●福岡を語る上で絶対外せないグルメのひとつが、“増えるうどん”で有名な『牧のうどん』。ツウが教える最高の味わい方を伝授します。
福岡県民は福岡のことを褒められると調子にのってしまいます。それほど、福岡愛が強いのです。そんな福岡を語る上で絶対に忘れてはいけない名店が、“増えるうどん”で有名な『牧のうどん』。
ラーメンのイメージが強い福岡ですが、福岡県民がラーメンと同じくらい愛しているのが、うどん。実は、福岡はうどん発祥の地とも言われており(諸説あり)、街中にはハイレベルなうどん店が立ち並ぶ、うどん激戦区なんです。そんな中で1、2を争う人気店であり、福岡のソウルフードとも呼ばれている『牧のうどん』をご紹介しましょう。

『牧のうどん』の魅力の一つが、トッピングの豊富さ。基本メニューを選び、好きなトッピングで自分好みにカスタマイズしていけるのです。この日は福岡の数あるうどん屋に必ずあるといっても過言ではない、あのメニューをセレクトしました。
それはもちろん……「ごぼう天うどん」です。
魅力その1:豊富なメニューから自分好みにカスタマイズできる

なぜか福岡県民は「ごぼう天うどん」、通称“ごぼ天うどん”が大好き。転勤などで他の地域に引っ越して「ごぼ天うどんがメニューにない……」とショックを受ける福岡県民は、後を絶ちません。
麺の硬さは「やわ麺」、「中麺」、「かた麺」から選ぶことができます。

麺の硬さですが、福岡のラーメン店では「ばりかた」や「かた」という声が飛び交いますが、『牧のうどん』では「やわ麺」という声が圧倒的。福岡うどんならではの柔らかいうどんをさらに煮込んだのが「やわ麺」なのです。
ちなみにこの日は、追加トッピングは無し。純粋なごぼ天うどんを存分に味わいます。
魅力その2:遠慮は禁物!「ネギ」や「天かす」は入れ放題

卓上に置いてあるネギは入れ放題なので、ネギ好きにはたまりません。足りなくなったら店員さんに声を掛ければすぐに持ってきてくれるので、遠慮は不要ですよ。うどんやトッピングが見えなくなるほど大量に乗せるつわものも少なくありません。

ネギに加え、天かすも食べ放題。最初に軽く入れて、中盤で大量に追加し、最後に追い天かすでフィニッシュ! カリカリ、ジュワッという食感を交互に楽しむのが筆者流です。
ちなみに、右側にある急須。これが“増えるうどん”に大きく関係しているんです。

急須の中には追加のお出汁が入っているのですが、最初から使うわけではありません。
魅力その3:いざ実食。「増えるうどん」の真相はこれだ!

スープはため息が出るほど美しい。昆布やカツオなどの旨みがギュっと詰まっていて、一口すすったあと、口の中に残る余韻がたまりません。
カラッと揚がったごぼう天は早い段階で食べるのもよし、スープに浸して柔らかくなった状態もまたよし。小麦の風味豊かな柔らかい麺がスープを吸い込み、さらにおいしくなっていきます。ただ、食べ続けていくと、不思議な現象にぶち当たります。

かなり食べ進めて、体感では「ほぼ麺はないかなあ」という頃、器にはまだまだたくさんの麺が……。というより増えているようにも見えます。これが「牧のうどん」マジック! 麺がスープを吸い込むことにより、増えているように感じるのかもしれませんが、ある意味、魔法のような喜びを感じられます。そこで活躍するのが、あの急須。

急須にたっぷり入っているお出汁を追加することができます。

お出汁とネギと天かすを足すと、あら不思議。まるで2杯目が現れたかのようで、お得感がスゴイ! これが通称、増えるうどん『牧のうどん』なのです。
魅力その4:充実しているテイクアウトも見逃せない

様々なメニューを楽しめるのはもちろん、サイドメニューの「かしわご飯」(福岡名物、鶏とごぼうの炊き込みご飯)も絶対に食べてほしい逸品。テイクアウトメニューもあるので、お土産に持ち帰っても喜ばれるでしょう。ということで、この日テイクアウトしたのは「かしわ弁当」です。

お店ではうどんだけでお腹いっぱいになる可能性が高いので、名物のかしわご飯はお弁当として持ち帰るのもあり。かしわのお出汁が効いた優しい味で、たっぷりお茶碗2杯分。しかも、うどんの出汁を取った後の昆布や鰹節が、佃煮やふりかけに大変身しているではありませんか。

福岡のソウルフード『牧のうどん』は店舗によって営業時間や金額が違うので、事前に調べてから足を運んでみてください。このおいしさと麺がなくならない不思議な体験は、食べ終わった後、きっと誰かに話したくなりますよ。
(撮影・文◎馬場阿紀子)
●DATA

釜揚げ牧のうどん
https://www.makinoudon.jp/
●著者プロフィール
馬場阿紀子
福岡を拠点にタレント・女優・声優として活動しながら、インタビュアー・ライターとして各メディアや誌面に記事を寄せている。高カロリーな食事が好き過ぎて、増え続ける体重を気にしながらダイエット料理にも手を出すあまのじゃくな胃の持ち主。