今日7月26日は「幽霊の日」。1825年7月26日に、江戸の中村座という芝居小屋で『東海道四谷怪談』が初公演されたことに由来している。
毒を盛られて殺されたお岩が、幽霊となって夫の伊右衛門らに復讐を果たすという内容の『四谷怪談』。誰もが一度は見聞きしたことのある有名な怪談話だが、その舞台が現在の東京都豊島区雑司が谷であることはあまり知られていない。ちなみに怪談名に使われている四谷(東京都新宿区)は、物語の元となった実話の記録が残されている「お岩稲荷」のある場所であり、怪談の舞台と混同されることが多いようだ。
このように怪談話は、物語の内容は有名であっても、舞台までは意外と知られていないことが多い。そこで今回は有名な怪談話にスポットをあて、その舞台についてご紹介しよう。
まず、大切な皿が一枚足りないことを責められ殺されたお菊が、皿を“一枚、二枚…”と数える『皿屋敷』。この物語は『播州皿屋敷』や『番町皿屋敷』などいくつかのバージョンがあり、前者は兵庫県姫路市、後者が東京都千代田区を舞台としている。
この『皿屋敷』以上に、日本各地に伝説が残っているのが『雪女』だ。あらすじも地域によってまちまちで、岩手県や宮城県に伝わる雪女は人間の精気を奪い、茨城県や福島県磐城地方では、雪女の呼びかけに対して返事をしないと谷底へ突き落とされるという設定に。青森県弘前市には、女に子どもを抱くよう頼まれた武士が子どもを抱いて返すと、お礼に数々の宝物をくれたという話もある。
『雪女』といえば雪国の話、というイメージが強いが、小泉八雲の『怪談』に出てくる『雪女』の舞台は少し意外だ。物語の冒頭に「武蔵国、西多摩郡調布村の百姓が私に語ってくれたものである」と記載されており、そこは現在の東京都青梅市の南部に該当するという。
都市部など意外と身近なところを舞台にしているものも多い怪談話。調べてみると今住んでいる地域や故郷にも、知られざる言い伝えが眠っているかも。今年のように猛暑の夏は、内側からひんやりさせてくれる怪談で、想像をめぐらしながら涼を取るというのはいかがだろうか。
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