醤油といえば、言わずとしれたニッポンの食卓に欠かせない調味料の筆頭格。地域ごとに味や特徴が違い、関東の人は塩気の強い醤油を好み、九州の人は甘い醤油を好むなど出身地によっても大きく好みが分かれます。
さて、醤油好き、かつ料理をする人にぜひとも食して欲しい九州発の醤油があります。口に入れるとすぐに感じる甘さはまさに九州の醤油といったところですが、そのコクと旨さは唯一無二のもの。これがあるだけで、いつもの料理の味が大きく変わるんです。
それが、大分県別府市のフジヨシ醤油がつくる「カトレア醤油」。地元の美味しいものが集結している大分空港にも置かれており、県内はもとより全国各地に多くのコアなファンがいる醤油としても知られています。また最近では、著名人やSNSなどの影響もあって、その美味しさが他方面で話題となっており、知る人ぞ知る全国区の人気醤油となりつつあるのです。

「カトレア醤油」は、いわゆる“だし醤油”。本醸造醤油にカツオ、しいたけ、昆布の旨みを絶妙なバランスでブレンドしており、これが醤油の美味しさを引き立てると同時に強いコクを生んでいます。
その味はといえば、口に入れた瞬間感じられる明確な甘みと、その後に来る強い旨みが特徴。甘みは九州南部の醤油と同等、もしくはそれ以上の甘さがありますが、味はボケることなくクリアに味覚に訴えかけてきます。また、
そんなカトレア醤油が誕生したのは、昭和62年のこと。

その美味しさは瞬く間に地元別府から大分県内に広まり、その噂を聞きつけた全国のプロの料理人たちが手に取り、ホテルや旅館での取り扱いも増えていくことに。
ところで、醤油らしからぬカトレアという名前。不思議ですよね? 製品完成後に品質に見合う名前を付けたいと悩んでいたところ、初代社長が大切に育てたカトレア(洋ラン)とともににこやかな表情で写っていた遺品の写真から、この名前に決めたそうです。こうした歴史もなんだかアットホームで素敵ですよね。
このカトレア醤油を使えば、料理をワンランク上の味に仕上げることができるのか? ということで、さまざまな料理とかけ醤油に使ってみることに。いつもの醤油をこれに置き換えるだけで、果たして本当に美味しくなるのか試してみました。
カトレア醤油を使って料理を作ってみた!

醤油の旨さをもっとも比較しやすいメニューといったら、シンプルなたまごかけご飯が一番! ということで、ご飯の上にたまごをそのままダイレクトに置き、カトレア醤油を適量入れてみました。個人的には、塩辛い関東の醤油をかけるものも好きですが、カトレア醤油をかけると、その甘味と旨味で、たまごの味がより濃厚になって実に美味しいことがわかりました。
刺身のつけ醤油として

今回は脂がのった黒ムツの炙り、マグロの赤身、真鯛、ホタテ貝をカトレア醤油で食べてみました。淡白な味わいの魚の場合はやや醤油の主張が強く出ますが、特に脂の多い刺身との相性は抜群。脂と醤油の甘さが相まって、旨みがワンランクアップします。

また、黒ムツを使った煮魚も作ってみます。今回はあえて砂糖は使わず、カトレア醤油とみりんのみで作ってみました。
関東風肉じゃが

最後に作ってみたのは「肉じゃが」。主役はもちろん肉とじゃがいもですが、この料理の味を定めているのは醤油です。そこでいつもの醤油に代えてカトレア醤油を使ってみると……? 砂糖はいつもの半分以下、ダシの量も控え、出汁の味はカトレア醤油のみとして調理開始。実際にできた肉じゃがは、醤油特有の香りがハッキリと出ており、味がボヤけず、ダイレクトに旨さを感じることができる味わいに。肉じゃがは驚くほど違いが感じられました。
まとめ

甘い醤油は苦手という人はかなり多いですが、甘さにコクと旨みが加わった「カトレア醤油」は、一般的な甘醤油とひと味もふた味も違います。
脂が多い魚を美味しく食べてみたい人や料理を美味しく作ってみたいという人は、ぜひ一度お試しあれ。
(撮影・文◎中山 圭)