●「和」を感じられる深大寺の絶品お蕎麦屋さんを食べ歩きレポート。個性豊かな「深大寺そば」4選をご紹介します。
生き生きとした緑が溢れ、美しい湧水が流れる深大寺。都心から近いこともあり、休日は癒しを求める多くの人で賑わいます。そんな深大寺のグルメといえば、もちろん蕎麦。「深大寺そば」の歴史は400年前にまで遡り、江戸時代にはすでにとある書物にて「極めて絶品」と賞賛された記録が残されています。三代将軍徳川家光がそばの味を激賞したという説まであるとか(諸説あり)。

しかし、深大寺周辺には20軒近い蕎麦屋があるため、どこの蕎麦屋に入るべきか悩む人も多いはず。そこで、初めて訪れた深大寺に一目惚れして深大寺の近所に引越し、深大寺そばを食べ続けている筆者がおすすめする、個性溢れる4店舗をご紹介します。
人気No.1! 行列必至『湧水』の「茗荷と茄子のおろし冷やかけ」

名店が並ぶ深大寺周辺の蕎麦屋の中でも、『湧水(ゆうすい)」は平日でも行列が絶えない超人気店。蕎麦つゆにとことんこだわり、つゆに合わせて蕎麦を選んでいるほど。筆者のおすすめは、この時期なら断然「茗荷と茄子のおろし冷やかけ」です。
出汁の効いた冷たい蕎麦つゆに、シャキシャキのみょうが、つゆをたっぷり吸った柔らかい茄子、香り豊かな大葉の組み合わせは、まさに夏にぴったりの爽やかな一品です。毎日店内で手打ちしている蕎麦はしっかりコシがあり、若干濃いめの出汁は食欲を刺激して箸が止まらず、あっという間に完食してしまいます。
●SHOP INFO
湧水
住:東京都調布市深大寺元町5-9-1
営:10:30~18:00、土日祝日10:30~19:00
休:木曜
安くて旨い! 蕎麦をお腹いっぱい食べたいなら『多聞』の「大盛り蕎麦」

上品な量で値が張る深大寺の蕎麦ですが、安くたっぷり食べたい人たちで行列を作るのが『多聞』。他店に比べて値段が安いことに加え、蕎麦の増量メニューがあり、蕎麦2倍の中盛りはプラス200円、3倍の大盛りは400円で注文できます。
もうひとつの名物が「そば雑炊」。

蕎麦粉をまるでお米のように加工し、蕎麦つゆをベースにしたお出汁を使った珍しい雑炊です。味つけは薄めですが、椎茸、えのきなどのきのこ類、ごろっと入っている蟹身の風味が滲み出ており、なんとも体によさそうな味わい。濃いめが好きな人はセットでついてくるお漬物や煮しめと一緒に食べるのがおすすめです。

見た目はご飯のようなのに噛むとほろほろとほどけ、なんとも不思議な食感。ほんのりですが蕎麦の風味も感じます。いつもと違うそばにチャレンジしてみたい方はぜひ。
●SHOP INFO
多聞
住:調布市深大寺元町2-37-4
営: 10:00~15:30、土日10:00~16:30
休:月曜
上品な京風蕎麦が味わえる! 『きよし』の名物「にしんそば」と「鴨せいろそば」

『きよし』は、厳選食材を使用した京風仕込みの蕎麦を堪能できるお店。京風の出汁に加え、他の蕎麦屋に比べて麺がかなり細いのが特徴です。
ひとつめの看板メニューが「にしんそば」。仕込みに2日かけ、その後7~8時間かけてじっくり炊き上げたにしんは、お箸で持ち上げられないほど、ほろほろと柔らかく仕上がっています。
2つ目の看板メニューが鴨を使った蕎麦。今回は「鴨汁せいろ」を注文しました。

時間をかけてじっくりローストした鴨は、肉厚なのに柔らかく、中心がほんのり薄桃色で火の通し加減も絶妙。赤身が多くさっぱりとしていますが、噛むたびに旨味が口の中に溢れます。鴨のエキスが滲み出た温かいつけ汁も思わずため息が出るほど絶品。一度食べたら忘れられない、リピーターが多いメニューです。
●SHOP INFO
きよし
住:東京都調布市深大寺元町5-12-2
営:11:00 ~ 18:30 (L.O.18:00)
休:月、火曜
ここでしか食べられない! 老舗『玉乃屋』の「太打ち田舎」

珍しい太打ちの十割蕎麦が食べられるのは深大寺でここだけ。しっかり食感がある太麺は、蕎麦の風味を存分に楽しめます。一枚の重量は細打ちと同じですが、満腹感は段違いで、お腹いっぱいになれますよ。また『玉乃屋』といえば、こだわりの蕎麦もさることながら、蕎麦つゆが有名。

出汁、砂糖、醤油などの原材料を感じさせないよう、絶妙なバランスで仕上げたつゆは、おかわりをする人もいるほど。
●SHOP INFO
玉乃屋
住:東京都調布市深大寺元町5丁目11-3
営: 10:00~16:00、土日祝9:30~16:30
休:月曜
(まとめ)涼しく澄んだ空気の中、絶品そばに舌鼓を打つ

深大寺は見どころが多く長時間滞在できる場所。蕎麦屋を一店舗に絞れないときは、午前中に到着してまず一杯。そのあとは参道のお店を見てまわったり、緑豊かな敷地内を散歩したり、近くの神代植物公園を訪れたりしつつ、お腹が減ったらまた一杯、という過ごし方もおすすめですよ。
(撮影・文◎佐々木 舞)
●著者プロフィール
佐々木 舞
「美味しい」を求め、毎月お給料の半分以上が食費に消える元グルメリポーターのwebライター。美味しいモノがあると聞けば躊躇なく国境も越える食マニアで、これまで食べ歩きした国は60カ国以上。日本のご飯が世界で一番好き。そんな私が見つけた絶品グルメをご紹介します。