●吉野家の牛丼は並・大盛・特盛の順に、いったい何が増えているのか? 実は牛肉はほとんど増えていない疑惑も…。実際に計って検証してみた。
牛丼チェーンの『吉野家』の並盛、大盛、特盛……と聞くと、盛りが増えるにつれ、ごはんも肉の量も増えると思っている人がほとんどでしょう。筆者もそう信じていたのですが、先日、友人と2人で『吉野家』に行ったときに、「ホントなのかな?」と思ってしまいました。
筆者はいつも「並盛」、友人は「大盛」を注文します。しかしその日、友人は「めちゃくちゃお腹すいてるから」と「特盛」をオーダーしていました。

吉野家の牛丼は、「小盛」から「超特盛」まで6段階に分かれていて、好みの量を選べます。そしてご存知のように、牛丼の構成はといえば、ごはん+「アタマ」。その「アタマ」は牛肉・玉ネギ・ツユで構成されます。ちなみに6段階の料金を並べてみると、以下の通りです(2023年8月現在)。
・小盛:426円
・並盛:448円
・アタマの大盛:569円
・大盛:635円
・特盛:800円
・超特盛:921円
というわけで、筆者が注文した「並盛」(448円)と、友人の「特盛」(800円)が運ばれてきました。

丼ぶりの大きさも違うし、当然、ごはんの量もアタマの量も特盛のほうが圧倒的に多い――と思いきや、並べてみると、肉の量はあんまり変わらなそうに見えます。
そこで、試しに小皿をもらい、並盛と特盛の肉だけを移してみたところ、意外な事実が判明。

まず、肉の量でいえば、確かに特盛のほうが少し多そう。

特盛の玉ねぎ、多すぎじゃないですか? ここまで玉ネギが多いと、アタマを多く見せるためのカサ増し要員に見えなくもありません。もちろん吉野家の牛丼の玉ネギは甘くて美味しいです。しかし、そもそも牛丼の肉をお腹いっぱい食べたくて「特盛」を注文した友人は、けっこうガッカリしていました。
というわけで後日、改めて吉野家の牛丼のサイズアップにまつわる疑念を晴らすべく、別の吉野家で並盛・大盛・特盛をテイクアウトして、細かく検証してみることにしました。
並盛、大盛、特盛の順に増量されるのは玉ネギ?

テイクアウトしてきたのは、並盛448円、大盛635円、特盛800円の3つ。まず並盛と大盛、特盛の順に容器がちょっとずつ大きくなっていきます。
蓋を開けてみたら、やはり並盛に比べ、大盛と特盛は大きな玉ネギが目立ちます。まずはそれぞれ、肉だけを取り出してみましょう。それが次の画像です。

案の定、特盛の玉ネギの量が多すぎやしませんか!? 先日、店内で食べた特盛と同じ結果です。
さらに、ここでキッチンスケールを使って3つの「肉量」、「ごはん量」も計ってみることにします。結果は以下の通りでした。
・並盛:肉69g・ごはん258g(玉ネギ小さめ3枚)
・大盛:肉69g・ごはん300g(玉ネギ大きめ2枚)
・特盛:肉84g・ごはん386g(玉ネギ大きめ13枚プラス小さめ5枚)
まさかの結果です。並盛と大盛の肉量はまったく一緒(!)。つまり、吉野家の並盛と大盛の違いは何かというと、ごはんが42g増え、玉ネギが少し大きくなること、だったわけです。
そして、特盛の肉量も注目してください。並や大盛の69gに対して、特盛は84g。差は15gです。これ、実は肉2枚に相当する重さです。つまり、並と特盛の肉量の差はたった2枚なのです。

ここでもう一度、価格を確認してみましょう。
・並盛:448円
・大盛:635円
・特盛:800円
並盛⇒大盛は、玉ネギとご飯が増えるだけで、187円も高くなっています。さらに並盛⇒特盛に至っては352円も高くなります。肉は2枚しか増えていないのに。ランチタイムはごはん大盛り0円の定食屋も多いので、ものすごく高価な感じがしてきますよね。
まとめ

というわけで、並盛⇒大盛⇒特盛。このサイズアップで何がわかりやすく増えているのかというと、「ごはんと玉ネギ」の量だと判明しました。牛丼だから当然、肉が増えている、と思ったら大間違いです。
ところで「アタマ大盛り」(ごはんは並盛で肉大盛り・596円)というのもあります。あれは「大盛」の量のアタマが並盛に載っているわけですが、今回の調査では、並盛と大盛の肉量は一緒だったので、「アタマの大盛り」も、ただ玉ネギが多くなっているだけなんでしょうか……。謎です。
(撮影・文◎土原亜子)