●群馬に根付くソウルフード「鳥めし」とは? 地元の名店『上州御用 鳥めし本舗 登利平』で実際に食べてきたので、その味と魅力をご紹介します
群馬県民に「ソウルフードは?」と聞いて、筆頭に挙がる料理の一つが『登利平』の「鳥めし」というお弁当。これは運動会や地域の集まりごとに、必ず登場すると言っても過言ではないほど、地元では欠かせない存在らしいのです。
堂々たる佇まいの『登利平本店』へ、いざ!

東京から約1時間半、関越自動車道「高崎」ICを降りて20分ほど走ると、県道11号沿いに見えてくる旅館のような大きなビル。ここが『登利平』の本店です。その立派な佇まいにテンションも上がります。1階には、テイクアウトのお持ち帰り処と、レストランのメインダイニングがあります。2階から5階までは個室や調理場が入っています。
『登利平』の多くは、テイクアウトのお持ち帰り処ですが、そのうちレストランが併設されているのは前橋市、藤岡市などの11店舗。レストランでは「鳥めし」はお重で提供され、他にもソースかつやうなぎ、唐揚げ、鳥串、もも焼きなどの一品料理と多彩なメニューが揃います。
というわけで群馬の県民食「鳥めし」とはどんなものなのか、調査開始です。
絶大な人気を誇るふたつの「鳥めし」を実食!

こちらが不動の人気を誇る『登利平』の看板弁当「鳥めし」。主役は、秘伝のたれをまとった薄切りの鶏肉と、たれが染みたご飯。冷めても美味しくなるようにと試行錯誤して開発されたこのお弁当こそが、県内外の多くの人たちに愛される上州名物なのです。ちなみに、ここ前橋本店では、休日には450個が売れるそうです。

「鳥めし」美味しさの秘密は、まずは焼き方です。
「鶏肉はすべて厚さが違うので、焼き具合を見極めるには手焼きするのが一番です。時間はかかりますが、丸ごと焼くことで肉汁をギュッと閉じ込められ、ふっくらとした焼き上がりになります」と話してくれたのは、『登利平本店』主任の横室さん。

そして、美味しい理由はもう一つあります。それが『登利平』の命というべき、秘伝のたれです。創業50年を迎える『登利平』ですが、このたれ、創業当時から継ぎ足して、半世紀に渡って脈々と生き続けているのです。現在、社員、パートさんを含め約700人の従業員が働いているそうですが、その中でこのたれのレシピを知る人は、創業者一族のたった1人だけ。まさに『登利平』の味の真髄ともいうべき、秘伝中の秘伝のたれと言えます。

ダメもとで、たれに何が入っているのかを『登利平本店』主任の横室さんに聞いてみると、「私ももちろん知りません」と満面の笑顔。しかし醤油ベースのとろみのある甘だれで、レストランのうなぎにも使用しているとのこと。創業当時から変わらぬ味を守り抜いているのはさすがのひと言です。

ではいよいよ「鳥めし」を実食! こちらは一番人気の「上州御用鳥めし竹弁当」(750円)です。群馬県産の鶏のムネ肉がご飯の上に敷き詰められています。ご飯にも秘伝のたれがたっぷりとかかっており、やわらかいムネ肉との相性は言わずもがな。たまらない美味しさで箸が止まりません。

もう一つ、別のお弁当もいただきました。それがムネ肉とモモ肉の照り焼きが入った二食盛りのお弁当「上州御用鳥めし松弁当」(850円)。厚みのあるモモ肉はしっとりとやわらかで、食べ応えも十分です。同時に2つの部位が楽しめるので、こちらもオススメ。なお、どちらのお弁当も、お米は栃木産のコシヒカリを使用しているそうです。

弁当以外にも、レストランでしか味わえない料理もあります。例えば、ジューシーなから揚げと、やわらかなチキンカツの両方が味わえる「鳥合わせ定食」。熱々の揚げたてで提供される唐揚げは、サクサクとした食感で、めちゃくちゃ美味しい! 「鳥めし」も最高ですが、こちらもとっても美味。
まとめ

丁寧に手焼きされた鶏肉と、創業当時から守り抜く秘伝のたれの組み合わせで作られる冷めても美味しいお弁当。ここでしか味わえない絶品の「鳥めし」。これを食べるためだけに群馬に行く価値が十分にある美味しさでした。
●SHOP INFO
店名:上州御用 鳥めし本舗 登利平
住:群馬県前橋市六供町1-18-6
TEL:027-223-5454
営:レストラン11:00~21:30(Lo.21:00)、テイクアウト10:00~21:00
休:なし
https://www.torihei.co.jp/
●著者プロフィール
矢巻美穂(やまき・みほ)
内外の旅行雑誌を中心に活動するカメラマンで、撮影から執筆・編集作業まで行う。単著としてネパール、台湾、ウズベキスタン、韓国などのフォトガイドブックを執筆。近著は『東京で台湾さんぽ』(イカロス出版)。また、YouTubeで「旅ちゃんねる MinMin Tour」をオープン。これまで取材に行って、本当に美味しかった店や行ってよかった人気スポットを紹介。「登利平」動画も絶賛公開中!