●『カルビー』のポテトチップス「コンソメパンチ」が周年イベントを開催。初代開発担当者に誕生秘話を聞いてきた。
1978年、『カルビー』ポテトチップスの3つ目のフレーバーとして誕生した「コンソメパンチ」。カルビーの社運をかけて開発され、45周年を迎えた2023年現在は「うすしお」に次ぐ売上を誇る人気商品です(九州地区を除く)。
そこで本社で行われたトークセッションにて、元カルビー株式会社の上級常務執行役員、阿紀雅敏さんに開発当時のお話を伺いました。
フレンチで食べたコンソメスープが誕生の由来!?

「開発を担当したのは、入社2年目の時。正直、何だか良くわからず、三代目の社長がフレンチレストランで食べたコンソメスープから着想を得て誕生しました。
ネーミングの由来は?

発売当初のパッケージはとてもシンプル。しかし、クリーム色とフォントのオレンジ色は、現在にも受け継がれています。
「当時の流行語。元気が良い、威勢がよいという意味を持っていました。あとは、文字数を意識しました。俳句や短歌のように、5や7におさまるように」(阿紀さん)
販売当時はなかなか売上が上がらなかった

「『あきくん、コンソメパンチがピンチだよ!』って社長に言われて(笑)。このリニューアルは自分がリードしなきゃと、多くのレストランでコンソメスープを飲み歩きましたね。コンソメスープは食事の最初に食べるもので、次に進ませる味なんですね。ゴテゴテしすぎていない。あっさりはしているけどビーフの調理感を出したかった。

「ビーフコンソメのコク深さの余韻を切る“酸味”が必要だと思いました。酸味料は色々とありますが、コンソメは調理されているものなので、リンゴ酸やクエン酸ではマッチしない。梅肉はカドがないんです。フリーズドライにしてパウダー状にするのもポイントと思います」(阿紀さん)

特別に開発当時の味を再現したポテトチップスを試食。パリッとした食感とビーフの味がガツンときますが、後味はすっきりとしていました。梅肉はあくまで隠し味で、まさに“よい塩梅”。ステーキの付け合せで出てきそうな丁寧な味わいでした。
現在売られている商品「コンソメパンチ」はこれまで10回を超えるリニューアルを続けています。さらに、フレーバーを2倍にした「コンソメダブルパンチ」、11月13日から発売したフレーバー3.5倍の「コンソメ メガトンパンチ」と、時代のニーズとともに進化を続けています。

阿紀さんは新作の「コンソメメガトンパンチ」を試食しながらこう話します。
「私、つい習慣で袋を開けて匂いを嗅いでしまうんですけど。この時に、“やっぱりこれだ”というものがあるんですね。
調査結果
1978年の発売当時の味は、ビーフコンソメのコク深さの余韻をあえて切るように、後味の梅肉パウダーが効いていました。次に進みたくなるコンソメパンチならではの“やみつき”感は、当時からしっかり計算されて作られていたことがわかりました。
(撮影・文◎亀井亜衣子)
●DATA
カルビー
https://www.calbee.co.jp/