リクルートが2026年2月に発表した、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)在住の20歳~49歳の男女9000人に対する調査「SUUMO住みたい街ランキング2026」。同調査の全体部門に加えて女性部門・30代部門など4つの部門別ランキングで過去最高位となった、「つくば駅」の魅力に迫ります。

「住みたい街」として評価が上昇、人口増加率は全国3位に!

東京都千代田区から茨城県つくば市まで、20駅を結ぶつくばエクスプレスの終点・つくば駅。起点の秋葉原駅までは快速列車に乗ると約45分で到着します。駅が位置するつくば市は国立の研究機関・大学が集まる「研究学園都市」として発展した歴史があり、1985年のつくば万博を機に研究開発型企業の進出も加速。さらに2005年のつくばエクスプレス開業以降、沿線で都市開発が進められてきました。

つくば市の人口を見てみると、2010年は約20.6万人、2015年は約22.3万人、2020年は約24万人と増加が続いています。そして2025年は約26.2万人となっており、総務省調査では人口増加率が全国の市・東京特別区のうちで3位、特別区を除く市では全国1位を記録しました。
※人口は各年の10月1日時点のもの。人口増加率の出典は総務省調査「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(2025年1月1日現在)」

人口増加が堅調に続いているのは、つくばに「住みたい」と考えて転入してくる人たちの存在があるためでしょう。「SUUMO住みたい街ランキング2026」でも、つくば駅の順位は総合(全体)部門で過去最高の24位となったほか、性別・ライフステージ別・年代別ランキングの4つの部門で過去最高位を記録しています。また、「夫婦+子ども」世帯では、つくばは15位にランクインしました。

つくば、「SUUMO住みたい街ランキング2026」で過去最高位!人口増加率全国3位、親子で学び成長できる研究学園都市の底力

「つくば」の性別・ライフステージ別・年代別の住みたい街ランキング順位

つくばの街の魅力(住みたい理由)としては、どんな点が支持されているのでしょう。理由のトップになったのは「教育環境が充実している(79.4%)」。そのほか「自治体政策が魅力的、先進的である(66.0%)」を挙げる人も多く、教育を含めた市政が評価されている様子。

研究学園都市として比較的に新しく街づくりされた地域ということもあってか、「他地域からの出身者など多様な人もなじみやすそう(61.5%)」とのイメージがあるのも、転入のハードルを下げているのかもしれません。

つくば、「SUUMO住みたい街ランキング2026」で過去最高位!人口増加率全国3位、親子で学び成長できる研究学園都市の底力

「2026年順位」は今回のランキング対象となった全駅の中での偏差値の順位

研究機関も多い街では、2018年からスタートアップ支援を始動

市内に多数の研究・開発機関が点在するつくばの街づくりの特徴として、社会課題の解決に挑戦し、イノベーション創出への貢献を目指す人たちを応援する「スタートアップ支援」が挙げられます。つくば市では2018年に「スタートアップ推進室」を創設し、創業前後の支援を行ってきました。

「つくば市の役割はアントレプレナーシップ(起業家的行動)の醸成と創業支援の充実です」と話すのは、同市スタートアップ推進室の室長・屋代 知行さん。起業前の準備から成長ステージまで、スタートアップが事業を軌道に乗せる道のりは長く、大学・国の研究機関や民間機関がそれぞれの強みを活かした支援を行っています。その過程のなかでも収益性が低く民間が担いにくい、創業前後の支援をすることが公的機関である市にできることだと考えているそうです。

つくば、「SUUMO住みたい街ランキング2026」で過去最高位!人口増加率全国3位、親子で学び成長できる研究学園都市の底力

2019年には、つくば駅前に「つくばスタートアップパーク」が誕生。セミナールームで起業に関する講演やイベントが行われているほか、創業5年以内の事業者が低料金で利用できるオフィスルームも(画像提供/茨城県つくば市)

官民が連携したさまざまな支援策や補助金制度の後押しもあってか、スタートアップ推進室が始動した2018年以降は、つくば市における起業数が格段に増加しています。今後も引き続き支援の充実に努めるほか、「市民にも応援してもらえるよう、スタートアップの効果的な周知方法も検討していきたい」と屋代室長は話します。

