●外食しながらダイエットもアンチエイジングも叶えたい!そんな我儘な願いを叶えるべく、ボディメイクのプロ・石本哲郎さんが外食における「若返りやせ飯」の選び方を伝授。今回はそばチェーン『名代 富士そば』。
「そばはダイエットに良い」を過信するべからず
そばがダイエット向きの食材と言われるのは、麺の中でもたんぱく質が多く、そのたんぱく質の価値であるアミノ酸スコアも高いため(※)。ゆでうどんのたんぱく質量が100gあたり2.6gなのに対し、ゆでそばは100gあたり4.8gと約2倍。1人前およそ200gと考えると、そばだけで9.6gのたんぱく質が摂れることになります。また食物繊維もうどんが100gあたり1.3gに対し、そばは2.9gと倍以上。これだけ聞くと、そばならダイエット中も安心して食べることができると思っちゃいますよね。
確かにそばはダイエット向きの食材です。ただし、それは“そば粉がダイエットに良い”という意味。そば粉100%の十割そばなら、そばの栄養素を余すところなく享受できるでしょう。しかしチェーン店などでは、安く提供するためそば粉の割合が低かったりします。ひどいとこだと、そば粉1割で小麦粉9割なんてことも。それはもはや茶色いうどん。そばの効能を得るには、最低でもそば粉5割は欲しいところです。
『富士そば』はというと、公式には発表されていませんが、以前広報の方がインタビューで話されていたところによると、そば粉の割合は4割とのこと。
※日本食品標準成分表2020年版(八訂)
シンプルなかけそばに、トッピングでたんぱく質をプラス
富士そばは、カロリーも栄養成分も非公表。そのうえ、店舗限定メニューが多く、トッピングも店舗によって異なるなど、ダイエッターにとってはメニュー選びが正直ムズイ! ただ、店舗限定メニューには、ヤバイものが乗っちゃってることが多いので(稀にすごくいいのもあるけど)避けといたほうが無難。公式メニューから選ぶほうが間違いないでしょう。
そこで選びたいのが「かけそば」。これを基準に、トッピングで必要な栄養素をプラスしていきます。まず絶対摂りたいのはたんぱく質ですが、イチオシはとり天。実際に食べてみたところ、胸肉なので身がしっかりしていて衣が薄く、油のキレも良くてかなり優秀でした!
たんぱく質補給にはやはりぶっちぎりの1位です。

とり天以外でおすすめのたんぱく源は、ちくわ天。全店舗にあるメニューで選ぶなら、温泉卵かきつねになります。
卵は以前にもお話しした通り、たんぱく質が摂れるうえ、食物繊維とビタミンC以外の栄養がすべて入った準完全栄養食。不足しがちな栄養素の底上げとして摂っておいて損はありません。

「肉富士そば」に惑わされるな!
「たんぱく質なら肉を食べればいいんでしょ?」と「肉富士そば」を選んじゃう人も結構いますが、これは失敗パターン。ダイエットやボディメイクに良いのは、牛や豚のヒレ、鶏のムネやササミなど脂質が少ない部位ですが、「肉富士そば」にはおそらく、脂質の多い豚バラや豚こまが使われています。たんぱく質量は、そばと合わせて20gは軽く超えるけど、余計な脂質まで足されがち。揚げてあっても衣も薄く胸肉の「とり天」のほうが圧勝です。
若返りに効く+αのトッピングとは?

たんぱく質さえ補給しとけば、とりあえずはOKですが、さらに若返りを狙うなら、ほうれん草やわかめをトッピングしましょう。ほうれん草に含まれるカリウムは、体内のナトリウム排泄を促す作用があるため、むくみの解消に効果的。また腸内環境を整える食物繊維も摂れます。店舗によってサイドメニューで「ほうれん草のおひたし」もあるので、副菜として足すのもありです。

わかめに含まれる食物繊維やマグネシウムは、どちらも腸内環境を整えて便秘の改善に効果的。また、マグネシウムはカリウムと同様にむくみの改善にも一役買います。マグネシウムは実はめちゃくちゃ摂りづらい栄養素で、なかなか一日推奨量に届きません。毎食いろんな食材でちょくちょく摂り入れることが必要になるため、摂れるタイミングがあるなら逃さず摂って損はなし! 特にそばで塩分が多くなりがちな食事の際は、わかめトッピングおすすめです。
一番人気の「特選富士そば」は揚げ玉を抜けば優秀な一杯!

