影響しているだろう。

「SUUMO住みたい街ランキング2026」発表!23区北側“東京ノース”と千葉・茨城のコスパ優秀駅が支持される理由とは?

出典:リクルート「SUUMO住みたい街ランキング 2026首都圏版 記者発表会」資料

そしてなにより、“研究学園都市”として、独自の顔を持つのが強みだ。つくば市内には多くの研究機関が集まり、そこに多くの研究者を抱えている。研究学園都市として街並みも整備され、住宅の供給も活発だ。そのため、教育移住先としても人気だという。

「住みたい理由」を聞いた上位には、「教育環境の充実」や「医療施設の充実」、「車によるアクセスの良さ」が挙がり、「自治体の政策が魅力的・先進的」といった理由も見られた。

近年は、つくば市がスタートアップ支援を充実させており、そのための講座などを開催している。子どもだけでなく、大人の学びの場もあるというのが、支持を広げる要因となったのだろう。

「SUUMO住みたい街ランキング2026」発表!23区北側“東京ノース”と千葉・茨城のコスパ優秀駅が支持される理由とは?

出典:リクルート「SUUMO住みたい街ランキング 2026首都圏版 記者発表会」資料

「東京ノース」はアクセスと住居費のバランスが良い、東京の穴場

次に、街(駅)ではなく、自治体に目を向けてみよう。

2026年の住みたい自治体ランキングで、大きくジャンプアップした自治体を見ていこう。TOP10に、北区(1位)、板橋区(4位)、練馬区(5位)、豊島区(9位)などの東京23区の北エリア=「東京ノース」が入り、その躍進ぶりが目立った。

「SUUMO住みたい街ランキング2026」発表!23区北側“東京ノース”と千葉・茨城のコスパ優秀駅が支持される理由とは?

出典:「SUUMO住みたい街ランキング 2026首都圏版 記者発表会」資料

東京ノースの魅力は、何といっても、アクセスの利便性と住居費の割安感だ。たとえば、ジャンプアップ1位の北区や4位の板橋区には、池袋駅を中継点に、JRや私鉄、地下鉄の駅が多い。

都心へのアクセスが良好であることに加え、家賃相場が23区でもかなりリーズナブルとなっている。

「SUUMO住みたい街ランキング2026」発表!23区北側“東京ノース”と千葉・茨城のコスパ優秀駅が支持される理由とは?

出典:「SUUMO住みたい街ランキング 2026首都圏版 記者発表会」資料

「商店街」+「図書館施設」×「交通利便性」+「住居費の安さ」で魅力増大

北区と板橋区で「住みたい理由」を聞くと、上位に共通するキーワードが見られる。交通利便性や物価・住居費の安さなども挙がるが、それに加えて「魅力的な商店街がある」と「魅力的な図書館施設がある」が共通して挙がるのが大きな特徴だ。

北区には「十条銀座商店街」、板橋区には「ハッピーロード大山商店街」といった、地域を代表する大きな商店街がある。ほかにも、北区で合わせて65商店街、板橋区で合わせて77商店街があり、商店街ごとに「ワンコイン市」や「朝市」などの多彩なイベントを実施して、地元住人とのつながりを深めている。

図書館についても、“赤レンガ図書館”として親しまれている「北区立中央図書館」、公園と一体になった「板橋区立中央図書館」といった代表的なものがある。豊富な蔵書数に加え、それぞれがグッドデザイン賞を受賞しており、建築物のデザイン性やカフェ併設などの総合力が魅力だ。

交通アクセスや住居費の割安感だけではなく、地元に愛される要素がなければ、ジャンプアップには至らないということだろう。

こうして、SUUMOの記者発表会の資料を基に、2026年の住みたい街ランキングの特徴を見てきたが、2026年のランキングでは、近年の住居費高騰の影響も感じられるように思う。

“「の」の字”の終着エリアの船橋、つくばや“東京ノース”の北区、板橋区について紹介したように、住居費の割安感やバランスのよさが、2026年にジャンプアップしたカギとなっている。

同様の事例が、得点ジャンプアップした街(駅)の3位に入った「センター北」だ。港北ニュータウンの中心部に位置し、自然環境を活かした街づくりがなされており、横浜のベッドタウンとなっている。

センター北がジャンプアップした理由も、1つには防犯対策や子育て環境、大規模商業施設など、住宅地としてのバランスのよさ。もう1つが、神奈川県ランキング上位駅と比較して、より広い住宅が手ごろな金額となっている点だ。

もちろん全体ランキングの上位には、利便性や多様性が高まる「メガターミナル」が占めるが、その一方で、住居費のコスパがよく、バランスのよい、郊外人気駅も躍進している。こうした2極化は今後も続くような気がする。

●関連サイト
リクルート「SUUMO住みたい街ランキング 2026 首都圏版」調査報告書PDF

編集部おすすめ