つくば、「SUUMO住みたい街ランキング2026」で過去最高位!人口増加率全国3位、親子で学び成長できる研究学園都市の底力

創業した企業を事業分野別に見ると、「ソフトウェア・アプリケーション」「医療・創薬・バイオ」「ロボット・ものづくり」「農業・環境」が多い(出典/茨城県つくば市)

また、数々の起業家や支援機関と交流してきた屋代室長の印象としては、「都内から移住してくるファミリー層のスタートアップ関係者も多い」と感じているとか。移住の決め手となった理由を聞くと、住環境や教育環境を魅力に挙げる方がほとんどだそうです。

市独自の教科や、STEAM教育……、子どもの探究心を育む場がいっぱい

つくばの教育環境に目を向けると、子どものうちから創業マインドを育む機会がある点が魅力の一つ。日本政策金融公庫主催の「高校生ビジネスプラン・グランプリ」に合わせて、2022年からは「高校生のためのビジネスプラン作成講座」を市が共催。

2025年には、市内の小学4年生~6年生を対象にした会社経営体験「つくばスタートアップキッズ」を初開催しました。いずれも実際の起業家とふれあい、アドバイスをもらうことができる貴重な機会です。

市内に集積する最先端の科学技術や研究開発拠点を活かして、「STEAM(スティーム)教育」を取り入れた最先端の体験型教育プログラムを推進するプラットフォーム「つくばSTEAMコンパス」があるのも、つくば市ならでは。「STEAM教育」とは英単語の頭文字を組み合わせたもので、「科学、技術、工学・ものづくり、芸術・リベラルアーツ、数学」の5分野を横断的に学ぶ教育手法です。この「つくばSTEAMコンパス」のポータルサイト上では研究機関や科学教育イベントなどつくばの科学リソースを見える化するとともに、子どもの疑問に研究者が回答するコーナーも設置されています。

つくば、「SUUMO住みたい街ランキング2026」で過去最高位!人口増加率全国3位、親子で学び成長できる研究学園都市の底力

「つくばスタイル科」で行う、研究者と進める授業では研究テーマの設定からリサーチ、成果発表まで行う(画像提供/茨城県つくば市)

また、つくば市では小中学校の9年間一貫教育を全校に導入しており、2012年からは市独自の教科「つくばスタイル科」も始まっています。同教科の特徴は、「In(課題を見つけ)、About(情報を集め考え)、For(何ができるか考え、発信する)」という学習サイクルを回す「発信型PBL(問題解決)学習」であること。地域の研究者が子どもの探究学習をサポートする、「つくばSTEAMコンパス」発のプログラムも授業に取り入れられています。

こうした公的な教育体制が充実しているだけではなく、民間による学習サービスもさまざま。つくば市内に教室を構える「S-Lab.(エスラボ)」では幼児や小学生を対象にしたSTEAM教育として、お菓子づくりと科学実験を結びつけた独自のプログラムを展開。「探究型の深い学習スキルと創造する力」を伸ばすことを目指す教室では、子どもたちが楽しみながら実験・考察に取り組んでいます。

2025年9月には、現役研究者監修の小中学生向け探究スクール「TanKen(タンケン)」もオープン。

参加する子どもは「研究者見習い」になって研究者と交流し、そしてサイエンスコミュニケーターに伴走されながら、実験や研究、ディスカッションに熱中! 「教わること」が主軸ではなく、自ら問い、考えて、学びを深める場となっています。

つくば、「SUUMO住みたい街ランキング2026」で過去最高位!人口増加率全国3位、親子で学び成長できる研究学園都市の底力

左/長年にわたり科学研究に携わってきた坂田 清博士が立ち上げた「S-Lab.」(画像提供/S-Lab.) 右/菌類や昆虫など各分野が監修した「TanKen」のプログラムは1テーマあたり週1回・2カ月間(画像提供/TanKen)

研究学園都市という他に抜きん出た地域特性を存分に活かして、スタートアップ支援や子どもの教育に力を注ぐ街・つくば。大人も子どもも新たなことにチャレンジし、成長していくことができる環境が、この街の大きな魅力と言えそうです。

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