富士そばで一番人気の「特選富士そば」。おすすめトッピングにも挙げた、きつね、卵、わかめに加え、かにかま、揚げ玉、ねぎが乗っています。
かにかまは高たんぱく低脂質だし、ねぎももちろんOKなんですが、揚げ玉が乗っちゃってるのだけが残念! 揚げ玉って言わば油の塊、しかもめっちゃ悪い油です。摂りたい栄養素が何も摂れないのに、油だけが足されるまさにマイナスのトッピング。他の具材はいいのに、揚げ玉があるだけでかなり点数が低くなっちゃうので、「揚げ玉抜き」で注文すれば、かなり優秀な一杯になりますよ。
そば屋のカレーやかつ丼。最小限のリスクで食べるには?

そば屋の隠れ人気メニューといえば、カレーやかつ丼。富士そばにもそのセットメニューがありますが、そばがそもそも糖質の多い食べ物。そこにごはんがセットされちゃうと、さすがに糖質過多になるため基本はNGです。でも、どうしても食べたいならミニ丼に。
揚げ物であるかつ丼は、当然良くはありません。ただ富士そばのかつ丼は、実際食べてみたところ結構旨い!(笑) チェーン店にありがちな、衣ばかり厚くて肉がめっちゃ薄いとかではなく、ちゃんと肉々しくておいしいんですよ。普通に良いかつ丼なので、味を楽しみたいなら「ミニかつ丼」がおすすめです。
かつ丼を食べるなら、そばのトッピングにとり天などは乗せないこと! カツとそばでたんぱく質は十分足りてるので、とり天を足せばカロリーの上乗せになるだけです。ちなみに、他にもいろんなミニ丼がありますが、油をたっぷり吸ったかき揚げ丼はやめておこうね。
また、カレーもダイエットには向かないメニューですが、そば屋のカレーって旨いんですよね。どうしても食べたければ、そばはやめてカレーのみに。とり天を1個乗せると、PFCバランス(たんぱく質、脂質、糖質のバランス)的には意外と悪くはなさそうです。結局、ここでもとり天頼みになってしまうため、扱っていない店舗だとちょっと難しいかも……。
そばを食べるベストタイミングは?
そばは糖質。糖質は活動のエネルギー源になるため、朝や昼など活動前にとるのがベストです。「富士そば」の「朝そば」では、きつねかたぬきを選べますが、もちろんここはきつね一択です。
逆に、夜に食べてあとは寝るだけというのが、一番ダメな食べ方。糖質がエネルギーとして消費されないため、体脂肪に蓄積されやすくなります。ただ、〆にラーメンに行くなら、そばを食べたほうが全然いいのも確か。むくみ対策で「わかめそば」にすれば、翌朝のすっきり感も大分違ってくると思います。
結論

カロリーもPFCバランスも非公表で、店舗限定や期間限定メニューが多い「富士そば」は、ダイエッターにとってはメニュー選びが難しい店。危険が潜んでいる確率の高い限定メニューは回避し、オリジナルメニューから選びましょう。シンプルなかけそばに、とり天、ちくわ天、きつねなどでたんぱく質を補給し、若返りやむくみ対策としてわかめやほうれんそうを組み合わせるのがベストです。
“そばはダイエットに良い”といっても、そば粉の割合が少なければ、その恩恵は受けられません。ラーメンやうどんに比べれば悪くはないけど、過信して食べに行くと思わぬダメージを食らうことも。トッピングはなるべくシンプルに、活動前の日中に食べるなど、基本的なルールを守ることが大切です。
今年も残りあとわずか! 大晦日に年越そばを食べる機会もあるかと思いますが、深夜に年越しそばを食べたら、その足で初詣に行くようにしましょうね。
(語り◎石本哲郎、インタビュー・撮影◎酒詰明子)
●プロフィール

石本哲郎
女性専門のパーソナルトレーナー。東京や神奈川にて、女性専門パーソナルジムリメイクや女性専門フィットネスショップリーンメイクを数店舗運営。女性のダイエットに関わる医学、栄養学、トレーニングメソッドについての豊富な知識と、自ら意図的に太ってやせる「減量」実験の成果から編み出した独自のメソッドで、のべ1万人以上の女性の体づくりを指導し、成功へと導く。
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