東京・麻布十番に本店を構える『豆源』と言えば、慶応元(1865)年創業、つまり江戸末期から続く老舗の豆菓子店です。人気トップ3は「おとぼけ豆」「梅落花」「抹茶」。

そんな豆菓子専門の『豆源』ですが、定番のおとぼけ豆以外に、実は隠れた大人気商品が“おかき”です。筆者の周囲には“豆源おかきフリーク”が結構いて、「食べ始めたら止まらない」「他のおかきはもう食べられない」なんて言う人もいるほど。さらに「塩おかき」と醤油味の「揚おかき」の2種類あるので「どっちが好き?」なんて、話のタネになったりもします。
そもそも豆菓子店なのに、なぜ豆源のおかきはそこまで美味しく、しかも愛されているのかを知るため、本店を訪ねてみました。
揚げてアツアツのおかきが食べられるのは本店だけ

本店では、朝から夕方まで、ガラス越しにおかきを揚げる職人さんの姿を見ることができます。そう、本店だけは揚げたて熱々のおかきを買うことができるんです。
『豆源』の八尾谷篤さんにお話を伺いました。
「本店で揚げているのは“塩おかき”だけなんですが、これを目当てに買いに来られるお客さんがとても多いですね」
ちなみに醤油味の“揚おかき”のほうは工場で作っているそうで、百貨店などの支店に卸しているのは両方とも工場からの直送。つまり、揚げたてを食べられるのは本店の「塩おかき」だけなのです。
豆源の塩おかきと揚おかきは、共に今から37年前に誕生した商品で、なんと、豆菓子よりも売り上げ高が多い時もあるヒット商品だそうです。そこで、その美味しさの秘密を聞いてみました。
「おかきの元となる餅米は魚沼産のこがねもち米を100%使っています。そのもち米を蒸して、お餅をつくところからちゃんとやっています」
また、機械で乾燥させず、天気のいい日に、社員やスタッフの方たちが1つひとつ天日干しをしているのだそう。
「天日で干すのと干さないのとでは、生地自体の甘みや食感が変わってくるんです」
いやはや、すごいこだわりです。


生地ができたら、次は揚げる工程です。揚げ油にももちろんこだわりがあります。米油とごま油を半々に配合し、230~240℃の高温でじっくり揚げています。揚げ時間も、季節によって職人さんの感覚によって変えているのだとか。
「材料の品質の良さもありますが、豆菓子同様、お菓子作り職人の手を介しているので、味わいに違いが出ると思っています」
確かに、豆源の1粒ひと粒の豆菓子は、芸術的と言えるほど細かな手作業が施されていますが、おかきも同様というわけです。
というわけで、揚げたての「塩おかき」を1ついただいてみました。

見た目はふっくらしていて、噛むとカリッと小気味いい音が響きます。そして、なんとも香ばしい! しかも塩味の先に、おもちの甘味も感じられます。「塩おかき」のキャッチコピーは“揚げたて ホッカリ うまい”ですが、まさにその言葉通り。


ちなみに、筆者は醤油味の「揚おかき」も香ばしくて、とても好きです。両方を大量買いしちゃいました。ぜひ、みなさんも揚げたてを味わいに本店に行ってみてください。
(取材・文◎土原亜子)
●SHOP INFO

店名:麻布十番 豆源本店
住:東京都港区麻布十番1-8-12
TEL:03-3583-0962
営:10:00~19:30
休:火・不定休
http://www.mamegen.com/